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【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第三章 新メンバーとドワーフ国で魔女との再会
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SS~女子会~

ある日の昼下がり、王城内にある庭園に、数名の女性の姿があった。


それは一昨日、七鈴菜が突然「女子会をしよう!」と言い出したのが事の発端である。


人数が少しばかり多かった為、ピクニック気分でシートを引き、目の前には美味しそうなお弁当やお菓子、紅茶などがセッティングされている。


ここに集まったのは、七鈴菜とアリアと一二三、それから…………。


「こんな女子会とやらに、私みたいなおばさんが参加しても良かったの?」

「そうですよね~?少しばかり肩身が狭いわ」


そう言ったのはーーティアナ・ウィル・サリファムーー。

サリファム国王アレク王の第二夫人である。


彼女は元魔導士兵団所属であり、【氷麗の戦乙女】と畏れられる程〈氷属性〉を得意とする。


王都の模擬戦で、ティアナの戦いぶりに感動したアレク王が、猛烈なアプローチの末に、やっと手に入れたのだと言う噂まである。


そしてもう一人がーーアンナ・ウィル・サリファムーー。

同じくサリファム国王アレク王の第三夫人である。


彼女は、ある旅芸人の一座の看板娘であり、天才【踊り子】と謳われていた。


王城の式典で、彼女の踊りに一目惚れをしたアレク王が、ティアナ同様に猛烈アプローチをかけてアレク王の夫人となった。


「そんな事ないですよ!お二人のお話はいつも勉強になりますから!!」


そんな二人に、アリアが勢い良く否定する。


「そうですよ。お二人はまだいいです。私も女子会なんて誘われたの初めてで……何を話せば良いのやら……」

「んー?女子会と言えば、やっぱ【恋バナ】じゃないかなー?」


世莉香自身も、自分が何故女子会に呼ばれたのか分からず戸惑っていた。

彼女は少々男勝りな部分があり、女子達には絶大な人気はあるが、女子会などに呼ばれた事など今迄無かったのだ。


その世莉香は、先日善文と良い雰囲気を出していた。


そんな世莉香の言葉に即座に答えたのはーー野田 愛華ーー。


世莉香の幼馴染みであり親友であり、世莉香に異常なまでの執着を持っている。

とは言っても、別段そっち系の趣味があるわけではないので安心してほしい。


ここに集まったのは、皆が刹那の事情を知っている女性ばかりであった。


世莉香は、善文が刹那の了解を得たが、愛華に至っては、世莉香の強い希望により事情を説明していた。


「こっ?!」

「そう!その通りです!!」


愛華の【恋バナ】と言う単語に、世莉香は真っ赤な顔になって反論しようとしたが、七鈴菜の強い口調により遮られてしまった。


「恋バナ?とは何ですか?」


アリアが小首を傾げる。


「恋バナとは、恋の話!!略して【恋バナ】」


七鈴菜は、アリアの質問に拳を握りしめて熱く語る。


「あら?そうなの?それじゃ、私達でも役に立てるかもしれないね」

「そうね~。仮にも人生の先輩として、幾つか助言は出来るかもしれませんね」


夫人二人は乗り気である。


だが、ここには約一名困惑している者がいた。


「こ、恋バナって……そんなの私には似合わないだろ…………?」

「えー?何で?」

「な、何でって……」

「だってせりちゃん倉本くんのこと「わーーーーーーー!!」」


世莉香は慌てて愛華の口を塞ぐ。

顔は先程よりも真っ赤になっていた。


そんな世莉香を、暖かい目で見守る女性達。

皆は世莉香の気持ちは勿論気付いている。


と言うか分かり過ぎである。


「うぅぅ……」


世莉香はそんな視線に耐えれず、両手で顔を覆う。


「そ、そんなに恥ずかしがる事ないと思います!わ、私は素敵な事だと思いますよ!」


一二三が世莉香を励ます。


以前の一二三ならば、世莉香同様……いや、世莉香以上に、自分は場違いだと思い萎縮していただろう。

けれど、彼女はほんの少しずつではあったが、確かに変わりつつあるのだ。


「で、でもさ……やっぱり私みたいなのが恋とかって……変、じゃないかな……?」

「そ!そんな事ないです!!」


以外にも、それに反発したのは一二三であった。

他の女性達はその剣幕に驚く。


「わ、私も……私も世莉香先輩と同じでした。私なんかが刹那先輩を好きになるなんてとか、私なんかじゃ刹那先輩に釣り合わないとか、私なんかに告白されたらきっと迷惑だろうなとか…………でも、刹那先輩は嫌な顔一つしなかったんです!いつもと変わらない笑顔で「ありがとう 」って言ってくれたんです!こんな事……こんな気持ちになれたのは頑張って告白したからです!!だから……だから………………あ」


そこで、漸く一二三は自分がどれだけ力説していたのかに気付いた。

顔を耳まで真っ赤にして、俯いて小さく「すみません」と言って体を縮こませる。

そんな一二三に、七鈴菜が「よしよし」と頭を撫でてやる。


「ふふふ。ヒフミさんの言う通りですわね。実際告白してみないと、前進も後退も出来ませんし」

「そうね……いっその事、告白してみれば?」

「んな?!」


アンナとティアナの言葉に、世莉香は目を見開く。


「そ、そんな……告白なんて…………倉本くんに迷惑がかかるし……」

「えー?そうかなー?」

「セツナ様が仰ってましたが、告白されて嬉しくない殿方はいらっしゃらないらしいですよ?」


七鈴菜もアリアも、勿論他の女性達も、善文が世莉香に告白されて断る筈がない事が分かっている為、背中を押す発言をするのだ。

傍から見ても、二人が明らかに両思いだと言うのは見て取れる。


ただ、善文は刹那とはまた違う意味で厄介なのだろうと思う。

硬派を気取っているわけではないが、女性の扱いにあまり慣れていないのか、中々自分からは攻めようとはしない。

このままでは、二人はいつまで経っても進展しなのでは、と少し心配していたのだ。

ならばいっその事、こっちからアタックするのもありなのではないか、と思わずにはいられなかったのであった。


「ほ、本当に?迷惑じゃないかな……?」


それでも、まだ自信の無い世莉香は、皆を見渡して聞いてくる。


全員満面の笑みでそれに頷く。


ここで、一人の少女の心に、新たな決意が芽生えるのであった。

前回の、逸話~アリアの場合~の後書きで、アレク王の側室の話をしたと思いますが、やっぱりあれじゃ無理があったので、急遽夫人二名を作りました 笑笑

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