かごの中の白 3
(あっ、そうだ!)
俺は財布を持ちだし、思い付いたかの様に部屋を出た。
そして走った!
中学以来と言ってもいいほど、全力で走りまくった。商店街の薬局へと!
薬局に着くと俺には全く無関係な、あるコーナーへ急いだ。種類は色々あったと思うが、目の前の紙おむつと缶の粉ミルクらしき物を購入した。
(早く帰らないと!)
とにかく、考えるのは後だと自分に言い聞かせながら、帰りはかなりのペースダウンで、アパートへ戻ってきた。
自分の体力の低下に呆れてしまった…
玄関口から部屋を見ると、人の苦労も知らずかごの主は、天井を見上げながら意味不明な言葉を発していた。俺には見えない誰かと話していたのだろう。
無事、留守番していたことに安心し、買い物袋から紙おむつを出してみた。
ビニールのパッケージ裏には、40過ぎの独身男性でも理解できるように、丁寧な説明が書かれていた。
(うんちしてたら、どうしよう…)
不安になりながら、主をゆっくり抱き上げ片手で頭部を押さえながら、そっと床へ寝かせた。
(んっ?なぁーんだぁ!お前は女の子だったのかぁ!)
幸い、恐れていたうんちはしておらず、説明書きを何度も見返しながら、なんとか装着することができた。
それと同時に、女の子とわかると、少し恥ずかしい気持ちになっている俺がいた。なんじゃこりゃ…