ドワーフ国 と 少女
新しい俺達の仲間のカルミアは、最初でこそ俺達に遠慮してあまり打ち解けてはくれなかったが、少しずつではあるが話すようにもなってくれた。
まぁ、無表情なのは相変わらずだが……。
それでも、良く観察して見れば、僅かだが表情にも変化は出てきたと思う。
俺としては、結構いい傾向なのでは?と思ってる。
アヤメもミシディアも、カルミアが加わってとても嬉しそうだ。
俺はそんな様子を微笑ましく見ているのだった。
ドワーフ国までの残りの道程では、ミシディアたっての希望により、修行をつける事になった。
俺が教えれる範囲で、幾つかアドバイスをする。
そんな俺達を見て、カルミアが躊躇いながらも質問をしてきた。
彼女は、妖精を傍に置いているが、何故自分だけが見えるのか分からなかったそうだ。
だから、俺が妖精を見える事に酷く驚いたらしい。
なので、俺は出来るだけカルミアに分かりやすく、懇切丁寧に教えてあげた。
【精霊力】の事ーー。
【精霊】と【妖精】の事ーー。
カルミアは真剣に俺の話を聞きながら、自分にもミシディアと同じく修行をつけてほしいとお願いをしてきた。
なので、俺はその願いを快く引き受ける。
願わくば、その力が今後の少女の未来を優しく照らしてくれますように、と…………。
そんなこんなで、俺達はドワーフ国の前に漸く辿り着く事が出来た。
ドワーフ国は、切り立った山の洞窟内に居を構え、そこから何本もの坑道が鉱山へと繋がっている。
その鉱山から数多な鉱石を発掘しては、武器やら防具などを作って生計を立てているのだ。
【魔道具】は魔族、【武具】はドワーフ、と言われてるのだった。
洞窟の前には、門番……………………だけではなくて?
「………………………………………………え?」
あ、あれ…………?
俺は何度も目を瞬かせて入り口を見てみるが、そこには慌てた様子の門番二人の姿と…………本来、こんな場所まで出てくる筈もない人物が居て…………?
「あら?あの方は……」
「珍しい事もあるもんだな……」
アヤメとベリアルも、その存在に気付いて少し驚いた顔をする。
「あ、はは。やっぱ見間違いじゃないのか……」
ミシディアとカルミアは、俺達の様子がおかしい事に困惑している。
俺が何とも言えない微妙な表情をしていると、入り口の前に居た人物と目が合った。
「うっ!」
その人物……少女は、俺に気付くとその顔に妖艶な笑みを浮かべる。
「セツナ~。お帰り~」
そう言って、その少女は手を振ってくれる。
その左手薬指に煌めくのは、【チャロアイト】の宝石が嵌められた指輪であった。




