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【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第四章 王都と人魚姫をストーカーから守り抜け!!
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セフィナ と 目覚め

それからは、疲労もあっただろうが、セフィナは泣くだけ泣くと、そのまま俺の腕の中で泣き疲れて眠ってしまった。

そんなセフィナを衛兵に預けて、俺は残りの魔物共の討伐にあたった。

とは言っても、仲間達のお陰で殆ど魔物は残ってはいなかったが、適当に掃討する事となる。


そして翌日ーーー。


「う……ん……」


ゆっくりとセフィナの瞼が開けられる。

俺は、セフィナの顔を覗き込むように、優しく笑いかけた。


「お早う。気分はどう?セフィナ」


最初はまだ完全に覚醒していなかったのか、ボンヤリと俺を眺めていたセフィナだったが、突然目を大きく見開いてガバリと起き上がる。


「セツ……っ?!」


セフィナが頭を抱えて苦痛に顔を歪ませた。


「こら、駄目だろ?急に起きたら。俺はここに居るから、もう少しゆっくり休むといいよ」

「……うん」


俺が心配してそう諭すように言うと、セフィナは大人しく俺の指示に従って横になる。

俺のズボンの端を、ギュッと握り締めたままで…………。

俺は苦笑する。

その左薬指には、【サファイア】の指輪が嵌められていた。

俺はそっとセフィナの左手を労わるように優しく包み込む。


「あ……」

「もう少し眠りな。起きるまでここに居るから」

「……うん」


そう言うと、セフィナは安心したように、再度眠りについた。


暫くして、控えめに扉がノックされる。

遠慮がちに顔を覗かせたのはアヤメだ。


「……セフィナ様はどうですか?」


声をひそめて、セフィナの容態を確認する。


「うん。さっき一回目を覚ました所。まだ本調子じゃなかったから、もう少し寝かせる事にした」

「そうですか……」


アヤメが心底安堵したように、胸を撫で下ろす。


「で?何か分かった?」

「はい。どうやらレヴィアタン様は敵の手中にあるようです」

「……そうか」


俺は眉を顰める。

あれだけの魔物達を従わせ、尚且つ、あのレヴィアタンまでも捕らえる事が出来る相手か……。

いったいどんなやつなんだか……。


「まあ、相手が誰であろうと関係ないな。俺達のやるべき事は変わらない」

「はい!」


俺が不敵に呟くと、アヤメも力強く頷いてくれた。


「取り敢えずは、セフィナの回復が最優先だ。その間、敵がまた攻めてくるとも限らないから……」

「その点なら問題ありません。既にベリアル様とアルテミス様が陣頭指揮をお取りになって、兵の再編に当たられております」

「……は!流石だな。それじゃ、後はベリアルとアルテミスに任せるよ」


それを聞くと、アヤメは軽く一礼してから部屋を退出していった。


俺はもう一度、セフィナの顔を覗き込む。

だいぶ顔色も良くなったように見受けられた。

俺は、顔にかかった横髪をそっと分ける。


大臣達から、今回如何にセフィナが頑張っていたかを聞かされていた。

以前のセフィナは、引っ込み思案で人と話すのも苦手で、何で自分が姫に選ばれたのか分からず、その重責に耐えられず苦しんでいた。

そんなセフィナが、戦ってる最中もずっと俺との約束を守ってくれていたらしい。

そんな健気な彼女を誇らしく思い…………そして愛おしく思う。


俺は、ゆっくりとセフィナの顔に顔を近付けた。


ギシッーー。


ベッドが静かに軋む。

彼女を起こさないように、軽くセフィナの唇に口付けを落とす。


ちゅーー。


「……良く頑張ったな。後は俺達に任せて、ゆっくりと休むといいよ」


俺は、そっとセフィナの頭を撫でるのだった。

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