【リナからの調査報告】
「エアステンブルクの主だった住人の、簡単なプロファイル情報を更新しました。確認をお願いします」
◇◆◇◆
・《オブライエン》
頭側部に耳のような羽の生えた、鳥人族の鴟人種の老人
旧トイフェリンから真東へ遠く離れた辺境の地で、世間から隠れ住んでいた老人である。怪我をしていたところを救助されている。
長年の隠棲で培った生活術で、エアステンブルクの知恵袋のような立場に収まっている。
隠棲を始めた切っ掛けは、強欲な貴族に租税として全てを奪われたため、人里離れた辺境に移り住んだこと。
必要なインフラを全て一人で揃えたサバイバビリティーの高い人物で、農産物と物々交換で本を収集し、研究者のような思索に耽る日々を送っていた。
基本的に夜行性で、エアステンブルクでは元兵舎の一室に住み着いている。
普段は習性を活かした夜間警備の見回りを行い、目が非常に良いため、オディリアの宇宙船を地上から観測した実績を持つ。
・《カール》
額に双角を持ち、口から飛び出る長さの牙を持つ鬼人族の大柄の男性
ベルクドルフに住んでいたが、ウルカの一撃で故郷と妻を同時に失う。深手を負っていたところを娘のウィノラと一緒に保護された。
厳つい見た目とは正反対で、性格は臆病で家族思い。気が優しくて力持ちを地で行く好漢で、恭一郎の畑仕事を手伝うことも多い。かなりの酒豪だが、酒癖は非常に良い。
ウィノラを通じて知り合ったローザと恋仲となり、ローザの妊娠を期に結婚して新たな家庭を設ける。二人の子供は無事に生まれ、エアステンブルクで初めて生まれた赤子となった。
・《ローザ》
とてもふくよかな胸を持つ、痩身で小柄な牛人族の女性
アッカーバーデンで被災して動けなくなっていたところを、娘のソフィーと共に救助された。
種族的な特徴でトップへヴィーな体格をしており、胸が邪魔で足元が良く見えない。そのため、両足を失うという不幸に見舞われてしまったが、一度も直視することなく魔法で再生されて事なきを得ている。
性格は非常に母性的で、乳母の経験を活かして保護された乳飲み子の世話を一手に引き受けていた。娘のソフィーを介した縁でカールと親しくなり、身を削る子育てを共同で行ううちに、とても親密な関係となった。
妊娠したことにより母乳の量が増えてしまい、余った母乳の利用方法を異性である恭一郎と一緒に考える行動的な一面を持つ。
カールとの間に生まれた子供は男の子で、牛人族と鬼人族の特徴を引き継いでいるようだ。
・《レナード》
ケンタウロスのように人馬のような形態をしている、馬人族の青年
アッカーバーデンで一族郎党を失い、幼い弟妹達と一緒に保護されている。
根っからのお兄ちゃん体質で、鍛え抜かれた肉体を活かして子供達の遊び相手を務めている。とても世話焼きな性格で、困っている人物を見過ごせない優しさを持っている。
世間知らずで籠の鳥生活だったアルマに関わって行くうちに、両者は惹かれ合って婚約することになる。
・《アルマ》
額から美しい角の生えている、馬人族亜種の一角種の女性
その美しい角により、貴族の間で飼育や売買が行われていた、不遇な生い立ちをしている。売買のため移送中の所を被災して、檻の中にいたことで即死を免れていた。
観賞用として飼育されていたため生活能力が皆無で、レナードの保護下で必死に努力することになる。性格は大人しいが、かなりの後天的努力家。
レナードよりも少し年上で成人しており、レナードの成人を待って正式な夫婦となる。
後に夫婦でエアステンブルクの育児園を任せられ、多くの子供達に囲まれて充実した日々を送っている。
・《ロードフリード》
悪魔のような見た目を持つ、変異型交雑種となる魔人族の男性
その見た目から迫害されていて、奴隷として虐待されていたところを保護されている。
性格はまじめで、種族的特徴で交雑種でありながら普通に魔法が使えるため、かなり器用な人物である。
奴隷出身でありながら暗算が得意で、エアステンブルクの金庫番的な立場にある。
後に財務担当として正式にエアステンブルクの公務員となり、ブリギットと安定した家庭を築くことになる。
・《ブリギット》
植物の特徴を有する草人族の女性
大樹の森の中に隠れ住んでいたが、被災して消し炭になっていたところを保護されている。大変希少な種族で、現在判明している純粋種は、ブリギットだけである。
性格は大変臆病で、被災した記憶に苦しめられていたが、ロードフリードに寄り添ってもらったことで落ち着きを取り戻している。
ロードフリードと結婚した後、栄養繁殖によってクローンの個体数を増やし、ロードフリードを疑似嫁ハーレム状態にしてしまう珍事件を引き起こす。
さらに本人と複数のクローンが妊娠したことで、周囲を激しく驚かせることになった。
・《ウェスリー》
鼠人族のトレファン神官と共に、エアステンブルクで行われた結婚式に派遣された猫人族の魔神教司祭
故郷の集落が恭一郎に救われたことがあり、非常に友好的な若手の男性司祭である。ハナのモデルとなった猫人族ではあるが、スコティッシュフォールドのように耳の先端が半ばから垂れ下がっている。
司祭になって修道院を出た数日後に、教皇庁パープストヒューゲルごと修道院が消滅してしまった強運の持ち主で、後日正式にエアステンブルク大聖堂に着任することになった。
エアステンブルクの宗教的支柱を務める傍ら、恭一郎の英雄譚を編纂する趣味に没頭している。
◇◆◇◆
「以上となります。追加や変更点が認められましたら、改めて報告いたします」




