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作者:


 空はすっかり闇に包まれ

 灰色の分厚い雲が淡く輝く月にかかり

 白い雪がそんな空を塗りつぶすかのように舞い降りる


 それは、頬に当たると刺すように冷たく

 足元に落ちれば地面を埋め尽くす


 辺りはすっかり降り積もり

 道の境界線すら分からなくなっている

 街路樹もすっかり雪に埋もれ

 それはまるで雪の模型のよう


 そんな中を一人の男がゆっくりと進む

 滑らないよう、足を踏み外さないよう

 一歩一歩慎重に踏みしめながら


 だけど、心は急いでいた

 暖かな家族の元へ一刻でも早く帰りたいと

 凍てつく寒さの中、家族を思いつつ進む


 手足はもうすっかりかじかみ

 動きはするもののその感覚は失われている

 それはまるで自分のものではないようにも感じられる


 重りを持ち上げるように、足を持ち上げ

 雪道に足跡をつける


 その跡は深くくっきりと付いたかと思うと

 次には新雪が降り積もり、その形を失っていく


 晴れた日なら何でもない場所なのだけど

 その日はまるで永遠に道が続いてるのではないかと思わせる


 するとようやく、明かりが見え

 煙突からは、蒸気が漏れる


 ログハウス風の木製の屋根からはつららが下がり

 壁にも雪が張り付き

 家までもが凍り付いてるよう


 ただ、その窓を覗けば光が漏れ、そこに安堵を覚える

 暖房が効き、適温に保たれたその部屋では


 家族たちが思い思いに過ごし

 子供たちが走り回り、母がそれを温かく見守る


 祖母は台所に立ち、大なべをコトコトと煮込む

 十分に時間をかけてじっくりと


 鍋からは暖かそうな蒸気が漏れ、煙突から抜けていく

 

 そこへようやく、男がたどり着き

 冷気と共に家の中へ


 満面の笑みで子供たちが駆け寄り

 おかえりの言葉が飛び交う


 祖母は、男の冷えた体を思い一刻でもと鍋を運ぶ


 鍋をテーブルの中央に置き、皿が並べられ

 そこに丁寧に注がれる


「あなた、どうぞ召し上がれ」


 ハ○ス シ、チュ、ウ

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