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【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第四章 王都と人魚姫をストーカーから守り抜け!!
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聖騎士四天王 と 模擬戦

前話と時間軸が同じなので、台詞とかが被ったりしております。

面倒い方は流し目で見て下さい 笑笑

俺達が魔物達と死闘の末勝利し、王城に戻ろうと正門に入ると一気に歓声が上がった。


「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」

「っ?!」


俺は、そのあまりの大音声に後ずさりしてしまう。


何かデジャブを感じるな……。


昔の魔王討伐で帰還した時も、こんな風に凱旋パレードさながらだったのを思い出す。

他の生徒達も、皆一様に顔が引き攣っていた。

すると、民衆からの話す声が俺の耳に届く。


「初代勇者様がご帰還なされたって?」

「どこ?どこにいるの~?」

「ほら!あの人じゃない?」

「ぼく、救世主様見るの初めて~」

「わ、私も!あ、後でサイン貰えるかな?」

「生きている間に、今一度お会い出来るなど……ありがたやありがたや……」


皆が俺を指差して口々に噂する。

終いには拝みだす人までいた。


い、いたたまれない…………。


「すっげぇーな……流石刹那だ」


などと、善文が訳の分からない感心をする。


「……だったら代わってくれよ。はぁ~」


俺は頭を抱える他なかった。


その後は、謁見の間にて、アレク王が皆の無事を喜び、俺の事を大まかにだが説明した。

その話を聞いた生徒達が、一斉に俺を見てきたので、俺は再び居心地の悪さを感じるハメとなった。

そして、皆の体を気遣ったアレク王が休むように言ったので、休養の為にそれぞれの自室に戻って行った。

何人かが俺と話をしたそうにしていたが、俺は気付かない振りをして、自宅へと逃げるように帰った。


その晩、それぞれの国で戦ってくれた仲間達も、無事に屋敷への帰還を果たす。

皆なら何の問題もないだろうと信頼してはいたが、やはり元気な姿を見るまでは安心出来ず、その顔を見て気付かれないように一人ホッと胸を撫で下ろす。

ミシディアとカルミアは、俺の屋敷は初めてだったので、俺が改めて二人の波動を結界に登録すると、少し嬉しそうにしていた。

これで、二人はいつでも俺の屋敷を見つける事が可能となる。





そして翌日_______________。


俺は何故か王城の鍛錬場に来ていた。

朝早くに王城に顔を出した所アルに見つかり、土下座する勢いで模擬戦を申し込まれたのだ。

すると、それを聞きつけたシルバとケイトとシーナまでが、急遽参戦する事となり、四人が今俺の前に立っていた。


「はぁ~……マジでやんの?アル」


俺が溜め息混じりにそう聞くと、アルが嬉々として答える。


「おう!これでやっと堂々とお前さんの相手が出来るんだ!コイツらにもいい刺激になんだろ?」


そう言って、アルが少し離れた場所を指差す。

そう、この場には何故か、生徒達までもが居たのだ。

誰が吹聴したのかは知らないが、凄くやりづらい……。

そんな生徒達の傍には、何故かジークが居た。

相変わらずのニヤケ顔で…………。


お前かよ!!


そう心の中で叫びながらジークを睨むと、素知らぬ顔でジークは明後日の方を向く。

俺は頭を抱えた。

とは言うものの、これが少しでも生徒達の役に立つと言うのなら、断る理由もなかった。


「んー……まあ、そう言う事なら……」


皆には、少なくとも今よりはもっと強くなってもらいたかった。

今回のような事が、今後も起こらないとは限らない。

俺もまだやるべき事が残っているので、ずっと王都に留まっている訳にもいかないのだ。


俺がそう答えると、アル達が嬉しそうな顔をしてくれる。

やはり、そう言う顔をされると悪い気はしないものだ。

四人が構えを取るのを確認して、俺も構えを取る。


合図も無しに一斉に動き出した。

まずは定石で、アルとシルバが俺に向かって来た。

アルは聖剣【ナーゲルリング】で、シルバは大盾を構えながら斧で俺を切りつけてくる。


模擬戦と言っても、本当に実戦に基づいての訓練なので、皆は真剣なのだ。

俺はと言うと、そんな四人に対して無手で相手をする。

これは、別に皆を侮っているわけではなく、俺の愛刀達は、良くも悪くも斬れ味が凄まじいからだ。

だからと言って、今更剣を使うとなると、俺も少々やりづらくてしょうがない。

なので、致し方なく無手でやる事に決めたのだった。


アルとシルバは、相変わらずの阿吽の呼吸で、俺がアルの攻撃を躱せば、その避けた先を読んだシルバが、すかさずそこに斧を振り上げる。


そのやり取りを何度か繰り返していると、瞬間アルの気配が消えた。

あれ?と思ったのも束の間、シルバの背後からアルが横っ飛びで抜け出し、俺にナーゲルリングを振り上げてきた。


成程……お互いの体格を活かして、シルバの影に隠れてたわけか……。

でも、それじゃ…………。


俺はアルの聖剣を、体を斜めにして躱すと、アルの腕を掴み、そのままの勢いでアルを一本背負いで投げ飛ばす。


「うおっ?!」


そして、すかさずシルバの、大盾の守りの範囲から外れた横に移動して、シルバが驚く好きも与えず、脇腹に掌底打ちを叩き込む。


「ぐっ……」


シルバが吹き飛ばされると、今度は俺の視界一杯を、空高く大樹が囲む。

これは紛れもなくケイトの魔法だろう。

そして、その大樹の隙間を縫って、細剣が俺の喉元目掛けて伸びて来た。


だが…………。


俺はすぐに体をズラして細剣の攻撃を躱し、シーナの腕を掴んで引っ張る。

シーナが一瞬驚いた顔をして目を見開くが、俺はそのままシーナを空高く放り投げた。


「っ……」


シーナは風魔法で体を浮かせ、難無く地面に着地する。


これで一先ず模擬戦は終了であった。


「くっそ~!やっぱ駄目だったか」


すると、アルが悔しそうに叫んだ。


「そんな事ないよ。相変わらずアルとシルバの動きは息ピッタリで、正直焦ったし」

「気を使わんくていいぞ?」


俺がそんな事を言ったら、シルバがそう返してきたので俺は首を傾げる。


「ん?何で?本当の事だよ?ただ、アルがちょっと急ぎ過ぎたかな?てのは感じたけど」


それを聞いたアルが、頭を抱えてその場で蹲る。


「ぐわ~!!俺のせいか~!!」

「あはは。もう少しギリギリまで待った方が良かったかもな。それでも、充分シルバならアルに合わせれるだろうし」

「成程。今後の課題……と言う事だな」

「いや……だからね、課題とかじゃなくて……はぁ~、もういいや」


課題ってなんだよ……。

俺は別に皆に指導してるわけじゃないんですけど?

俺講師じゃないし……寧ろ、自分は講師には向いてないと分かってるし……。


俺がそんな事を考えてると、今度はケイトが手を挙げて、ピョンピョン跳ねながら俺に聞いてきた。


「じゃあさ!じゃあさ!私らは?」

「ん?ケイトのは、俺の視界を奪う戦法は面白くていいと思うよ?」


俺がそう言うと、ケイトは嬉しそうにはにかんで笑った。


「ほ、ほんと?」

「うん。ただ、シーナが殺気出し過ぎかな?」

「あ、あら?そうかしら?」

「あはは。別に俺を殺しに来る分には構わないんだけど、もう少し抑えないとモロ分かりだよ?」


元々実戦に基づいての模擬戦なので、皆が本気で向かってきてくれた事は、素直に嬉しい。

俺の言葉を聞いて、シーナも嬉しそうに笑ってくれた。


「ふふ。そうね、今後気を付けるわ」


俺達がそんなやり取りをしていると、下級生の一人が(何となく見覚えがあるようなないような?)勢い良く手を挙げて発言してきた。


「は、はい!俺達にも訓練お願いします!」

「は?何で?」

「え……何でって……」

「皆にはアル達が居るんだし、俺が出張る必要はないと思うけど?」


意味が分からなかった。

以前善文達に、一回だけ特訓みたいな事をした事があるが、あれは特別だ。

生徒達全員を相手にするつもりは毛頭ない。


「え?そんなの、弱い人に教わるより強い人に教わった方が……ッ?!」

「「「「「「?!」」」」」」


ピクーー。


そんな言葉を聞いて、俺の眉が上がる。


………………あ?今コイツ何て言った?

まさかアル達が弱いなんて、冗談でもそんな事言った訳じゃないよな?


「ん?ごめん……今何て言ったか聞こえなかったから、もう一回言ってくれるかな?」

「あ……あ…………」


念の為の確認として、笑顔でもう一度聞いてみるが、“何故か”下級生は声にならない声を発して、顔面蒼白になっていた。


「おいおい。そのくらいにしとけよ?このままじゃコイツら死ぬぞ?」

「……ジーク」


どうやら俺は、無意識の内に威圧を放っていたらしい。

ジークに言われて初めて気付いた。


「そ、そうだぞ!俺達の事なら気にすんな!な?」


アルのその言葉を聞いて、三人も勢い良く頷く。


「……皆がそう言うんなら」


俺はそこで漸く【威圧】を解く。

そうすると、皆の顔も安堵の表情となった。

それでも俺は、下級生に一言言ってやらなければ気が済まなかったので、下級生にもう一度向き直る。


「ひっ!!」

「俺は仲間を侮辱されるのが嫌いだ。今後言葉には気を付けよう、ね?」


下級生が小さく悲鳴を上げたが、俺は気付かないふりをして、人差し指を口に当てて、少し悪戯っぽく見せた。

俺の言葉に、聖騎士達は嬉しそうな顔をする。

最後に、これだけはどうしても言っておく必要があると思い、俺は言葉を続ける。


「それに、アル達は弱いんじゃないよ?皆にとってはアル達が一番の適任者だと思うけど?」

「え?それどう言う事?」


七鈴菜さんがすかさず聞いてくるので、俺は生徒達を見回して、出来る限り分かりやすく説明する事にした。


「まず、俺と四人はタイプが違う。俺の場合は、俺対多勢……つまりは、単独戦闘の戦法なんだよ。俺は単独行動が多いから、逆に他の奴に合わせると力が発揮されない事もある。俺とまともに息を合わせれるのは、極僅かばかり……それも、アッチが合わせてくれるから、俺も助かるんだけどね」


俺は苦笑する。

これは事実だった。

誰かに指示を出すのも得意ではないし、周りに気を配るくらいなら、戦闘に集中しときたいのだ。

だから、こんな俺の我侭に付き合ってくれる仲間達には、いつも感謝している。


「その点、アル達は見ての通りにバランスが良く取れたパーティーだ。団体戦に特化されている。皆が本気で強くなりたいと思うなら、アル達から学ぶ事は沢山あると思うよ?個々の強さより、まずはチームとしての強さを身につけなくっちゃ」


生徒達は、俺の言葉に耳を傾けてくれていた。

これで、少しは皆のやる気を引き出させれた事を願うばかりだ。

話を聞く限りでも、生徒達は個々の能力はそれなりなのに関わらず、どうにも協力し合うのは苦手のようだった。

今と昔は違う。

前回の時は俺一人だったが、今はこれだけの頼れる仲間がいるのだから、チームとして強くなれれば、これ程心強い事は無いだろう。


俺がそんな事を考えてると、それまで黙っていたジークが、痺れを切らしたように俺に話し掛けてきた。

本当に空気の読めない男である。


「なあ、そんな事よりもさ、次は俺と手合わせしようぜ?」

「は?やだよ」

「何でだよ!」

「ん?疲れたから?」

「何で疑問形?!お前それ絶対嘘だろ!!」


ジークが尚も食い下がってきていたが、俺は軽くそれを(あしら)う。

すると、王城と鍛錬場への入り口付近で、何やら人が争う声が聞こえてきた。


「?何だ?」


俺達は気になって、争う声の方に近付いてみる事にした。

近付くにつれ、話し声も鮮明になっていく。


「こちらにいらっしゃるんでしょ?!お願いします!!どうか会わせて下さい!!」

「ですから!約束の無い方をお通しするわけには行かないのです!せめてご本人に確認を入れてきますので……」

「そんな悠長な事を言ってる場合じゃないんだっ!!!!」


この会話から推察するに、どうやらこの男は、この王城内の誰かに会いに来たが、アポ無しだった為に衛兵二人に止められているらしい?でいいのかな?

しかも、男は所々傷だらけであった。

相当切羽詰まっているのか、衛兵達の制止の言葉など聞かず、誰かに会わせろと喚き散らしていた。

このままでは埒が明かないと思い、俺は声をかける事にする。


「ねえ?どうかしたの?俺で良かったら話くらい聞くけど?」

「?!こ、これはセツナ様!」

「ッ?!」


俺の名前が衛兵の口から出ると、男は一瞬目を大きく開けて、次にはいきなりその場に平伏しだした。


「は?」


男の突然な行動に困惑すると、次の男の言葉に俺の顔が強ばる。


「どうか!どうか我らが姫様を……セフィナ様をお救い下さいっ!!」

「?!」

余計な一言の多い下級生くんは、勿論一二三を苛めていた一人です 笑

主人公は全く覚えていませんでしたが 笑笑

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