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episode.2


 本編を読んでいないとさっぱりわかりませんので、先に本編を読まれることをお勧めします。



*◆*◇*◆*◇*



『ハロルド先生の授業は乗っ取られた』



*◆*◇*◆*◇*



◆学園に入学する前にしなければいけないこと




「折り入って、君に頼みがあるんだ。」


「殿下、(わたくし)もですの。」


 深刻そうな二人は、同時にため息をつき、少し冷めた紅茶を飲んだ。ハルヴァール王太子殿下が決意した目で婚約者のカテリナを見つめた。


「来週から学園に行くことになっているが・・・」


「はい。私の相談もそのことですわ。」


 カテリナはそっと、何かを噛みしめるように空を見上げた。


「知っていると思うが、俺は、公爵家のエレーナが苦手だ!彼女と同じ場所で勉学など無理だ!」


 殿下が頭を両手で抱えた。苦悩が体から滲み出そうだ。


「彼女のあの蛇のような、獲物を狙う瞳がどうしても、どうしても、耐えられない。」


 俯いていた殿下は、エレーナのことを思い出したのか、慌てて目を大きく開けて頭を振った。


「恥を忍んで、君にお願いしたい。彼女を止める役目を負ってくれないだろうか。」


「殿下。いえ、ハル。交換条件ですわ。私も脳筋がもう、ダメで、ダメで、無理なのですわ!」


「あぁ、奴か。」


「あの、私の体を()め回すような視線!気持ち悪くて(たま)りませんの!毎日会うことになるなど・・・。」


 カテリナは自身の体を抱きしめた。今もどこかの陰から見られているような気持ちになり、泣きそうになる。


「わかった。そちらは俺が引き受けよう。女性に暴力を振るうわけにはいかないが、男なら別だ。リナに近づけさせないように、約束する。」


「でしたら、私もハルを、あらゆる手を使ってでも守って差し上げますわ。」


 爽やかな王宮の庭で、麗しい男女のお茶会が開かれていた。

 通りがかった警備中の近衛は、素敵だなと思い、通り過ぎる。


 だが、近くに控える侍女は、


 ―――恐ろしい盟約が、ここに交わされましたわ。


 と、震えるのみである。


 ちらりとテーブルを見ると、


 素敵な笑顔の主君達が、ガシッと手を握り合っていた。

 学園を卒業したら、結婚する予定になっている彼らは、恋人ではなく、強大な敵を前にした戦友のような風情だった。




*登場人物*


◆ハルヴァール王太子殿下(現国王、リトアの父)

公爵令嬢カテリナの婚約者。幼い頃から公爵家のエレーナから、過度な求愛を受ける。最初は穏やかに対応していたが、徐々に恐怖を覚えるようになる。側室に迎えるのも嫌。女性が嫌いというわけではない。カテリナのことは好きだが、家族愛の方が強い。騎士団の脳筋がカテリナを下品な目で見ることに怒っているが、姉を守る弟のような雰囲気である。


◆カテリナ嬢(現王妃、リトアの母)

王太子殿下の婚約者。幼馴染でもあるので、エレーナのことは昔から知っている。エレーナの行動もそこまで奇異な物とは思っていないが、ハルがすごく怯えるので、何かあったのかなと思っている。一度、話を聞いた時に、ハルが気絶したので、それ以降は話題にしていない。ハルには愛情ではなく、家族愛や友情の方が強い。政略結婚で変な男に嫁ぐよりは、ハルで良かったと思っている。


◆エレーナ嬢(現マルスト侯爵夫人、クランリーゼの母君)

王太子殿下に恋した普通の美少女。カテリナが婚約者に決まってから、色々頑張っちゃった。本人は王太子殿下に嫌われていると思っていない。侯爵家の婚約者がいるが、王太子殿下の側室も諦めきれない。(例:クッキーにおまじないで髪の毛入れちゃった。)


◆騎士団の脳筋(現騎士団長、リリアの父君)

美人なカテリナの色気に魅了された青少年。本人は紳士的に接しているが、目がどうしても、胸や腰あたりにいってしまう残念で正直な人。そういう視線に乙女は敏感です!カテリナが自分といる時に俯くのは、自分に好意があって、照れているだけだと思っている。魅力的な体を持つ異性には、積極的。カテリナの他にも目を付けている少女が何人かいるので、カテリナだけに執着しているわけではないが、王太子殿下にはライバル意識があるので、カテリナに結構な頻度で関わってくる。



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