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騙された

俺は翌朝、8時50分ほどにロビーについた。


さすがにもともと機嫌の悪い真昼より遅く行くのは間違っていると思う。


しかし、不思議なこともあるものだなぁ…。


一ノ瀬もいた。


一ノ瀬は友達とでも遊ぶのかな?


それじゃあこのマンションには他にも同じ学校の生徒がいるんだな。


まぁ、どうせ話すことなんてないと思うけど。


(へー、森木くん、ちゃんと約束のちょっと前には来るんだー。意外とちゃんとしてるわね。わざわざ宮下さんに集合時間の五分後に来てって言ったのよ。

でも、どうしてだろう?

森木くんはなぜこのマンションのエレベーターから現れたのかしら?

それと…、どうせ宮下さんのことなら、私も一緒なんて伝えてないだろうし、「別々の相手を待ってると思ったら、実は同じでした大作戦」決行ね)


(なんか気まずいな…。こう言う時ってなんか話したほうがいいのかな?いや、俺から話しかけられて嬉しいやつなんていないだろ?もし話しかけても…、すぐに静まり、余計に気まずくなるだけだよな)


(…………とか考えてるんだろうな?ほんと話すことが苦手な子って可哀想だな…)



こうして二人は沈黙の時を過ごす。


そしてやっとの事で真昼が降りてきた。


「お、おはよ…」


「宮下さん!おはよー!」


(えっ?真昼のやつ、一ノ瀬と遊ぶ約束してるの?でも、昨日ラインまで送ってきたのに…?も、もしや…、実は俺と遊ぶ約束していたのに、その子は他の子と遊ぶ約束してましたーってやつ?しかもその子が俺と目があっても知らんぷりするやつ?!

そうだよな…、俺みたいなインキャなんて相手にされるわけないよな…。もう死にたいな…。まぁ、部屋に帰るか…)


俺がエレベーターに乗ると、真昼と一ノ瀬も足早に乗ってきた。


(はぁ?!なんのつもりだ?!俺をそんなにバカにしたいのか?!もーいいよ!好きにしやがれ!)


(あっ、京くんもう行くの?それなら、ついていかないとね。誰の部屋を掃除するかもわからないし)


エレベーター内では真昼と一ノ瀬がおしゃべりをしている。


その度に俺のイライラメーターが上がっていく。


俺たちの部屋がある4階に着くと、俺は先に出た。


そして、早歩きで部屋へと向かう。


その後を追う二人。


そして自分の部屋の鍵穴に鍵を差し込んだ時だった。


「えっ?京くん?掃除ってどこの部屋をするの?もしかして…京くんの部屋?」


その時、俺は見たら「えっ?」とわかる顔をした。


「えっ?一ノ瀬さんと遊ぶんじゃないの?遊ぶと思ったから部屋に帰ろうかと…」


「いや、一ノ瀬さんは…、あっ!そうだった!言うの忘れてたーー!実は、一ノ瀬さんにもこの掃除を手伝ってもらうことになったんだ」


(やっぱり伝えてないってこと当たってたー!やっぱりこの子はわかりやすいわ)


「あっ、そうだったんだ。なんか勘違いしてたかも…。悪い」


(こっちもなんか勘違いしてたのかー。ほんとこの二人って全く噛み合わないなー。そこがまた面白いけど…)


「なんだ、それじゃあ、二人の誤解も解けたことだし、掃除といきましょうか!それで…森木くん!掃除する部屋ってどこなの?」


「あぁ、それはこの隣の部屋なんだけど…」


「えっ?隣の部屋って…まさか…、私の部屋?!」


(はーいここで少し疑問がございまーす。あ、私一ノ瀬です。

どう言うことでしょう。ここで明らかになる森木くんと宮下さんの隣人関係。

だからかー!それなら森木くんが看病する流れも理解できるわ!

なんかどこかでムズムズしてたのが、今めっちや綺麗にスッ!としたー)



「うん。一昨日、真昼の部屋に入ったとき、ゴミ多いなーと思って」


(なんと実は部屋にあげてましたかー?なんだこれ?続々とビッグニュース出てくるじゃねえか?!)


「え、まぁやるって言っちゃったし…、やるしかないのかな…?でも…」


「大丈夫だよ宮下さん!」


そう小声で伝える。


(こんなに面白そうなのに、なくなるとかなしでしょ!)


そして、一ノ瀬信者である真昼はすぐに信じる。


「わかった!それじゃあ今日はよろしく…お願いします」


「おう」


「うん」


こうしてはじまるお掃除大作戦!


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