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【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第二章 エルフ国での脅威誕生
19/96

魔方陣 と 黒幕

俺は、巨大なワームが邪魔だったので、取り敢えず【亜空間】に収納する。

それから補強として、【土魔法】で壁を修繕するのも忘れない。


そして、開けた洞窟の中心の【魔法陣】にゆっくりと近付く。

その【魔法陣】は、ただ静かにそこに横たわっているだけだった。

恐らく、一定時間毎に発動して、魔物を引き連れていたのだろう。


俺は迷う事なくその【魔法陣】に触れ、固有スキル【解析(アナリシス)】を発動させる。


俺の持つ固有スキルの一つ【解析】は、文字通り、見たものや触れたものを瞬時に解析するスキルだ。

それは、()に直接だったり、()()に直接だったりするので、説明を求められても説明出来る物と出来ない物もある。


そしてもう一つの固有スキルが【吸収(アヴソープション)】と呼ばれるもので、これは【解析】した魔法やスキルを俺の能力として【吸収】する。


けれどこれは決して万能ではなく、俺の体質や不要と判断されたものは取り込めなく、或いは自動で別のスキルと統合されたりするのだ。


例えば、ベリアルのスキル【分体】と【変身】だが、【分体】なら【幻影】として手に入れ、【変身】は俺の体質上入手不可となった。

【幻影】は【分体】とは違い、言葉通りに幻である為、実際に実体がある訳では無い。


そんな事から、俺はこの【魔法陣】の解析をした。


結論から言って…………。


「俺の考えた『例の事案』が、検証される前に証明されたな」


俺はボソリと呟き冷笑する。


「何?それはどう言う事だ?」


ベリアルが俺の呟きに眉根を寄せる。

他の二人も同様の反応を示した。


俺は、三人を見渡し、解析した内容を伝える。


「まぁ、見ての通り。これはれっきとした【転移魔法陣】だ。皆も知ってるだろうが、今はどこでも【転移魔法陣】は使用不可となっているが、これは紛れもなくちゃんと機能している」

「「「………………」」」


三人は俺の言わんとしている事をちゃんと理解してくれているのだろう。

ただ黙って話を聞いていた。


「ただし、一方通行である為、『こちら』から『あちら』には行く事は出来ない。あまつさえご丁寧な事に、【阻害】スキルによって、どうやら『あちら』の場所の特定は出来そうにない」


俺はそこまで話すと大きな溜め息を吐いた。


(やっこ)さんはそこそこ頭が切れるのかもな?もしかしたらお前よりも手こずるかもしれんぞ?」


そう言うと、俺はベリアルを見て態と揶揄してみせた。

それを聞いたベリアルは、それに態と乗ったように「フンッ」と鼻を鳴らす。


「臨む所だ」


ニヤリと口角を上げ不敵に笑う。


そこで俺は、今後の事を考慮して、魔法陣に【遡行魔法】を施す。


【遡行魔法】とは、スキル【解析】ととても相性が良いと俺は思ってる。

【解析】して俺が理解したものの様々な術式を、まるでテープを巻き戻すかのように無効にする事が出来るのだ。

ただし、それは【術式】に限る。

例えばこのような【魔法陣】だったり、【魔道具】と言った感じだ。

それを用いて、俺は【転移魔法陣】を無効にした。


これで取り敢えずは一安心かな?


そうして俺達は【ギーネ草】を、必要な分だけを採取して村への帰路に着く。

【ギーネ草】は、鮮度が命な繊細な薬草なので、必要な時・必要な分を迅速に採取するのが鉄則である


村に戻った俺達を、村人達が快く出迎えてくれた。

早速【ギーネ草】を村長に手渡すと、滂沱の涙を流しながら、三度スキル【土下座】を発動してきた。


アルテミスは、一目散に村長の自宅の風呂場に駆け込み、俺は苦笑する。


それから、ボブベアーの魔石やら肉塊やらを、冒険者ギルドの【換金窓口】へ。

ワームに至っては、室内には入り切らないので、村の開けた広場に【亜空間】からそれを無造作に放り出した。


それらを見ていた村人並びにギルメン達までもが、目が飛び出る程驚いた顔をしていた。

中には失神する者迄出てしまい、流石に申し訳ない気持ちになる。


その日は村中どんちゃん騒ぎの祭りとなった。


村長の娘に至っても、町医者がすぐに薬を調合し服用させ、まだ結果は見えてはいないが、これで一安心だろうと言う話であった。


これで俺達のこの村でのやるべき事は終わった。


けれど俺は、どうしても気になる事があり、シーマスにそれとなく聞いてみる。


「シーマス……エーデルがあの洞窟に入った可能性は?」

「それは何とも…………ただ、依頼を受けて洞窟の近くには赴いた事があると記憶しております」

「そうか………………」

「ですがただの偶然かもしれませんし。あまり気にしすぎるべきではありませんよ?」


シーマスは最後に俺を慰めるように言ってくれた。


「そう、だな……」


俺はそれでも疑惑を拭えないでいたのだった。


俺達はその日も()()で宿に泊めてもらう事となった。

部屋は空いていたので、俺とベリアルは一人部屋、女性陣が一部屋で男性陣が一部屋、アルテミスは厩舎で寝る事となった。


その晩、俺の部屋の扉を、少し躊躇いがちにノックする音が聞こえた。

俺は気配だけで来訪者が誰かを悟る。

俺が扉を開けると、案の定そこに居たのはアヤメだった。

少し上目遣いで俺を見て、何か言いたそうにしている。

きっと俺の様子がおかしいのに気付き、慰めに来てくれたのだろう事はすぐに分かった。


俺は苦笑しつつもアヤメを部屋に招き入れ…………久し振りにアヤメを感じながら、微睡みに包まれるのであった。


・-・-・-・-・-・-・-・-・-


セツナがあの洞窟で【転移魔法陣】を無効化した頃ーーー。


「く、くくく、あははははは」


とある場所の、とある部屋で、不気味な笑い声が響き渡った。

その場に居た者達が、何事かとその者を見る。


「やっと……やっとだ。貴方に今一度会う事が出来る。ああ……早く……早く…………早く!!僕に会いに来て」


その者はそう言うと、恍惚とした表情で天を仰ぐのであった。

取り敢えずは、なんとかこの回は無事終了して一安心です。

ちょっとワームには同情しますが 笑


この後、1回閑話を挟みます。

その後は、いよいよエルフ国へ♪

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