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【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第一章 二度目の異世界は十年後?!
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転移魔法陣 と 通信玉

ここから一気に投稿したいと思います。


さっさと旅立ってほしい、作者の勝手な思いです ( ̄▽ ̄;)

視界に飛び込んできた金色の主はアリアだった。

俺が扉を開けたと同時に、まるで待ちきれなかったと言うように俺に抱きついてきたのだ。

俺は予想だにしなかった状況に、若干よろめきつつも、それでもアリアを受け止めた。


「お会いしたかったです!セツナ様!!」


アリアは少し鼻声になりながら、俺の背中に回した腕を強めてくる。

俺は、今じゃ殆ど変わらい身長であるが、昔と同じようにアリアの頭を優しく撫でてやった。

すると、堪えきれなくなったのか、アリアが啜り泣くのが聞こえてきた。


「ひっ……うっ……」


アリアの体は小刻みに震えており、双眸からは大粒の涙がとめどなく溢れている。

俺は困りながらも、けれど彼女が泣き止むまでずっと頭を撫で続けたのだった。

数分経ってから、漸く彼女は少し落ち着きを取り戻したのか、ゆっくりと俺から身体を離す。

目と鼻が少し赤くなっているが、俺は見なかった事にした。


「申し訳ありません。お恥ずかしい所をお見せしました」


アリアが少し照れながらも謝罪をする。

俺はアリアの頭をもう一撫でしてから、そこで漸く彼女の後ろに意識を向けた。

そこにはアレク王を始めとし、クルト王子やトマルス、先程の謁見の時にも居た者達が揃っていた。

何故かアレク王は生暖かい目で俺達を見ている。

若干気恥ずかしさを覚えながら、俺は頭を掻いた。

それから、恐らく今回の勇者召喚に関わったであろう、黒法衣と白法衣の人達が、今はフードを取った状態でそこに居た。

耳が長いのが特徴的な白法衣を着た【エルフ】ーー。

額に小さな出っ張りのような角を生やしたのが特徴的な【魔族】ーー。

そんな人達を前に、俺は満面の笑顔を向けて口を開く。


「ただ今。皆」


その言葉に、その場に居た全員が一斉に「お帰りなさい」と言ってくれたのだった。






それから俺達は、何故か謁見の間には不釣り合いの丸テーブルと4脚の椅子があり、そこに俺とアレク王とクルト王子とアリアが腰掛ける。

何でも、最初はアレク王達とだけ会うつもりで自室に呼ぼうとしたらしいが、他の面々が「狡い」とかなんとか言ったらしく、急遽再度謁見の間に俺を呼び出す事に決定したらしい。


何とも嬉しい事である。


因みに、この世界の殆どの人達は、俺が【転生者】である事は伝えてあった為、俺の姿が変わって目の前に現れても、差ほど驚きはしなかったのだ。

隣を見ると、何故かクルト王子がチラチラとこちらを見てくるので、俺がニコリと笑うと、どうしてか頬を赤らめて俯いてしまった。


…………分からん。


それからは、この世界についての現状を軽くお復習する事にした。

【帝国】の動向も気になる所だが、今は魔物の襲撃の方ばかりにしか手が回らず、各国との連携もままならない状態で、今現在八方塞がりなのだそうだ。

そこでふと俺は気になった事を質問してみる。


「【転移魔法陣】や【通信玉】は?」

「それがどちらも使用出来んのだ……」

「……使用出来ない?」


俺は耳を疑った。

連携が取れないと言う話だったが、連絡手段がないわけではないのだ。

連絡さえ取れれば、少なくとも先方の今の状態も手に取るように分かるし、そうすれば戦術も立てやすいのだから。

俺が口にした連絡手段だが、まずは【通信玉】と言うものがある。

これも【記録玉】のような水晶球の形をした魔道具だ。

この【通信玉】に別の【通信玉】の波動を登録する事で、遠方の者とも画像付きで連絡が取れるようになる。

テレビ電話みたいなものだ。

それから、【転移魔法陣】だが、これはずばりその名の通り、行きたい場所に瞬時にテレポートする事が出来る代物だ。

勿論その為には、行き先にも同じ【魔法陣】が無ければ話にならないのだが……。

この【転移魔法陣】は王城に設置されている……と言うか、俺が昔にそうさせたのだけど。

緊急時の時の為の予備作みたいなもので、ある【鍵】がないと発動しないようになっている。

頻繁に使えるようになってしまえば、この世界では過去の例にも事実あった事だが、人間楽な方に道を進むと堕落してしまう事を危惧しての処置だった。

それに【転移魔法陣】は、【特殊スキル】の部類に入るので、今迄王城とかになかったのは、ただ単に魔法陣を作れる者がいなかった為でもある。

しかも【鍵】付きなど、誰も思いもつかないものだったらしく、これは何故か俺の【オリジナル魔法】として、今は周知の事実となっているらしい。


恥ずかしい事この上ない……。


それにしても、そのどちらも使用不能に陥ってるとなると、アレク王の言うように、各国との連携が行き届かないと言うのも納得だった。

今はギリギリ足で情報収集を行えてるらしいが、このまま行けば、遅かれ早かれ、各国の情報も完全に遮断される事になり、救援の為軍を派遣したくても出来ない状態に陥ってしまう危険性もある。

因みに、通信手段が取れなくなった理由は、世界の【魔素】量が急激に増えた為に、それが【魔方陣】にも何らかの影響を及ぼしていると言う話なのだが…………ん?


「ちょっと待てよ……」


俺はそこで思考の波から浮上する。


いや……だけど、成功するとは限らないしな……。


俺はその自分の考えを一旦否定した。

確証のない事を、今この場で言うのは幅かれるからだ。

けれど、俺が呟いた一言に皆が反応して、一斉にこちらを見てきていた。

何かあるなら言ってほしいと暗に語ってきてる気がしたので、俺は仕方なく、取り敢えず考えついた案を皆に伝えてみた。

後は王の判断に委ねるだけだ。

皆が寝耳に水と言った感じで、俺の案を真剣に聞いていた。


「だけど、これはあくまで仮説だし、成功する可能性も低い。それに、少なくとももう一箇所地点がないと、これが成功したかどうかの検証も出来ない」


俺は最後に念を押すように言った。

けれど、もしこの仮説が裏付けられ、成功するようなら、各国の連携も復活し、必要なら協力し合う事請け合いだろう。

アレク王は腕を組み瞑目し、暫く逡巡していたが、意を決したように目を開けて言った。


「よし!それで行こう!」

「……いいのか?」


自分で言った事とは言え、不安がないわけではない。

もし失敗したらと思うと、それだけ無駄な労力と時間を有するし、何より根拠の無い希望など、あってないようなものである。

それでもアレク王はしっかりと頷いてくれた。


「少なくとも、このままでいれば、魔物は更に増え続け、延いては【帝王】なるものの力も増大するやもしれん。今は、個々の力よりも、団結がものを言うだろう。何、心配するな。もし失敗しても、ここにはお主を責める者は誰もおらんよ」


そう言って、アレク王はニカッと笑ってみせた。

それを聞いた、アリアやクルト王子、臣下たちも勢いよく首を縦に振ってくれる。

俺はやはりこの人達が……この世界が好きだと改めて思うのだった。

勿論、元の世界も好きだが、【地球】には【地球】の、【アルガナリア】には【アルガナリア】の良さがあるのだ。

その後は、細かい打ち合わせをしてから散会となった。

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