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【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第四章 王都と人魚姫をストーカーから守り抜け!!
62/96

休息終了 と 新たな問題

すみません!投稿忘れてました!汗汗

「どうか!どうか我らが姫様を……セフィナ様をお救い下さいっ!!」

「?!」


その言葉を聞いて、俺は即座に返答する。


「分かった」

「「「……え?」」」


俺の返答に、衛兵二人と傷だらけの男が驚いた声を出す。

俺はそんな事を気にする事無く、近くに居た仲間達に声を掛ける。


「皆、すぐ行けそうか?」

「構わん」

『うむ。我も問題ない』

「私も大丈夫です!」

「は、はい!行けます」

「……うん」


皆がそれぞれ了承してくれる。

俺達のそんなやり取りを見て、傷だらけの男が何故か慌てだした。


「ちょ、ちょっと待って下さい!こちらから頼んどいてアレですが、説明もなしに即決されて良いのでしょうか?!」

「ん?セフィナが危ないんだろ?それだけ聞ければ充分だ」


俺がそう答えると、男が口をあんぐりして絶句してしまった。

すると、今度は衛兵が慌てて口を開く。


「で、ですが!セツナ様は、昨日お戻りになられたばかりですし!もう少しゆっくりなされた方が……」

「昨日ゆっくり寝たから問題ない」


俺はそんな衛兵に一蹴する。

衛兵も俺のこの態度に、これ以上何を言っても無駄だと諦めたのか、もう何も言ってこなかった。


「少し先を急ぎたいから……アルテミス、大変だと思うけど、馬車事飛べそう?」

『問題は無いと思うぞ?』

「ありがとう。それから……ミシディアとカルミアは、悪いけど近くの港町で待機しててもらいたい」

「そんな?!」

「……っ」


二人はショックを隠しきれないように、悲痛な面持ちで俺を見る。


「何故……ですか?私達ではお役に立てませんか……?」


ミシディアが肩を震わせ、泣きそうな顔でそんな事を聞いてくるので、俺は苦笑しながらも、優しく諭すように説明する。


「そんなんじゃないよ。今回の行く先は、【人魚国】だからだよ」

「人魚、国……?」

「そう……人魚国は海底の深く……深海の一番深くに存在する場所で、本来ならそこに人が辿り着く事はほぼ不可能だし、それだけでなく、特殊な結界が張ってあるから、見つける事も出来ないんだ」

「「………………」」


二人は黙って俺の話を聞いてくれた。


「そこに辿り着くには、海の守り神と呼ばれる海王【レヴィアタン】の加護がどうしても必要になる。勿論、俺達にはその加護があるけど、二人にはまだそれが無いから」

「な、なら……私達にもその加護を……」


ミシディアは、それでも俺達と一緒に行きたいのか、懇願するように上目遣いで俺を見てきた。

本来ならそれも考えていたが、俺はゆるく首を振る。


「さっきも言ったけど、レヴィアタンは海の守り神だ。人魚国が危険な目にあってるのに、アレが何もしない筈がない」

「あ……」


そこまで聞いて、ミシディアも漸く意味を理解したようだ。


「何か不足な事態が起こってる事は間違いないだろう。アレにそうそう何かあるとは思えないけど……」


それでも、最悪の事態は想定するべきかもしれないと一瞬思ったが、この場で推測するにはまだ憚られると判断した。

俺は二人の瞳を交互に見詰めて笑いかけた。


「人魚国での件が終わったら、すぐに迎えに行くから、悪いけどいい子で待っててくれないかな?」


俺はそう言って二人の頭を撫でる。

二人は渋々ではあったが、ちゃんと頷いてくれた。

そして、次にアル達に向き直る。


「ごめん。そう言うわけだから、俺達もう行くな?」

「全く……相変わらず忙しい奴だ」


そう苦笑されてしまったが、俺も同感であるので、同じく苦笑するしかない。


「アレク王達には後で謝ってて?それから……生徒達の事頼んだよ?」

「ああ、任せておけ」


シルバが頼もしく頷いてくれた。

俺は、今度は善文達を見遣る。


「てな訳なんだけど……」

「大丈夫だ!心配せずに行ってこいよ!」

「そうだよ!大事な事なんでしょ?私達の事なら気にしないで?」

「俺達も、今よりもっと力付けとくから楽しみにしてろよ!」

「わ、私も!皆の役に立てるように頑張ります!」


皆がそれぞれ俺の思いに答えてくれる。

俺はその心強い言葉に、嬉しい反面少しばかりの寂しさがあり、それを誤魔化すかのように善文を茶化す事にした。


「あ、そうそう。善文」

「うん?何だ?」

「今度帰ってきた時は……改めて彼女の紹介宜しくな?」


俺は意地悪くニヤリと笑ってみせた。

それを聞いた善文と、善文の隣に立っていた上級生が顔を真っ赤にする。

それを見て、俺は温かい気持ちになるのだった。


最後にチラリとジークを見ると、少し拗ねたように唇を尖らせている。

俺はそんなジークに苦笑しながらも、ジークにも声を掛けた。


「次に帰ったら、ちゃんとお前の相手してやるから、それでどうだ?」


俺がそう言うと、ジークは凄い勢いで俺に迫ってきた。


「本当だな?!」

「あ、ああ……約束だ」


俺は流石にその勢いに驚いて、後退りしてしまう。

ジークは本当に嬉しそうに、いつもの軽薄な笑みを浮かべていた。


まあ、喜んでくれたのなら何よりだ……。


皆に、それぞれ軽く挨拶を交わすと、俺達は馬車に乗り込む。

因みに、傷だらけの男も同行を願い出てきたが、俺が断固として拒否し、まずは治療に当たらせる事にした。


そして俺達は、人魚国へと出発して行くのであった。

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