女王 と 魔女
俺が入り口前に着いて馬車から降りると、すぐ様少女が俺の腰に抱きついてきた。
「お帰り~。セツナ~」
俺は苦笑しながらも、少女の頭を撫でながら言った。
「ただ今。【サヴリナ】」
サヴリナは、このドワーフ国の女王であり、通称【魔女】と呼ばれている。
何故なら…………この女性は初めて会った時から変わらない。
俺と初めて会った時のまま、姿形は変わらず、少女の姿をしているが、俺より遥かに年上である事は間違いない。
間違いない……と言うか、ステータスを一度も見た事がない。
ステータスを一度見ようとしたら、凄い形相で睨まれた…………。
なので、俺でさえサヴリナの事は謎なのだ。
「それにしても、良く俺の事が分かったな」
「分かるよ~。旦那様の事だも~ん」
うっとりした瞳で俺を見つめてくる。
こんな謎過ぎる彼女を可愛いと思ってしまう俺も、大概だと思うけど……。
サヴリナは物知りだ。
と言うより、彼女がこの世界で知らない事は無いのでは無いかと言う程に、サヴリナは何でも知っている。
一体どんなスキルを持っているのか気になる所だが、本人が嫌がる事はしたくないので、気にしない事にしているのだ。
「あはは。相変わらずだね。それで態々出迎えに来てくれたの?サヴリナ、滅多に城から出ないのに」
「そだよ~。うふふ。ねぇ、今日の服ど~う?似合う~?」
そう言って、サヴリナは俺の前でクルリと回ってみせて、スカートの裾を少し持ち上げる。
それは、地球で言う所のゴスロリファッションだった。
「うん。とても良く似合うよ」
俺がそう言うと、サヴリナは妖艶に美しく笑うのだった。
「それで、今回来た理由だけど……」
「分かってるよ~。中じゃ入らないから~ここで出してくれる~?」
俺が説明するよりも早く、サヴリナは事情を既に把握しているようであった。
本当に謎過ぎる……。
俺はそんな彼女に苦笑するだけだ。
俺はサヴリナに言われた通りに、【亜空間】から【光石】を取り出した。
その大きさに、カルミアと衛兵が目を丸くして驚いた顔をしている。
「あらあら~。思ったより大きいわね~」
そう言いながら、サヴリナは【光石】を360度見回しながら、何やらブツブツ言い始めた。
「……うん。これなら~思ったよりも多く作れるかも~?」
本当に説明要らずで助かるな……。
「それは、頼まれてくれるって事でいいのかな?」
「ん~、そうね~……」
俺がそう聞くと、サヴリナは少し渋る仕草をしてから、上目遣いで「んっ」と言って目を瞑ってきた。
「え~……と?」
「あら~?人に物を頼む時は~それ相応の対価が必要じゃなくて~?」
サヴリナはそう言って妖しく笑う。
う、うーん……それ事態は別に問題は無いんだが…………
俺はチラリと後ろを見た。
アヤメはカルミアの目を塞ぎ、ミシディアはまだ意味が分かっていないのかニコニコして、ベリアルとアルテミスは呆れながらも明後日の方を向いてる。
衛兵二人にしても、回れ右をして後ろを向いている…………そう、ここはまだ外なのだ。
二人っきりなら喜んでしたんだが……。
とは言うものの、サヴリナはきっと俺がするまでずっとこのままでいそうだしな……。
俺は軽く溜め息を吐いてから、覚悟を決め、サヴリナの唇に……………………チュッと口付けをした。
「うふふ。ちょっと物足りないけど~続きはまた後でね~」
そう言って、サヴリナは軽くウィンクする。
……………………この羞恥プレイは流石にイタい!!
俺は一人頭を抱えるのだった。




