episode.1
素敵な妄想を下さったみなさまへ
本編を読んでいないとさっぱりわかりませんので、先に本編を読まれることをお勧めします。あらすじに注意事項を入れました。※ここでも言います!コメディです!
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『なぜ彼女はあの男に惚れてしまったのか』
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◆こんな夢はいやだ。
夢に出てくる『彼』はいつも同じ体型なのです。
夢の中の『私』は何度生まれ変わっても『彼』の体型に目を奪われるのです。
そして、間違いようがなく『彼』だとわかるのは、その暖かい雰囲気と、やはり体型でしょうか。
生まれ変わると『彼』はいつも近くにいます。ぽっちゃりの父親だったり、でっぷりの兄弟だったり、大丈夫?と心配になるほどの従弟だったり。
気づいた時には、『彼』はもう妻や恋人に捨てられたり、振られていました。
『彼』が涙目になっているのを見ると、『私』もなんとも生暖かい気持ちになれるので、いつもいじめてしまいます。
でも、次は、次こそは、『私』が一番『彼』の側にいて、照れ隠しでいじめるのではなく、本当の気持ちを伝えたいと、想い願います。
―――夢だと思い込みたかったです。
だけど、この世界では『彼』は父の友人でした。肉親ではないのに、早いうちに気づけたことも運命でした。
『シルビオ』にやはり妻も恋人もいないことを知り、とてもとても嬉しかったのです。
【夢落ち*おわり】
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◆お伽噺のように。
―――では、誓いの口づけを。
神父様が厳かに言い、本日夫婦になる二人を微笑んで見つめる。
シルビオはゆっくりと花嫁のベールをめくり、少し照れたような顔で、真っ赤になった花嫁に口づけを・・・、
少しだけ唇が触れ合ったとたん、二人を中心に光が弾けた。
光が収まった後には、可憐な花嫁と
―――誰?
「シ、シルビオ様?」
気づいていない花婿の細くなった腕をガシッっと掴み、花嫁は控室に連れ込みました。
「な、な、なんですかこれはーーーーー!!!」
控室から、男の叫び声が響きました。
あれは、花婿なのか。花嫁はそう呼んでいたが。
祝福に来ていた者達は、どうしていいかわからず、座ったまま控室を凝視することしかできません。
「み、皆様、申し訳ありません。少しお待ちください。」
ハーシュベル公爵夫妻が頭を下げ、彼らも急いで控室へ入って行く。
「あ、アーリスト殿。ど、ど、どうすればー!?」
「落ち着け!お前はシルビオなんだな!?」
「・・・・。」
「違うのか!?」
「中身は私です。シルビオで間違いないはずです!」
最全席で結婚式を見ていた者達には、控室の切羽詰った声が聞こえてくる。
「わ、わたしの素敵なクマさんのお腹が・・・えっぐえっぐ。」
「リセリア!泣いている場合ではない!」
「だって、お父様。あのお腹はとてもとても、気持ちがよかったんですのよ!!これから触りたい放題だったはずなのに・・・。」
花嫁の何とも言えない嘆きが聞こえてくる。
「リセは、私のお腹が好きだったのか。痩せたら、嫌われるのか、嫌われてしまうのか・・・。」
花婿の悲痛な叫びも聞こえてくる。
神父様にも全部聞こえているのか、いつも冷静な方の額から、汗が流れる。
「またシルビオが太ればいいだけであろう!!」
そう怒鳴ったハーシュベル公爵の声が教会に響き渡った。
王子は思う。
「太ればよかったのか。今からでも間に合うかな♪」
――――ソレ、あかんやつやー!!
「息子よ!待つんだー!!」
と叫んで、飛び起きた王様は、すごい悪夢を見たと、その日一日真っ青な顔だった。
【夢落ち*おわり】