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【アビス強襲】

 ――トイフェルラント生活一一九五日目。




 メセルに着艦した恭一郎達とハリエットは、出迎えに集まった統合軍の兵士達に揉みくちゃにされた。

 ボム・アーチンに手も足も出ず、オディリアへと落下する光景を指を咥えてみていることしかできない絶望的状況が、たった二機の独断専行によって打ち払われたためだ。兵士達の興奮たるや凄まじく、セナはもちろんリオまでも、恭一郎の陰に隠れようとしたほどだ。

 ハリエットに至っては、羽目を外し過ぎた者達を次々と捕まえて、壁際に集められた彼等を辛辣に説教していた。

 さすがに連戦続きで疲労がのっぴきならない状態となっていたので、恭一郎達は休息のために宛がわれていた部屋へと移動した。




     ◇◆◇◆




 ゆっくりと休んで体力を回復させた恭一郎達は、食料を求めて食堂へと向かった。自宅から持ってきた食料が、長期戦となったがために尽きてしまっていたのだ。そもそも宇宙食を用意している暇がなかったため、食べかすが飛び散らないのではないかというモノを、少ししか確保することができていなかった。

 食堂で入手した統合軍の宇宙食は、細かな破片が飛び散らないように作られた、流動食に粘り気を持たせたものだった。プラスチックパックのような吸い口の付いた袋に入れられていて、栄養価は高そうだが味は最悪に近かった。

 リオが隣で、激マズの宇宙食に百面相していると、ハリエットが食事のために現れた。その表情には疲労の色が濃く出ていて、せっかくの美人が残念な感じになっている。

「初めて口にした、統合軍の食事の感想はどうだ? 美味いだろ?」

「レシピを作った人物の、とても大きな愛を感じるよ」

 腹を満たすことだけを考えていた恭一郎は、ハリエットの笑えない冗談にそのまま乗って答えを返した。

 地球の軍隊は兵士達の士気を維持するため、美味しい食事を欠かさないようにしていた。国によってそれほど美味しくはないモノもあったようだが、日本の自衛隊の食事は、美味しい部類に入っているそうだ。

 それに対してオディリア統合軍の食事はというと、『一に栄養、二に栄養、三四がなくて、五に満腹』だった。過酷な任務に耐えられるような身体を維持するため、必要な栄養素を最優先にした腹を満たすための薬膳料理、といったところだろうか。

 自宅の台所を預かる恭一郎としては、突っ込み所しかない勘違い料理だ。

 美味しい恭一郎の料理ばかり食べてきたリオは、この量だけの宇宙食にとうとう閉口して、食べるのを止めてしまった。ハイライトの消えた悲しそうな瞳で、恭一郎へ無言の救援要請を出してきている。一国の統治者という立場上、公衆の面前で罵詈雑言を吐けないことは理解しているのだ。

 しかし、この宇宙食に手を加えようにも、調理済みのモノをパッケージングしてある状態だ。無重力という環境下では、中身を出して調理し直すことも難しい。

 恭一郎が子供の頃、父源一郎から貰い物の宇宙食を食べさせてもらったことがあった。粘り気のある乾燥した栄養食品風の固形物で、ケーキの味がするような気もする、常温の食べ物だった。特に美味しいとは思えなかったが、珍しかったので完食した記憶がある。

 その後、宇宙食を色々調べてみると、宇宙開発を行う国々で、宇宙で食べられる料理の開発がたくさん行われていることを知ることになった。

 基本的に宇宙食は、食べ物の小さな粒が宇宙船の中などで飛散して、精密機器の中に入って故障の原因にならないよう、厳格な基準で作られていた。

 最もオーソドックスなのが、リオが絶望したチューブタイプの流動食型だ。次に、一口サイズにして、破片が飛び散らないようにしたクッキーやクラッカーのような固形物となる。

 食材を煮凝にこごりのようにゼリー状に纏めたモノもあり、その中には、日本が本気で作ったラーメンも含まれている。

 日本の宇宙食は、結構人気があるらしい。さすがに昔から、乏しい食材からいかに美味しい食べ物を生み出すかを追求してきた、うまみ成分をこよなく愛する極東の島国だ。

 全ての宇宙食に付いて言えるのが、地上で調理したモノを宇宙で食べている、ということだ。無重力空間では、調理中に食材がバラバラに飛んで行ってしまう。宇宙空間で胡椒の蓋を開けようものなら、粉が舞い散って大惨事だ。

 よって、結論。打つ手なし!

「すまん、リオ。早く帰って、美味しいご飯、食べような……」

 頼りにしていた恭一郎にもどうすることもできず、リオは能面のような表情で宇宙食を胃袋の中に収めるしかなかった。

「――魔素がない……!?」

 色と欲の伯爵殿のような発言を残して、リオが完全に沈黙した。心なしか、全体的に色褪せてしまっているようにさえ見える。

「恭一郎。その帰る手段なのだが、このままメセルで低軌道まで移動して、往還シャトルとランデブーすることになっている」

「この艦は、宇宙用だったな」

「そうだ。大気圏に突入可能な耐熱性はあるという話だが、大気圏内の飛行は無理だ。揚力も推力もまるで足りない」

 ドルヒ級宇宙戦艦は、三〇〇メートルの巨体に対して、翼面積が非常に小さい造りになっている。その翼の部分に大口径レーザー砲が取り付けられているため、衛星ナディア程度の低重力環境までしか、自由に飛行することが叶わない。

「単艦で空も宇宙も移動できる汎用艦は、コストが掛かり過ぎて建造できないか……」

「それ以前に、飛行する戦艦など、只の的だぞ」

 メサイア操者としては、そう言わざるを得ないだろう。何しろ、敵がどこにいようと、叩き落とすのがハリエットの仕事なのだ。

 脱線したので、話を戻す。

「それで、そのシャトルに乗って、オディリアに凱旋するのか?」

「現在の中央政府が置かれている、弐番艦のデージーに向かうことになっている。そこには大統領以下、軍のお歴々が待っているそうだ。また世界の危機を救ってくれたから、是非ともお礼をしたいらしい」

 大統領の件の辺りから、ハリエットの顔色が目に見えて悪くなった。ハリエットが眩暈を覚えるような人物が、デージーで恭一郎達を待っているようだ。

 そのことを想像しただけで、恭一郎も気分が重くなってきた。

「礼を言われるのは構わないが、不味い料理ばかりだと、リオが干乾びちまう。さっさと家に帰してもらいたいな……」

 軽くホームシックになった恭一郎は、残っていた食事を平らげた。そして、固く心に誓う。

帰ったら、宇宙用の装備を整えよう! まずは、レトルトパウチの宇宙食からだ!




     ◇◆◇◆




 数時間後。オディリアの低軌道に到着したメセルは、地上と宇宙を往還するシャトルと合流した。

 往還シャトルは、CAを運搬できるだけのペイロードを備えていた。第一便としてランデブーしたシャトルには、厳正な抽選でアリッサが乗り込むことになった。その後も抽選が繰り返され、ハリエット、シン、ドートレスが順番にシャトルに乗って、デージーへと降りて行った。

 そして恭一郎達の番が巡ってきた時、メセルのレーダーが敵の反応を捉えた。

『敵襲!』

 ヒュッケバイン改をシャトルのペイロードに移送していた恭一郎の耳に、敵襲の報が飛び込んできた。

 直ちに機体の固定作業を中止して、シャトルのペイロードから発進する。

「敵は、どこだ!?」

 足元は、青い海と白い雲に覆われたオディリアがある。頭上には、低軌道を進むメセルの艦底部しか見えない。

「――データ、取得。該当あり。直上、アビス……!」

 シャトルの大気圏突入作業のため、下手に動くことのできない最悪のタイミングで、再びアビスが襲撃してきた。

「迎撃行動に移る!」

 メイン・ブースターを噴射させ、メセルの陰から飛び出す。だが、アビスはかなり接近していた。すでにビームを放っており、庇う間もなく、メセルの艦尾が破壊された。

『エンジン停止! メイン・スラスター大破!』

 恭一郎の目の前で爆沈することだけは免れたが、動力を失ったメセルの艦体が、オディリアの重力に引かれて高度を下げ始めた。

 アビスからビームの第二射が放たれ、光芒がメセルに迫る。だが、グライフから放たれたプラズマの刃が、ビームを強引に弾いて軌道を変えた。

「二度も目の前で、味方の艦をらせるか!」

 唯一の攻撃手段である右腕のグライフを構え、衛星ナディアを背にしているアビスへ突撃する。

 アビスの意識が恭一郎へと移り、迎撃しようとビーム砲の照準を移動させた。

 恭一郎も、グライフの引き金に力を込める。だがその時、アビスの背後にあるナディアの地表で、巨大な爆発が発生した。

 その瞬間、アビスが雷に打たれたように震え、一瞬だけ動きを止めた。すると、アビスは攻撃態勢を解いて、一目散に何処かへと飛び去って行った。

「あのアビスは、何がしたかったんだ……?」

「急に、動きが変わりましたね? 撤退命令でも、出たのでしょうか?」

 アビスの見せた見事な逃げっぷりに、呆然とするしかない恭一郎達。

「――ジェイルの海、魔力榴弾落下。敵施設、消滅と推定……!」

 どうやら、先の戦闘において歪曲場で弾かれた魔力榴弾が、ナディアへ落下したようだ。落下の衝撃で炸裂した魔力榴弾は、ジェイルの海に隠れていたオメガ残党の施設を消滅させたらしい。

 その影響か、奇襲を仕掛けてきたアビスは、戦闘を放棄して撤退して行った。

 ひとまず、アビスによる危機は去った。だが、制御を失ったメセルが、オディリアへと落下して行く。艦尾で発生した小規模の爆発で、速度が増しているようだ。

「セナ! メセルの落下予測軌道は!?」

「――トイフェルラント近海……!」

「リオ! ちょっと荒っぽくなるが、家には早く帰れそうだ!」

「ちょっと、何をする気ですか!?」

 恭一郎が落下するメセルを追って、重力の井戸に突っ込んで行く。

「メセルと一緒に、派手な凱旋だ!」

「そんな、めちゃくちゃな!?」

 ヒュッケバイン改には、大気圏に突入する能力はない。リオの魔法を併用すれば、可能かもしれない。だが、メセルには大気圏に突入できる耐熱性能が備わっているらしい。このまま落下するメセルの陰に入っていれば、大気との摩擦熱で燃え尽きることはないだろう。

 恭一郎は落下を続けるメセルに取り付くと、艦内へ接触通信を行う。

「こちら、ロイヤル・ボックス。メセル、状況を知らせ」

 しばらく雑音が続いた後、メセルの通信士が応答してきた。

『こちら、メセル。動力喪失により、乗員が艦内に閉じ込められている。至急救援を乞う』

 メセルの艦内は、隔壁が開けられなくなって、動力の復旧どころの状況ではなかった。脱出しようにも、閉じた隔壁が邪魔で脱出装置まで辿り着けず、呼吸のための環境維持装置も停止していた。

「救援要請を受諾した。これより、メセル乗員の救助行動を開始する。艦内の乗員は、可能な限り艦の中央区画へ、直ちに移動を開始せよ。これより大気圏へと突入し、我がトイフェルラントへ特別に招待する。それでは、諸君らの規律ある行動に期待する」

 恭一郎は接触通信を切り、呆れ顔のリオにお願いをする。

「大気圏に入って、速度が落たら、メセルの艦内へ救助に向かってくれ。俺が時間を稼ぐから、全員を上部の格納庫に集めるんだ。そうしたら、全員を魔力障壁に乗せて、艦の外へ脱出させてくれ。メセルは最後まで支えきれないから、適当な場所に捨ててくる」

「艦内は、隔壁が降りているんですよね?」

「どうせ捨てるんだ。遠慮なく壊して構わない」

「そう言うと、思ってましたよ。本当に恭一郎さんは、お人好しなんだから……」

 無茶苦茶な行動に大いに呆れているが、これも惚れた弱みだと、リオは恭一郎に協力することを快諾した。




 メセルの艦内で、乗員が中央ブロック付近への移動を終えた頃、艦体が圧縮された大気の熱で赤く燃え始めた。幸いにして、アビスのビーム攻撃を受けた艦尾は、艦底部まで到達するダメージを受けていなかった。

 そのため、被弾カ所を覆う強固な魔力障壁を展開するだけで、大気圏への突入で燃え尽きずに済んだ。

 メセルの陰に隠れて大気との摩擦をやり過ごした恭一郎は、艦の外壁温度が少し下がってから、行動を開始した。

 まずは、リオが魔法少女の魔王モードに変身して、コクピットの外へ出る。恭一郎がリオをエアロックまで運び、リオがエアロックを破壊して、艦内へと侵入した。

 恭一郎はヒュッケバイン改をメセルの艦底部へと移動させ、艦の落下による姿勢の乱れを安定させる。量子エンジンの出力を上げ、機体各所のブースターが火を噴き、メセルの滑空飛行が安定した。

 時折メセルの内部から、リオの出す破壊音と振動が伝わってきた。順調に行く手を阻む障害物を破壊して、艦内各所の乗員達を救助しているようだ。

 かなり派手に行動しているが、リオには移動要塞グリゼルダでの内部破壊の実績がある。今回も死傷者を出さず、全員助け出してくれることだろう。

 メセルの高度が、だいぶ下がってきた。特別仕様の改型の推力をもってしても、宇宙戦艦を持ち上げることは不可能だ。姿勢を制御して、推力で僅かな飛行時間と距離を稼ぐだけで精一杯だった。

 しばらく安定して高い出力を出していた量子エンジンだったが、にわかに機能が不安定となった。

「――主機、アラート。原因、不明……!」

「こんな時に……!?」

 出力が一向に安定せず、機体が激しく振動する。メセルの姿勢制御が覚束おぼつかなくなり、艦体が風で流される。気流が乱れ、メセルも振動し始めた。

 これまで酷使してきた量子エンジンが、本格的に不調に陥り始めた。セナが必死に制御しようと孤軍奮闘しているが、セナ自身の機能も限界を迎えつつある。ミズキのメンテナンス無しで、これほど長時間の独立稼働は、セナも初めての経験だ。

 全てが危うい状態のヒュッケバイン改が、急速に力を失っていく。エンジンの出力が下がり始め、必死に制御をするセナが苦しみ出す。

「もういい、セナ! 制御を放棄して、主機を切れ!」

「――拒否、します。私はここでしか、恭一郎の力になれない、から……!」

 セナが恭一郎の命令を拒否して、主機の制御に全力を注ぐ。セナの願いが通じたのか、やがて出力が戻って安定した。

「これでしばらくは、大丈夫か?」

「――……」

 だが、それと同時に、セナが力尽きて機能を停止してしまった。いくら恭一郎が呼びかけても、背中合わせに座っているセナは、答えを返してくれない。

 機体の動力系を制御してくれたセナが力尽き、操縦が極端に難しくなった。源一郎の用意してくれたブラックボックスを通して、恭一郎とヒュッケバイン改は脳波で繋がっている。セナが肩代わりしていてくれた分の情報が、恭一郎の脳を圧迫し始めた。

 必死に情報の波に耐え、かち割れそうな頭の痛みを歯を食い縛りながら、機体の制御に全身全霊を傾ける。だが――。

「急いでくれ、リオ……! そう長くは、持ちそうにない……!」

 心拍と血圧が異常なまでに上昇し、毛細血管の一部が破裂し始めた。目は血走り、眼圧も上がって、視界が歪む。

 ふと、耐えがたい苦痛が、幾分か和らいだ。

『ここからは、私達が――』

『二人で、お手伝いします!』

 恭一郎が多少の余裕を取り戻すと、メセルの艦首と艦尾に、カレンのレジェンドラとカリムのフォークロアが、カイトシールドを押し付けて姿勢制御の補助を行ってくれていた。

「カレン、カリム。無事だったか!?」

『陛下のお蔭で、機体に乗ることができました』

『二度ならず、三度も助けていただいては、こちらも格好が付きません。若輩の身ではありますが、共に最後まで足掻きましょう』

 艦内に突入したリオが、限界の近い恭一郎のために、強力な助っ人を送り込んできてくれたようだ。機体への負担が減ったことで、恭一郎の身体も持ち直してきている。

「メセルの乗員が脱出するまで、もう少しだけ、耐えてくれ!」

『『了解!』』

 三機がデータリンクで繋がり、機体を同調させてメセルの姿勢を制御する。恭一郎は警報の鳴り止まないコクピットの中で、リオと同年代の年若い操者の力を借りて、乗員の脱出を待ち続けた。

 どれほどの時間が、経過したのだろうか。恭一郎にとって数時間も続いたような苦痛は、待望の一言で終わりを迎えた。

『脱出完了!』

 リオの統一言語の魔法が、救助成功を伝えてきてくれた。

「全機、メセルの落下コースを確定し、離脱する」

 恭一郎の前方には、トイフェルラントの大地が見えた。山頂の崩れた巨大な火山があり、巨大な不毛の高地の真ん中にそびえ立っている。その周囲には緑の生い茂る広大な森があり、南の端には開けた草原があった。

『ご無事ですか、恭一郎さん!?』

 基地との無線通信圏内に入っていたようで、ミズキが無線を送ってきた。

「会いたかったぞ、ミズキ……! 色々と立て込んでて限界だから手短に、この戦艦の落下コースの計算を頼む」

 このままメセルを落下させて、トイフェルラントに被害が出ては大変だ。メセルを落下させるのは、無人の旧トイフェリンやシュムッツ高原、トイフェルラント周辺の海がベターだろう。

『安全なポイントを算出しました。こちらの誘導に従って、軌道修正をお願いします』

 ミズキから送られてきたデータに従い、メセルの落下コースを微調整する。なぜか、目の前に自宅があるトイフェルラント南端が迫ってきた。

「おい、こいつをどこに落とすつもりだ?」

 嫌な予感がして、恭一郎がミズキに問い掛けた。

『空港の脇に落とします。もう飛べないのですから、資材として頂いちゃいましょう』

 三年にも及ぶ雌伏しふくの時を経験して、ミズキも逞しく成長していたようだ。今のトイフェルラントは、資材が幾つあっても足りない状態だ。当然、壊れた宇宙戦艦も立派な資材だ。乗員を救った駄賃として、壊れたメセルを堂々と手に入れるつもりのようだ。

『あの、恭一郎さん? 進路がお家の方に向かっているような気がするんですけど?』

 リオも、行き先が分かったようだ。どんどん高度を下げて行くメセルを見て、堪らず恭一郎に呼び掛けてきた。

「ミズキの誘導に従ったら、空港脇に落ちるコースに入った。メセルを資材にするそうだ」

『ミズキさんも、大概ですね……!』

 リオの意見に激しく同感しながら、恭一郎達はメセルから離脱した。




 完全に無人となったメセルは、ミズキの狙い通り、マイン・トイフェル空港に向かい、滑走路脇の草地に衝突した。

 艦首が墜落の衝撃で折れ、小さな翼が割けて粉々になったが、火災や爆発は起こらなかった。


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