休息終了 と 新たな問題
すみません!投稿忘れてました!汗汗
「どうか!どうか我らが姫様を……セフィナ様をお救い下さいっ!!」
「?!」
その言葉を聞いて、俺は即座に返答する。
「分かった」
「「「……え?」」」
俺の返答に、衛兵二人と傷だらけの男が驚いた声を出す。
俺はそんな事を気にする事無く、近くに居た仲間達に声を掛ける。
「皆、すぐ行けそうか?」
「構わん」
『うむ。我も問題ない』
「私も大丈夫です!」
「は、はい!行けます」
「……うん」
皆がそれぞれ了承してくれる。
俺達のそんなやり取りを見て、傷だらけの男が何故か慌てだした。
「ちょ、ちょっと待って下さい!こちらから頼んどいてアレですが、説明もなしに即決されて良いのでしょうか?!」
「ん?セフィナが危ないんだろ?それだけ聞ければ充分だ」
俺がそう答えると、男が口をあんぐりして絶句してしまった。
すると、今度は衛兵が慌てて口を開く。
「で、ですが!セツナ様は、昨日お戻りになられたばかりですし!もう少しゆっくりなされた方が……」
「昨日ゆっくり寝たから問題ない」
俺はそんな衛兵に一蹴する。
衛兵も俺のこの態度に、これ以上何を言っても無駄だと諦めたのか、もう何も言ってこなかった。
「少し先を急ぎたいから……アルテミス、大変だと思うけど、馬車事飛べそう?」
『問題は無いと思うぞ?』
「ありがとう。それから……ミシディアとカルミアは、悪いけど近くの港町で待機しててもらいたい」
「そんな?!」
「……っ」
二人はショックを隠しきれないように、悲痛な面持ちで俺を見る。
「何故……ですか?私達ではお役に立てませんか……?」
ミシディアが肩を震わせ、泣きそうな顔でそんな事を聞いてくるので、俺は苦笑しながらも、優しく諭すように説明する。
「そんなんじゃないよ。今回の行く先は、【人魚国】だからだよ」
「人魚、国……?」
「そう……人魚国は海底の深く……深海の一番深くに存在する場所で、本来ならそこに人が辿り着く事はほぼ不可能だし、それだけでなく、特殊な結界が張ってあるから、見つける事も出来ないんだ」
「「………………」」
二人は黙って俺の話を聞いてくれた。
「そこに辿り着くには、海の守り神と呼ばれる海王【レヴィアタン】の加護がどうしても必要になる。勿論、俺達にはその加護があるけど、二人にはまだそれが無いから」
「な、なら……私達にもその加護を……」
ミシディアは、それでも俺達と一緒に行きたいのか、懇願するように上目遣いで俺を見てきた。
本来ならそれも考えていたが、俺はゆるく首を振る。
「さっきも言ったけど、レヴィアタンは海の守り神だ。人魚国が危険な目にあってるのに、アレが何もしない筈がない」
「あ……」
そこまで聞いて、ミシディアも漸く意味を理解したようだ。
「何か不足な事態が起こってる事は間違いないだろう。アレにそうそう何かあるとは思えないけど……」
それでも、最悪の事態は想定するべきかもしれないと一瞬思ったが、この場で推測するにはまだ憚られると判断した。
俺は二人の瞳を交互に見詰めて笑いかけた。
「人魚国での件が終わったら、すぐに迎えに行くから、悪いけどいい子で待っててくれないかな?」
俺はそう言って二人の頭を撫でる。
二人は渋々ではあったが、ちゃんと頷いてくれた。
そして、次にアル達に向き直る。
「ごめん。そう言うわけだから、俺達もう行くな?」
「全く……相変わらず忙しい奴だ」
そう苦笑されてしまったが、俺も同感であるので、同じく苦笑するしかない。
「アレク王達には後で謝ってて?それから……生徒達の事頼んだよ?」
「ああ、任せておけ」
シルバが頼もしく頷いてくれた。
俺は、今度は善文達を見遣る。
「てな訳なんだけど……」
「大丈夫だ!心配せずに行ってこいよ!」
「そうだよ!大事な事なんでしょ?私達の事なら気にしないで?」
「俺達も、今よりもっと力付けとくから楽しみにしてろよ!」
「わ、私も!皆の役に立てるように頑張ります!」
皆がそれぞれ俺の思いに答えてくれる。
俺はその心強い言葉に、嬉しい反面少しばかりの寂しさがあり、それを誤魔化すかのように善文を茶化す事にした。
「あ、そうそう。善文」
「うん?何だ?」
「今度帰ってきた時は……改めて彼女の紹介宜しくな?」
俺は意地悪くニヤリと笑ってみせた。
それを聞いた善文と、善文の隣に立っていた上級生が顔を真っ赤にする。
それを見て、俺は温かい気持ちになるのだった。
最後にチラリとジークを見ると、少し拗ねたように唇を尖らせている。
俺はそんなジークに苦笑しながらも、ジークにも声を掛けた。
「次に帰ったら、ちゃんとお前の相手してやるから、それでどうだ?」
俺がそう言うと、ジークは凄い勢いで俺に迫ってきた。
「本当だな?!」
「あ、ああ……約束だ」
俺は流石にその勢いに驚いて、後退りしてしまう。
ジークは本当に嬉しそうに、いつもの軽薄な笑みを浮かべていた。
まあ、喜んでくれたのなら何よりだ……。
皆に、それぞれ軽く挨拶を交わすと、俺達は馬車に乗り込む。
因みに、傷だらけの男も同行を願い出てきたが、俺が断固として拒否し、まずは治療に当たらせる事にした。
そして俺達は、人魚国へと出発して行くのであった。




