自然の中〜恋愛詩集〜
自然と共に恋はある
「波」
寄せては返す波は
まるで
あの人のこころ
寄せては
離れて
寄せては
離れていく...
砂浜に書いた
「スキ」
波がさらって
私のこころごと
消えて
溶けてしまえばいい
***
「ホウセンカ」
毎日潤いを与えたつもりだったのに
蕾も枯れ
花が咲くことはなかった
彼女は怒った
「ちゃんと毎日与えてくれた?」
「いや、忘れた日もあった」
「毎日くれないと私はだめなの!」
「ごめん...」
と言っても
もう蕾は開かない
ホウセンカを見ながら
そんな恋を思い出す
***
「鳥」
空を掛ける
鳥の様に
どこまでも高く
追い風を
怯むことなく
太陽に近付きたい
でもはるか遠い
でも諦めない
何度も飛び立つ
この想いが
届くまで
***
「ビー玉」
丸いガラス玉
落とすと弾けて
壊れてしまうぐらい脆い
個々によって
輝きや彩りは違う
どちらかが大きくても
小さくても
ぶつかると壊れる
同じぐらいが
理想だが
そう上手くはいかない
激しくぶつかると
壊れて
優しく触れると
壊れない
儚く脆い
ガラス玉
壊れない様に
大事にしよう
***
「深い森」
深い森に佇んでいた
光の届かないずっと奥
新緑の匂いを感じ
雨粒が葉に跳ね返り
音を奏でる
悲しい音色
1人の少年が現れ
「おいでよ。」
と手を引っ張った
私はもう少しここに居たいのに
風が吹き抜け
光が当たる所まで
連れ出してくれた
悲しい音はもう聞こえてこない
その少年はずっと
手を握っていてくれた
今も太陽の元で
一緒に生きている