お金で全てを解決できる5
一夜にして日本が変わった。
いや、そうではない。変えられてしまったのだ。
政府はカースト制度の実施に備えて
はやばやと準備に取り掛かってしまっている。
凄い手際の良さであった。まるで
そうなることが予め決まっていたみたいに。
へー、最近はニュースで冗談を言うのか。
目を覚まして、TVでそのニュースを聞いた時
リュウはそう思った。
両親はリュウよりも先にその事実を知り
知人に連絡を取り
役所での情報開示、そして
今後の計画についての緊急集会
に参加してるらしい。
置き手紙にそう書いてあった。
リュウは、とりあえず幼なじみである
君乃に連絡をする事にした。
とにかく誰かと会話をすることで
安心したかった。
そして情報収集ためである。
...なかなか繋がらない。
もしかすると、すでに誰かと話し中か?
その可能性は高い。
しかし、それならコールはならないはずだ。
では、君乃は動揺して電話が鳴ってることに
気がついてないのか?
そう考えていたが、杞憂だった。
電話が繋がったのだ。
「もしもし、君乃?」
「...だれですかー?もしかしてリュウちゃん?」
「あぁ、そうだよ。てか君乃ヤバくない?」
動揺のあまりか表現がつい曖昧になってしまった。
でも、こんな大ニュースだ。伝わらない筈がない。
「え、あたしなんかヤバいかな?どちらかというと朝からモーニングコールしてくるリュウちゃんの方が色々と常識的にヤバいよ。いつからそんなこと熱烈になったのー?」
リュウは驚いた、どうしてこんなに君乃は
冷静なのだろうか。日常が狂い始めてるのに
どーしてこうも冷静でいられるのか。
...まてよ、モーニングコール?
さては、こいつ今起きたばっかだな。
ニュース見てないのか。
「もしもーし、リュウちゃーん?どーしたの?怒ったの?からかってごめんね。寝ぼけてたから許して」
少し君乃の声を聞いて冷静さを取り戻したリュウは
とりあえず、君乃に会うことにした。
「あぁ、すっげー怒ってるよ、この上ないくらいに、だから今から君乃の家行くからそこから動くなよ」
我ながら凄い強引だと思った、
でも君乃の動揺を少しでも抑えるために
自分が状況を伝えることで
緩和させてあげようと思った。
君乃の家は家から徒歩3分である。
目と鼻の先だ。自転車を使いさらに
時間短縮をしたのですぐに君乃の家に着いた。
君乃の両親とも顔見知りで親しい仲であるので
リュウはノックもせずに君乃の家に押し入り、
君乃の部屋に向かった。
「君乃大丈夫か?」
「え、むしろ、私の方がリュウちゃんのアタマがおかしくなったんじゃないか心配だよ」
相変わらず、君乃は君乃だった。
黒髪の艶やかなきめ細かい髪に、整った容姿
そして透き通った綺麗な肌
どれを取っても一級品である。
この顔を見るために来たと言っても過言ではない。
一応そうではないと、否定しておくが。
「リュウちゃん、そんなに見つめてどうしたの?なんか恥ずかしいんだけど...」
君乃が顔を赤らめた。
あまりの可愛さのためかリュウのアタマから
一瞬、ニュースの事がどうでもよく感じた。
しかし、気を取り直して
リュウは出来るだけ真剣な、深刻な表情をして
君乃にありのままの、ニュースの内容を伝えた。
君乃は、リュウが話した内容を疑おうとはしなかった。
リュウの行動から
リュウは嘘はついてないと
君乃は推測したのだろう。
君乃の両親が朝早くから君乃の家に居ないことから
リュウの両親と同じように
集会に参加したのだ
とリュウが推測したの同じように。
とりあえず、君乃とリュウは友人に連絡を取ったり
ネットや、ツイッター、新聞、テレビ、ラジオなど
もてるメディア全てを駆使して情報収集にあたることにした。
すると、驚くべき事実が発覚した。
連絡を取った友人全ての両親が今は不在。
緊急集会に参加したとのことだった。
あまりにも不自然極まりない。
片親だけってのならわかるが
両親揃って、参加するのはおかしい。
なにか、怪しいぞ?と思ったが、
リュウと君乃が連絡をとった相手の両親が
全員たまたまそうであったのだとリュウは思うことにした。
いや、思い込むことによって考えることを
先延ばしにした。
情報収集を、優先しつつ
君乃の家で両親の帰りを待った。
しかし、どこの家庭の
両親も帰ってくることはなかった。
それどころか、連絡すら取れなかった。
ここの時点でリュウと君乃は気づくべきだった
この時すでに、選別は始まっていたのだ。




