誘拐?
私の頭は今はてなでいっぱいだ。
何故って?
私が目を冷ますと知らないベッドで寝ていたのだから。
起きようと思ったが、体がだるいことが自分でもわかった。少し休ませてもらおう。
しかし不思議な点がある。
それは何故私のカバンが一緒に持っていかれているのだろう?
もしかして誘拐?!
ふと考えてしまった。
ありえるな。一応JKだし誘拐される権利ぐらいある。しかし不思議なことにこの誘拐犯は今ここにいないし、私拘束されてないし、ベッドで休ませてくれてるし…、以外にこの誘拐犯優しい人なんじゃないのかな。
それとカバンの中って確認とかされてないよね?
カバンには、誰にも見られたくないものが…。
そう、カバンには京くんの小さいころの写真が5枚程度入っており、いつでも鑑賞できるようにしている。
見られたらひかれるに違いない。
ひとまず誘拐犯は悪い人じゃなさそうなので、一安心だ。
しかし周りを見ると私の好きな光景が広がっている。
そこには本が大量に、そしてフィギュアなども置いてある。
あー、この人ってオタクなんだー。
見た人が私でよかったね、私はオタクだったからそこまで違和感ないんだよねー。
しかも私の好きな人も、オタクだからなー。
も、もしかしてこの部屋って京くんの…。
ないか、京くんは今日学校だし。
って!私も学校だったんだー。休みの連絡とかもしてないし、どうしよ?
しかし、そんなことよりも体がだるいことが勝ってしまった。
私は再び意識を失った。
またしても夢の中ではイケメンの京くんが現れた。
私は夢の中でも熱を出していた。
そこに京くんが現れた。
「真昼、大丈夫か?」
「うん…、まあなんとか…」
「そうか?かなりしんどそうだけどな」
そう言って京くんは私のデコに手の裏を当てる。
「かなり熱があるじゃないか!どうしよう?そうだ!お前の熱を吸い取ってやる!」
そう言って京くんは、私の口に自分の口をつけて吸い付ける。おそらく熱を吸い取ってくれているらしい。
(あくまで、この夢の中での京の考えです。)
その口づけは30秒ほど続いた。
惜しくもここで目が覚めてしまった。
この後がとても気になる。少し悔しいな。
目が覚めたので辺りを見渡すとそこには人がいた。
そ、そこには…森木 京くんがいた。
「け、京くん?!何してるの?もしかして…誘拐?!」
「ち、ちげーよ!ってか誘拐ってなんだよ?!お前がドアのところで倒れてたから一応看病って感じ…」
少し恥ずかしいのか京くんは声を細めた。
「あ、そうだ!一応さっき買い物行ってきていろんなもの買ってきたから、えっと…これで熱測れば?」
京くんはそう言って私に体温計を渡す。
私はそれを脇に挟みながら聞く。
「どうして…看病なんてしてくれるの?」
「いや、別に…、あっ、そうだ、貸しだよ!昨日の貸しはこれで消費だからな!」
(そんなもん、心配だったからなんて恥ずかしくて言えるわけないだろ!)
(そうだよね…、貸しだよね。心配だったからとかじゃないよね。少し悲しいな)
「ピピッ!」
そこで体温計が鳴る。
真昼が体温計を確認する。
「あ、38.5度あるや、そりゃーしんどいか」
(ふぅ、一応保護しといてよかったな)
「まぁひとまず今日は休んどけよ、今からお粥作るから」
そう言って京くんはキッチンへと移動する。
えっ?!京くんの手作り料理?!。
今日って意外と良い日なのかも…!
少し熱が上がった気もした。