表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/44

洗濯講習会

「きたな…」


真昼の部屋を開けて一ノ瀬が発した最初の言葉。


おいおい、感情がそのまま出てるぞー!


「意外と宮下さんって掃除とか苦手なんだね?」


いや違う一ノ瀬。


あくまで俺の推測だが、こいつは何もかもできないのだと思う。

俺の知る限り、洗濯もできないし、おそらく家事全般ができないのだろう。


「ま、まぁね…、は、ははははは…」


真昼は苦笑いで答える。


このままじゃ進まないな。


「よし、それじゃあ始めるぞ一ノ瀬!」


「えっ?私は?」


「そうだな…んー、そうだな、これからのことも考えて、洗濯のやり方でも教えるか。それじゃあこっちきて」


「なんか邪魔モノ扱い…。ってか、洗濯ぐらいやり方わかるもん!」


「それじゃあやってみて」


「任せてよね!」


なんか嫌な予感しかしない。


こうして、俺と真昼は洗濯機のある洗面所へと向かう。


さあ、見せてもらおうかね。そこまで自信があるのなら。


「それじゃあ」


そう言って真昼は何をするのかと思えば、真昼はいきなり洗濯物を洗濯槽に入れ出した。


そして入れただけなのにこちらにドヤ顔をする。


「ほらね?できるでしょ?」


「お前、洗濯したことあるのか?」


「えっ?!」


「お前今入れたやつの中に下着とか入ってるだろ?下着とかは洗濯ネットに入れるんだよ!」


「せ、洗濯…ネット?」


「まじか…まさかここまでとは…」


「そんな、捨てられた子犬を見るかのように見ないで!で、でも私…洗濯ネット?なんて持ってないんだけど?」


「はぁ…、このあまり家事ができない俺にため息つかれるって相当だぞ…。まぁ今日は俺のを貸すから。少し待ってろ」


だんだん俺の真昼への対応が変わっていく。


俺は一旦自分の部屋に戻り、洗濯ネットを取り、再び、汚物ハウスへ。


「ひとまず…洗濯ネットに下着を入れろ。それと…、洗濯物を入れる前に洗濯機のホースを蛇口に繋げる。お前のやつ外れてるぞ?」


「あ、そうだったー。今からはめようと…。はい!これでオッケー…でしょ?!」


真昼は自身の下着をネットに詰め、洗濯物を入れる。


そしてなぜか真昼はドヤ顔。


バカだ。


「はぁ…、お前、自分信じすぎなんだよ。少しはまだやることはないか疑え!」


「えっ?でも今言われたことはいけたでしょ?だからこれから洗剤を…」


「じゃ!ぐ!ち!ゆるめたのか?水出ねーぞ?」


「いや、それはこれから…、すみません…」


真昼は泣きそうになりながら蛇口を緩める。


「できないなら、できないって言えよ。怒ってるわけじゃないんだから。無駄に適当にやられる方がこっちもイライラするんだよ」


「わかりません…。それと、怒らないで…ください…」


「うむ。はじめっから素直になれよ…。まぁ、これからは洗剤と柔軟剤入れてボタン押すなんだけどな」


「それならできると思う!」


そうして真昼は洗剤を手に取った。


さすがにもう間違えることなんて…まじかー!


「わりーわりー、言うの忘れてたな?洗剤とかにはちゃんと入れるとこがあってな。ここ、ここ。柔軟剤はここな。よし、そこまでやってみようか?」


「うん…。なんか幼稚園児ぐらいを相手にしてるかのように話されると、本当に悲しいんだけど」


「いやいや、三歳児ぐらいのつもりだよ?」


俺は笑顔で答える。


真昼は泣きそうになりながら作業をする。


それを俺は見てあげる。


「よくできましたー!これをできるなんてすごいね?!それじゃあふたを閉めて、開始のボタンを押してみようか」


「逆ギレしたいけど、できないのが現実…。くっ」


そして、真昼はやっとの事で洗濯機をスタートさせることができた。


「終わったー!」


「まだ洗濯が!だけどな」


「あはははは……はぁ…。これからが本番かぁ…」


「まぁ頑張ろうぜ!」


「うん!」





「ふむふむ、なかなかいい感じじゃないですか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ