お金で全てを解決できる7
ようやく学校に到着した。
色々と大変な事はあったのだけれど。
どうやら君乃とリュウが到着する前にすでに学校に
人が集まっていたらしい。
リュウは予定の時間よりも少し前に
到着したため、まだ到着してない人を待つ間
みんなの様子を見ていた。
まぁ、単純に盗み聞き、盗み見だ。
状況把握のためという大義名分があるのだから許されるだろう。
「ねー、ちょっとテンション上がってこない?この町の人ほとんどいないんだよ?笑」
不謹慎な事を言っているコイツは木戸碌華。
黒ギャルに憧れている変な奴。
通称はドロちゃん。
キドロクカ→キドロっちゃん→ドロちゃん
って変化していった。
「んー、なんかすごい事でもあったのかな?親もいないみたいだし」
こいつは、箕野千郷。
箕野の「みの」と千郷の「ち」をとって
ミノッチっていわれてる。
単純に「未知」不思議ちゃんって
思ってくれればわかりやすいかもしれない。
「え、ミノッチの両親もいないの?」
「うん、帰ってこないの」
「ウチの家もそーだよ!親いなくて最高!」
ドロちゃんは両親が大嫌いらしい。
まぁ、黒ギャルに憧れているんだ。
親が好きな黒ギャルなんてなかなか聞かないしな。これは納得だ。
しかし、こんな会話聞いてもなんの足しにもならないし
重要な会話をする兆しは見えないのでリュウは他の集団のところに足をすすめようとした。
その矢先に
「おい、リュウ。お前、何みんなを呼び出してるんだよ?調子乗ってるのか?」
どこからか湧いてきたのか知らないが
急にリュウは4人の集団に囲まれたらしい。
この手の輩は相手にしないのがいいのだが
逃げ場のない今はそうはいかない。
この4名は学校でも有名な
工藤、公野、高崎、広田の4人である。
進学校に珍しい、いわゆる不良という輩だ。
なんか「4こう」なんて呼ばれてるらしい。
頭文字が4人とも「こう」だから。
なんかどっかのマンガに登場するような強キャラ感がひしひしと伝わってくる。
「いえ、決してそんな事はありませんよ?どうかされましたか?」
リュウは笑顔で受け流すという手を選択した。
無駄なエネルギーの消費は避けたかった。
「全校生徒集めるなんて、調子乗ってるだろ」
なかなか食い下がるなぁー、面倒だな。
とリュウは思った。
まぁ、機嫌の悪い不良ほどタチの悪い生命体はこの世に存在しない。
文句があるのだったら、来るなよ...
「いえ、集めたのは君乃です。私は少々そのお手伝いをさせて頂きました」
とりあえず、相手との距離を示すために敬語を使った。
そこまでは、よかった。問題は他にあった。
このセリフは
一見非の打ち所がない逃げのセリフではある
しかし、失敗だったのだ。
なぜなら
この「4こう」にとって君乃の名は禁句だったのだ。
学校中で有名な美女である君乃に
4人とも、惹かれてるらしい。
まぁ、君乃と付き合うのはこの学園において
不可侵とされているのだが。
「おい、何、君乃なんて親しげにいってるんだよ?」
柔道部の高崎が声を張り上げた。
やはり。お怒りモードだ。
日頃から色々とリュウに対する鬱憤が溜まっていたのだろう。
不可侵の抜け道である幼馴染みという
ステータスは男子みんなに僻まれるものであった。
こういう被害をあうのは昔からだ。
「何か問題でもございましたか?」
4人が怒る理由を知った上でリュウは
平然と言った。
あたかも、何も知らないみたいに。
そして4人の怒りがピークに達したその時、
「リュウちゃん?何してるのー?」
ここで、君乃が助け舟を出した。
いや
この状況ではむしろ逆効果であるかもしれない。
いや、逆効果に違いなかった。
しかし、君乃前ではこの4名は大人しくなった。
君乃効果絶大である。
「すいません、少しリュウさんをお借りしてました、もう用は済みたしたので大丈夫ですよ」
「4こう」随一の頭脳派である工藤が
サラッと場の空気を変えた。
こういう切り替えは異常に早い。
コイツがいなければ「4こう」なんてザルに
等しいのに。
「あ、そうなの?ありがと」
君乃の方も笑顔で感謝の言葉を述べている。
どうやら、君乃は感謝の言葉を覚えたらしい。
いつ覚えたのか?おれ聞いたことないぞ。
結果的にリュウは君乃に救われる形になった。
リュウは4人に最後睨まれていたが無視して
君乃の後を追った。
「ありがとな、君乃、助かったよ」
「私はリュウちゃんをさらに陥し入れようと、親しげなフリをわざとしただけよ。感謝をされるつもりなんてないわ」
これは、ツンデレなのか?
たぶん、感謝に対してどう対処するかわからないのだろう。
だとしたら君乃は感謝に弱いらしい。
これは、いい弱点をみつけた。
今すぐ、その弱点を突こう。
「仮にそうだとしても、助かったよ。いつも本当に感謝してる。ありがとな。君乃」
どーだ。完璧な褒め言葉だ。
これなら、君乃は対処できないだろ。
「さっきからなに?褒め言葉を覚えたから私にそんなに自慢したいわけ?まぁ、たしかに言葉を喋れるばかりか感謝をできる虫は少ないわね」
「ちょっと待て、これはツッコミどころが多すぎる!どこからつっこめばいいのかわからなくなったのは生まれて初めてだよ!」
「あら、ツッコミまで出来るとは。あなた人間みたいね」
「今気づいたぞ!君乃のボケには俺を人間と扱わないという一貫性がある」
と、ここまで言ったところで背後から近づく人影があった。
「また、きみのん、リュウちゃんいじめてるのー?」
おぉ、ここで優しさの塊である澤野遥がやってきた。まぁ君乃と一緒にいる時は毒舌になるが。
「いいぞ、澤野。君乃にいってやれ!」
「もうだめじゃん、リュウちゃんいじめるときは私も混ぜてよ」
ちょっと待って、さわのん!話が違う!
おれはさわのんにまで見放されたのか?!
「待て、今、いじめる?いじめるって言ったぞ!言質は取った。これは人権問題だ」
さぁ、どうだ。優しい澤野でさへ見放した僕でも
人権があるのだから国家権力が僕を守ってくれてる。
これで、今後、2人の攻撃は全て無効だ。
これは完璧な一手だった。
しかし、君乃の矛はやはり最強である。
「あら、虫に人権なんてあるわけないじゃない。あなたは昔から夢をみすぎよ」
根本から否定された!
君乃の攻撃を防ぐなんて甘い期待だった。
こいつの攻撃なんて防げるのか?
しかし、ここで諦めるリュウではない。
「甘かったな。君乃。今では虫をいじめたらダメな法律もあるんだぜ」
もちろん、嘘である。動物愛護法はあっても昆虫愛護法なんてものはこの世に存在しない。
しかし、この知識を君乃は知らないと予測したのだ。
さぁ。これは切り返しが難しいぞ。
「違うわ。私とさわのんがやってることはただの害虫駆除よ」
...コイツにはなにをしても勝てない。
「たしかに、悪い虫が君乃についてるわね」
さらに澤野がおれに追い打ちをかけてきた。
2対1なんて卑怯だぞ。
と、そこに俺の唯一の仲間である
芝一馬がやってきた。通称かっちゃん
デカイからデカっちゃんとも呼ばれてる。
ノリが良くて気が利く奴だ。
「おーい、リュウ」
「かっちゃん、よく来てくれた。助かったよ」
「助かった?君乃と澤野さんがリュウと話してたから邪魔かと思ったんだけど」
「そんなことは、ないよ」
むしろ助かった。
「ええ、話すなんてそんな事はないわね」
なんか、おれと話すなんて格の下がる行為はしないよ。みたいな表現をする君乃。
「一馬さんはやさしーですねー」
そして、一馬を褒める澤野。
「そんな事ありませんよー」
照れる一馬。
「あぁ、かっちゃんはたしかに、優しいよ。誰にでも優しい。昔からそうなんだ」
「だから、あなたにも優しいのね」
君乃は相変わらずブレない。
キャラを隠さないのは
君乃とかっちゃんは俺を通じて仲が良いからなのだ。
そして、澤野と君乃はもちろん仲がいい。
「あはは、君乃は相変わらず面白いな」
かっちゃんはその優しさから君乃を咎めてはくれない。
しかし、こういう雑談はリュウは好きだった。
明らかに一方的な悪口ではあるのだが。
そして、毎度のように
一応Mではないと付け加えておく。
そうしてる、内に予定の時間になった。
いよいよ、全校生徒に現在の情報を伝える時である。
しかし、結末からいうとすれば
これはできなかった。
するために集まったのに、文字通りできなかった。
君乃が前で、全校生徒に現在の置かれている状況を君乃の知る限り説明しようとした時に事件は起こったのである。
けたたましい爆竹の音とともに、
地響きがなった。
「ちょ、この音なに?」
「君乃どーゆーこと?」
「どーなってるの?」
「早く説明してくれよ!」
「おい、どーゆーことだ?」
ザワザワと体育館中が騒がしくなった。
地響きと重なって何が何だかわからない状況だ。
実際、どれくらいの時間が経ったのかわからないが
暫く時間が経つと
体育館の中に数百人の警察?
自衛隊?らしき人達が入ってきた。
大人達は街にはいないはずなのに...
「全員黙れ」
1人の大男が声をあげた。
もちろん、全員は固唾を飲んでその男を見る。
よく見てみると、全員銃を携えてる。
これは、一体どうゆう状況なのだろう?
すると、後ろから一人の男があるいてきた。
その男はこういった。
「君たちはこれから、ゲームをしてもらう。身分決定を行う重要なゲームだ。
3日か猶予を与えよう、存分に準備するように」
「はぁ?こいつなにいってんだ?」
「状況がサッパリ?だぜ」
「あいつ何様だよw」
「そもそも、誰なのあの人?w」
また、ザワザワとざわついた。
まあ、こうなるのは無理もない。
当然である。
バーーン
銃声が体育館に響きわたった。
ようやく銃を相手が所有しているのに気がついたのか生徒全員が震え上がっている。
そして、体育館に、また静寂が訪れた。
すると、先の男が
「あぁ、そうかまだ伝えていなかったな。
我が名はK。この地方を預かる貴族である」




