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【転生】と【転移】の二足の草鞋  作者: 千羽 鶴
第二章 エルフ国での脅威誕生
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小さな村 と 冒険者カード

俺達が王都を旅立って一週間程が経った。

王都からエルフ国まで何事もなければ凡そ二週間程で着く。

俺達は特に何のトラブルも無く道中を進めていた。

途中、何度か魔物には遭遇したが、確かに昔よりもランクが上がってたりしたけれど、難なく撃退してしまったので、概ね順調である。


初めて野宿をした時なんかは、エルフ5人に呆れられてしまった。

俺の馬車は、少々特殊仕様になっており、馬車を止めて前後の入口の幌を垂らして塞ぐだけで、簡易テント?の出来上がりである。

しかも、20畳程の広さで、馬なども中で休憩させる事が可能だ。


これは昔、俺が発案し、仲間が面白そうだと言ったので試しに作った為、これまた非売品の魔道具である。

構造は至ってシンプルで、【空間魔法】と【拡張魔法】の【複合魔法】を使用して作られている。

なので、これで快適な旅を続けれるのだった。


エルフ達とも、大分仲良くなれたと思う。

ミシディア以外のエルフを、アレク、ラン、レークス、ジェクスと言う。

それぞれに、1体の【上級精霊】がおり、ミシディアは【中級精霊】ではあるが、既に4体も契約をしているらしい。


そのミシディアだが、案の定と言うかなんと言うか……俺に異常なまでの尊敬の念を抱いているようだった。

何でも、昔俺がエルフ国に赴いた際に、俺の事を見掛けた事があるらしく、親に俺の【武勇伝】なるものを聞かされたとか何とか…………。


クルト同様に熱く語り出してしまい、その場に居たアルテミスやベリアルが腹を抱えて爆笑していた。

アヤメも必死に笑いを堪えてたし、他のエルフ4人は、ミシディアの暴走に慣れているのか、ただ苦笑するばかりだ。


俺はと言うと…………当然頭を抱える始末だ。


ついでに、腹を抱えて爆笑していた馬鹿2人には漏れなく鉄拳をお見舞いするのは忘れてはいない。


そして、俺達はとある小さな村に辿り着いていた。


「今日はこの村で休ませてもらうかな」


いくら快適な旅路と言えども、偶にはふかふかのベッドで寝たいものだ。

流石にテントにはベッドは持ち込んではいない。

【亜空間収納】で持ちこむ事は可能だが、なんと言うか……俺の変な拘り?で、旅にベッドは邪道だと思い、旅の間はベッド禁止なのだった。


俺達が村の入り口付近に近付いていくと、門番らしき人に何故か驚かれた。


「?」


俺が訝しんでいると、門番がバツが悪そうに頭を掻きながら説明をしてくれる。


「あー、すまない。旅人なんて久しぶりだったからな」

「久しぶり?」


ここは確かに街道から少し外れた森の中ではある。

だが、小さいと言っても辺境と言う程でもなく、ちゃんと地図にも載ってる普通の村のように見える。


いくら魔物が活性化してても、全く旅人が居ない訳では無い。

現に、ここまで来るのに何組かの冒険者とはすれ違っているのだ。

そもそも、魔物にはそれぞれ発生区域があり、強い魔物が居る場所さえ把握していれば、容易に回避は出来る。


「途中ボブベアーに会わなかったか?会わなかったんならそりゃ運が良かったな」

「ボブベアー?」


【ボブベアー】とは2m程の大熊だ。

確か昔のランクはB程だったが、今じゃA位の強さがあるのかもな。


確かにここら辺でボブベアーが出没するのは変な話だ。

俺の記憶が正しければ、ボブベアーの出現場所は、もっと山奥の筈である。


そんな事を考えていると、ベリアルが事も無げに言ってきた。


「ああ、それならお前が昼寝してる間に瞬殺しといたぞ。通り道に三体程居たが邪魔だったからな」

「だってさ」

「は?」


俺は特に驚きもせず、当然とばかりにベリアルの話を聞いていたが、門番は口をポカンとして開けていた。

アヤメやアルテミスも俺同様の反応だが、エルフ5人はそれを実際に見ていたらしく、何とも言えない表情をしていた。


「いやいや。お兄さん、いくらなんでも嘘は行けないよ?ボブベアーはランクAだよ?ランクA冒険者でも5人パーティーでやっとこさな相手だぞ?」


門番は有り得ないとばかりにベリアルの言葉を完全否定している。

まあ、信じるも信じないもそれは本人の自由意志だろう。

俺達は特に気にすることもなく、目下の目的を遂行する為、門番に訊ねる。


「そんな事より、中に入っても問題ないのか?」

「あ、ああ。【冒険者カード】か【通行札】があればそれを出してくれ。なければ通常の入市税がかかるからな」


俺は頷いて、布袋に手を入れ【亜空間】から【冒険者カード】を取り出そうとして……ふと気づいた。


そう言えば今更だが、【冒険者カード】の記入欄ってどうなってるんだろ?


【冒険者カード】を登録する際、必要記入を書いた紙を提出するのだが、その記入したものは漏れなく【冒険者カード】にも記入されるのだ。

冒険者カードに【隠蔽】は通用しない。


俺は、気付かれないように恐る恐る【冒険者カード】を覗き…………ホッと胸を撫で下ろした。

ちゃんと名前も【セツナ・ジングウ】になっており、種族も【現人神】とかふざけた事は書いておらず、【人族】になっていた。

流石にあの女神もそこまで悪趣味ではなかったようだ。


「?」


門番が少し不審がっていたので、俺は慌てて門番に冒険者カードを手渡した。


冒険者カードとは、勿論【冒険者ギルド】に登録する際に発行される身分証のようなものだ。

普段は何の変哲もないただの銅板のようなものだが、持ち主の魔力を流し込めば、その波動を感知し、文字が浮かび上がる仕様になっている。

【魔力の波動】とは、指紋みたいなもので、決して同じ波動を持った者は居ないとされ、なので冒険者カードは本人以外が持ったとしても、ただの銅板のままで使用出来ない仕組みとなっているわけだった。


そして、ここでの【入市税】だが、村や街に入る際は必ず税金が取られる。

ただし、さっき門番が言った【冒険者カード】や【通行札】があれば、入市税は半額だ。

冒険者に至っては、場所にもよるが、ランクによっても入市税が変動する事もある。


それにしても、俺の【冒険者カード】を見た門番が、目を見開いたまま何故か硬直してしまっているんだが……。


「…………………………」


何だ……?


他の者達も、その門番の様子に訝しんでいる。


「おい。よく分からんが早くしろ」


ベリアルがイライラしながら催促をした。

そこでハッと門番が漸く我に返り、今度は俺を凝視してきた。


「あ、あんた…………SSSか……?」

「は?まぁ、そうだけど?」


そこにちゃんと記入してる筈だけどな……。

何を態々聞いてくるんだか……。


その俺の返答を聞くやいなや、門番は何故か慌てたように「ちょっと待っててくれ!」と言って、その場を大急ぎで走っていってしまった。


おいおい。門番が持ち場を離れてどうすんだよ……。


などと、心の中でツッコミを入れてしまう。


「何なんでしょうか?」

「さあ?」


アヤメの疑問も尤もである。


ただ一つ言えるのは……………………嫌な予感しかしない。

いよいよここからが楽しい楽しい旅の始まり♪


もう既に、テンプレ起こしそうな匂いがプンプンしますが……まぁ、気にしない!笑


皆さんを飽きさせないように、何とか頑張って行くつもりなので、今後とも宜しくお願いします!!m(_ _)m

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