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【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第五章 荒廃した魔都を保護する為の奇策
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撤去 と お馬鹿な子

俺達はあれからベリトとラマシュトゥにも協力を仰ぎ、何とか全ての木札を撤去する事に成功する。


「良くもまあ、これだけの物を作ったものだよな」


俺はある意味感心してしまった。

今俺達の目の前の机には、二十三枚の木札が山となって置かれていた。


「これ一つ作るのだけで、相当な根気が必要になると思うんだが?」

「だね。しかも、ボクでもこの技術は真似出来そうもないよ」


俺が呆れながらそう言うと、セーレが悔しそうに言った。


「……でもまあ、これで更にスムーズに浄化が捗るだろ?邪魔する物はもう何も無いんだから。それだけでも儲けもんだと思う事にしようぜ?」


俺は今は前向きに捉えるべきと判断して、皆に笑顔を向けて言った。

皆もそれに頷いてくれた。

そんな時、控えめなノックが聞こえる。


「はい」


俺が返事をすると、一人のエルフが顔を覗かせる。


「……すみません。お忙しい所を…………あの~……」


エルフがとても言いづらそうに、肩にある“者”をチラリと見遣る。

俺は溜め息を吐いて頭を抱えた。

そこには、担がれたミシディアの姿があった。


「…………態々悪かったね。後はこっちでやるからいいよ。君も少し顔色が悪そうだから一回休んでくれる?」

「あ、はい!」


エルフは俺にミシディアを預けてから、一礼して部屋を退室していった。

俺はソファーにミシディアを横たえる。


さて…………どう言ったお説教がいいかな?


俺がそんな事を考えてると、程なくしてミシディアの瞼が僅かに揺れる。


「う……ん……」


そして、ミシディアの瞼がゆっくりと持ち上げられ、ミシディアは目を覚ます。


「あ、れ……?ここは……」

「やあ……おはよう。ミシディア」


俺はニッコリと笑ってミシディアに挨拶をした。


「ひっ?!」


ミシディアは俺のその様子を見て、何とも情けない悲鳴を上げる。

俺は笑っているようで…………笑っていなかった。


「あ、あの……セ、セツナ様……?」

「…………ん?何かな?ミシディア」


俺が聞き返すと、ミシディアが涙目になりながら、ソファーの上に正座をしたかと思うと、勢い良く頭を下げた。


「すみませんでしたー!!」

「はぁ~……何故俺が怒ってるか分かる?」

「うっ……そ、それは、倒れたから…………ですか?」


ミシディアが上目遣いで聞いてきた。


「そう。俺言ったよね?無理は禁物だって……倒れそうになったら必ず言う事。それなのに、何で倒れるまで無茶してるんだ?」

「そ、それは…………」


ミシディアが言い淀む。

俺はジッとミシディアを見詰め、ミシディアが話すまで待った。


「………………………………役たたずに思われたく無かったから」


ミシディアがボソリと呟く。


「……は?」

「役たたずに思われたくなかったんです!!力の無い子だと思われたくなかった!!だから……っ!!」


ミシディアがヤケにって、半狂乱で喚き散らす。


「……それで倒れたら世話無いよな?」


俺の声に棘が混じる。


「っ?!」


ミシディアが言葉に詰まる。

俺は長い溜め息を吐くと、ミシディアの目を見詰めて言った。


「役たたずの人間、ね。早死にする奴がどんな奴か知ってるか?」

「…………え?」

「まあ、色々あるが……例えば己の力量を知らない奴。限界を知らない奴。引き際を見極めれない慧眼を持たない奴。それから…………周りを顧みない奴」

「あ…………」


ミシディアが小さく声を上げる。


「仲間って言うのはな、ある程度の我侭なら目を瞑ってくれる。自分の不始末をフォローしてくれる。けど、倒れては意味が無いんだよ。倒れれば、それだけでお荷物になる。戦いから逃げたくても、自分のせいで仲間を死なせてしまう事もある。少なくとも自分が倒れず、自分の足で逃げる事が出来れば助かった命だったかもしれないに、だ。そう言う奴が役たたずになるのだと俺は思う」

「………………」


ミシディアは無言だった。


「仲間に寄り掛かる事は別に悪い事じゃない。自分が出来ない事は仲間がしてくれるし、逆に仲間が出来ない事は自分がしてやればいい。仲間を頼る事が出来ないのは…………それは即ち、仲間を信頼していないと言う事……仲間への侮辱に他ならない」

「……っ?!」


ミシディアの瞳から、大粒の涙が溢れ出す。


「…………で?他に言う事は?」


俺が努めて優しく聞くと、ミシディアは涙を拭いながら言った。


「……す、みませ……し、た。これか、らは、気をつけ、ま、す……ヒック」


しゃくり上げながらも、懸命にそれだけを口にする。

俺はそんなミシディアの頭を、労るように撫でるのだった。

あっという間にお盆休みも終わりです。

短い…………もう仕事無くていいよ 涙

まあ、仕事あるだけ有難いと思わなきゃね!笑


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