表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第四章 王都と人魚姫をストーカーから守り抜け!!
70/96

レヴィアタン と 二度目のデジャブ

本日も二話投稿します。

タナロアの死後、亡骸はボロボロと崩れ落ち、藻屑となって波に飲み込まれてしまった。

出来る事なら丁重に埋葬してやりたかったが、こうなってしまっては致し方ない。

なので、形だけとは言えタナロアの墓を作る事に決めた。

何もしないよりかはマシだろう。

例えそれが、自己満足にしか過ぎずとも……。


タナロアの墓を作り終えると、次はタナロアの拠点としていた海底洞窟へと向かう。

以前、人魚国の斥候隊が偵察に来た時は、魔物がうじゃうじゃ居て近寄れなかったらしいが、今となっては嘘のように静まり返っていた。

洞窟の一番奥まで行くと、後付けで人工的に作られたような広いホールに出る。


「レヴィアタン……」


そこには、とぐろを巻いて静かに瞑目しているレヴィアタンの姿があった。

触れてみると、しっかりとした温もりと鼓動が伝わってきて、俺は胸を撫で下ろす。

早速【解析】で視てみる事にした。

どうやら、レヴィアタンそのものに、【昏睡】の術式が組まれているようだった。

これなら、俺の【遡行魔法】で解除出来る。


「………………」


だが、俺はずっと何かが引っ掛かって仕方が無かった。


「……セツナ様?」

「…………いや、何でもない」


俺が思案に耽っていると、アヤメが心配そうに声を掛ける。

俺は一度頭を振る。

今優先すべきは、レヴィアタンの救出だ。

考えるのは後からでも出来る。


もしかしたら、レヴィアタンから何か情報を得られるかもしれないしな。


そう頭を切り替えて、俺は【遡行魔法】をレヴィアタンに掛けた。

すると、すぐに効果が発揮され、レヴィアタンの固く閉じた瞼が僅かに揺れる。


『う……ん……』

「レヴィ、気分はどう?」


これはレヴィアタンの愛称だ。

と言っても、勝手に俺が付けたので、俺以外は誰も呼ぶ事もないが……。


レヴィは、寝起きだったからか、暫くぼんやりとしていが、俺に焦点が合うと何とも間の抜けた挨拶をしてきた。


『あら?セツナじゃない。一年ぶり…………百年ぶりだったかしら?兎に角久し振りね』


俺はガックリと肩の力が抜ける。


一年と百年じゃ、かなり差がありすぎるだろ…………。


相変わらずの天然さに、俺は苦笑するしかなかった。

何はともあれ、レヴィアタンの無事を皆で喜ぶと、ミシディアとカルミアを迎えに行く為に、レヴィアタンに頼んですぐに港町に向かう。


人気の無い岩礁で一度レヴィアタンと別れ、宿屋に足を向けるが、途中の港に着くと何故か大歓声に包まれ、俺は後ずさりしてしまう事となった。


「「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」

「っ?!な、何だ?!」


アヤメ達も目を剥いて驚く。

そこには、港町の住人が全員集まっているのではないかと言う程、人だかりが出来ていた。


あ、あれ?また再びデジャブが…………。

でも何でだ?俺自分の事話したつもりないんだけど?


すると、その人垣を掻き退けるように、二人の影が前に進みでる。


「ミシディア、カルミア?」


何故かミシディアは気まずそうに俺を上目遣いで見てくると、突如勢い良く頭を下げた。


「すみません!!私がつい口を滑らしてしまって…………セツナ様の事が町の皆さんに知られてしまいまして……」


ああ……なるほど。

これで納得がいった。

まあ、確かに面倒い事この上ないが、バレてしまったのなら仕方が無い。

けれど、そんなミシディアに、アヤメがニコリと笑顔を向ける。


「…………ミシディア?」

「ひぃぃ!!」


笑ってはいたが、そこには確かに怒気が含んでいた。

その剣幕に、ミシディアが怯えたように情けない悲鳴を上げる。

これは暫くお説教タイムが続きそうだと思い、俺は放っておく事にした。


「カルミアは、特に変わった事は無かったか?」

「……ん。大丈夫」

「そうか、それは良かった」


俺はカルミアの頭を撫で一人和む。

周囲を見渡すと、そこに宿屋の主人を見つけ、俺は声を掛ける事にした。


「主人、二人が世話になった。宿賃はあれで足りたか?」

「は、はひ!!ももももももも勿論ですとも!!いえ!寧ろ宿賃など必要ありませんとも!!!!」


主人に酷く恐縮されてしまい、俺は苦笑する。

主人のすぐ隣では、ララがぽけーと俺を見上げてきていたが、気付かなかった事にした。


「そう言うわけには行かないだろ。でも、足りたならいいんだ」


それだけを言うと、俺は仲間達の元に戻る。


「おい。いつまでやってる?レヴィを待たせてるから、続きは後でやれ」


ミシディアを正座させて、未だに説教を続けている二人に呆れて声をかけると、アヤメは「はい!」と元気良く返事をしたが、反対にミシディアは「そんな~」と涙目で情けない声を出す。


多少予期せぬ出来事に戸惑いもしたが、当初の目的通り、ミシディアとカルミアにレヴィアタンの加護を与えてもらい、俺達は一度人魚国に帰還するのだった。


人魚国は明日立つ予定だ。

人魚国の転移魔法陣もやる必要はあるが、先に魔都のをやらなければ行けないので、申し訳ないが人魚国のは後回しにさせてもらう。

とは言うものの、今日一日のんびりしてもバチは当たらないだろう。

それに、今回の功労者は間違い無くセフィナだ。

なので、今日は目一杯セフィナを甘やかしてやりたいと思うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ