純露
飴をよく食べていた。
カンロ飴、純露、那智黒。
祖母は今でも売られている飴を、
よく食べていた。
夏休みのことだった。
銭湯に二人で行った帰りに、
祖母は飴を買っていた。
たぶん、あれは、カンロ飴だ。
ぼくは、祖母に、飴、好きなん?
そんな風に聞いた。
祖母は、ぼくに、好きやでと言って、
何が好きや?と言ったような。
アイスがいいな。
ぼくは、祖母の質問に答えたつもりで、
的外れなことを言ったかもしれない。
祖母は、アイスと言ったぼくを見て、
笑っていた…その笑った顔が、
西日の中にあった。
夏の夕方、飴玉を舐めながら、
縁台で祖母と涼んだことを、
近頃、よく思い出す。
それは、どうしてだろ。
祖母はアイスも好きだった。
ミルク味が好きで、
ぼくに、よく買ってくれた。
ぼくは、祖母が好きで、
今でも、毎日、会いたくなる。
飴は、カンロ飴より純露がいい。
……聞こえたかな。