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【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第五章 荒廃した魔都を保護する為の奇策
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木札 と 元凶

本日も二話投稿です。

俺とベリアルは、今魔都のとある森に来ていた。


「ここら辺だとは思うんだけど……」


魔力眼で周囲を探索する。


「…………ここら辺で間違い無い筈だ。俺もさっきから肌に突き刺す感じがするからな」


俺達は慎重に辺りを見渡していた。


「あ!あれかな?」


俺は、ある一箇所だけ地面がぽっこり盛られてる場所を指差す。

まるで一度掘られて埋められたように……。

俺達はそこを掘り返してみる事にした。


「…………やっぱりあったな」

「…………ああ」


俺の言葉に、ベリアルが不機嫌に眉を寄せる。

そこには、何やら木札のような物が埋められていた。


俺が気にかかっていた事が二つある。

一つは魔素量の急激な増加だ。

三年程前から、確かに魔素の影響で暴走する魔族はいたが、それでも軽い諍い程度ですぐに収束する事が出来た。

けれど、この数ヶ月で魔素量が異常なまでに増えてしまい、魔族への影響も顕著に表れるようになってしまったのだ。

そして二つ目だが、魔族達のあまりにも普段と違った変貌ぶりだった。

周りの者達から聞いてみても、暴走した者達の殆どが、魔族の中でも特に大人しい連中ばかりだったらしい。

この話を聞いて、俺は真っ先に先日のタナロアの件を思い出した。

セフィナ曰く、タナロアは本来優しくて大人しい性格だったと聞く。

それがあれ程の変貌ぶりを見せ、セフィナも戸惑いを隠せないのでいたのだった。

これらを鑑みて、もしかしたらと思いずっと探していたのだ。

けれど、この島全体に魔素が充満していたせいで、ハッキリとした場所が今迄特定出来なかった。

なので、今日は少しばかり時間に余裕があった為、ベリアルと共にここまで探索に足を運んだと言うわけだ。


「…………これで決定的だな」


俺は軽く溜め息を吐く。

これがあると言う事は、間違いなくこの魔素の現状が意図されて出来たものと言う事になる。


「……やはり帝国か?」

「それはまだ……だが、それ以外は考えられないだろうな。あれから分体からの連絡は?」


俺は少し思索してから、ベリアルに聞いてみた。


「……いや、特に何も連絡は無い。消された感じでも無いから、特に報告する事も無いのか…………或いは、やはり魔素の影響で俺の所まで念話を送れないのか……兎に角、今は情報が来ない」

「…………そうか」


俺達はお互い黙る。

やはりいくら考えても、帝王の意図が読めない。

各国でそれなりに騒ぎを起こしているようだが、本格的に国を滅ぼそうだとか、世界を滅ぼそうだとか考えているようには思えない。

特にこの数ヶ月…………まるで俺を誘導するような素振り……これなら、獣人国や天空城でも何かあると考えた方が良いかもな。


「ふぅ~……まあ、取り敢えずはこれを〈解析〉してみるか。俺が倒れたら後は任せるよ」

「………………」


俺がそう言うと、ベリアルが更に不機嫌な顔になる。


「あはは。そんな顔するなよ。俺だっておいそれと倒れるつもりは無いし。でも万が一って事もあるだろ?」


俺はそう前置きをして、早速スキル〈解析〉を発動する。

だが…………


「ッ?!」

「セツナ?!」


ベリアルが慌てたような声を出し、倒れ掛かった俺の体を支える。

いつものクールビューティさは欠片も無く、慌てふためく姿は見てて面白い。

今はそんな事を気にしている場合ではないが……。


「だ、大丈夫だ。ちょっと眩暈がしただけだから」


俺の言葉に、ベリアルが見るからに安堵した顔になる。


「……だが、案の定と言うか何と言うか……」

「…………視えなかったんだな?」

「……ああ」


俺は苦虫を噛み潰したような顔をする。

この感覚には覚えがある。

これは、ニーズヘッグの卵の欠片の破片を〈解析〉しようとした時と同じだった。

莫大な量の…………俺の脳では処理出来ない程の情報が一気に流れ込んで来る感覚だ。

これでは何の情報も得られない。


「はぁ~……兎に角、今は他の場所を見て回るか。この一箇所だけとは思えないしな」

「…………お前は一度休んだ方が良いんじゃないのか?」


ベリアルが心配そうに俺に聞いてくる。


「ありがとう、心配してくれて。でも大丈夫だから。もう〈解析〉はしないし、この札を見つけるだけなら特に負担も無いからな」

「………………分かった」


ベリアルは渋々とは言え、俺の我侭を聞き入れてくれた。

俺はそんなベリアルに苦笑しながらも、心の中で再度礼を言うのだった。

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