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裁判

俺は今、自分の部屋で、悪いことは何もしていないのに(まぁ、女子高生の裸を見たが)正座をしている。


「それではこれより、裁判を始めます!」


真昼はそう宣言した。


どうやらこの裁判の原告かつ裁判長は真昼らしい。


これって俺が無罪になるのは100%無理じゃね?


だってだよ!原告っていうのはこの俺を訴えた人物だ。ということは必ず俺を悪いやつだと思っているはずだ。


さらにだ!裁判長というのはこの裁判の中で頂点の地位に君臨するもののことを言う。そしてその裁判長が原告でもある真昼なら、俺が無罪になるの可能性は1%たりともないだろう。


俺はこの裁判は始まる前から諦めていた。


こうして裁判長でもある原告の真昼と、実際は完全無罪なのにほぼ確定で有罪にすることが約束されている被告である京の、この世で最も不平等な裁判が始まった。


「それでは始めに…、なぜ私は全裸で寝ていたのでしょうか?私を全裸にしてまで何をしていたのでしょうか?」


(そう。これが一番の問題よね。京くんがわざわざ寝ている私の服を脱がしてまで何をしていたのか?もしかして本当にあんなことやこんなことを…。

京くんも大人になったということなのかしら…?

このことだけは絶対明らかにしないとね!)


「えっ?!な、何もしてないって!」


俺は少しテンパりながらも必死に抵抗した。


「それじゃあなぜ私は全裸で寝ていたのでしょうか?!私を脱がしておいて言い訳なんてできませんよ」


(この京くんの反応は絶対に嘘をついているわ。なんかのドラマとかで見たことあるもの。この反応は浮気が妻にバレた時の夫の反応そのものだもの)


真昼はさっきの質問よりも少し押し気味に聞いてきた。


「えっ?脱がした?いやいやもともと全裸だったじゃん!それに、俺の布団をかける行為なんて褒め称えてくれてもいいぐらいだと思うぞ!」


(まさか、こいつは真昼が寝ている間に俺が襲ったって勘違いしてるのか?!)


「えっ?私…全裸で布団も着ずに床で寝ていたというの?」


(えっ?それじゃあ京くんを変態扱いしていたけど、私の方が変態なんじゃない?)


(もしかしたら…この裁判!勝てるかもしれないぞ!真昼は絶対に何かの勘違いをしている。ここを押し切れば勝てるかも!)


俺はそこから、今に至るまでの経緯を全て話した。


真昼が風呂で気絶していたこと。


俺が全裸の真昼をここまで運んできたこと。


服を着させようとしたが、流石に抵抗があったのでタオルをひき、その上から布団をかけたこと。


俺はしっかりと話した。


しかし、俺が真昼の体を拭いたことはさすがに伏せておいた。流石にこれは犯罪者のする行為だろう。


「えっ?それじゃあ全部私の勘違い?!」


「おそらくは……」


「そ、その…ごめんなさい!私、てっきりこの体でいろんなことをされたのかと…、ほ、本当にごめんなさい!」


「いや、まぁ俺も真昼の全裸を見てしまったからずかずかと真昼を責めることもできないし…」


「まぁ、それじゃあwin-winってことだよね?よかったー」


(ん?何かおかしい気がするな。たしかに俺は真昼の裸を見ることができ、しかもそれを許された。

俺がwinであることは理解できるのだが…、真昼のwin要素はどこだ?

こいつ…win-winの意味わかってるのか?

やっぱりこいつは本当のバカなのかもしれないな)


こうして、よくわからない形になったものの、勝つ確率が1%もなかったこの裁判に俺は勝つことができた。


そうして一安心している時だった。


突然このバカがめんどくさいことに気がついた。


「でも、それじゃあ私はなんでお風呂から出たのに起きた時には水が一滴も付いてなかったのかな?」


「あ、そ、それは…まぁ俺が一応…拭いた」


その瞬間、真昼の顔は一瞬にして真っ赤になった。


「わ、私…元気になったから帰るね。色々とありがとね、それじゃあまた明日学校で」


真昼は素早く俺の部屋から出て行った。


しかし、数分後、再び俺の部屋に戻ってきた。


「あの…鍵を…」


そうだった。俺は昼間に真昼の部屋の鍵も閉めて、今はここにあるんだった。


「はい…」


「ありがとう…」


真昼は俺から鍵を受け取るとすぐさま出て行った。


どうしてだーーーー!さっきまでなんだかんだで落ち着いてたのにーーーー!あのバカがこのことに気づかなければ…。くそっ!


しかし今考えてみると、今日はものすごく長かった気がする。


ふぅ、とため息をついた。


寝るか。


そうして眠りにつくためベッドに寝転んだ時だった。


「ししょおぉぉぉぉぉーーーーーー!」


隣から大きな声が聞こえた。


隣の家は…真昼だ。


えっ?真昼って誰かの弟子なの?!

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