1話
とても久しぶりに靄がかかっていた頭が少しずつだがすっきりする感覚があった。
たしか、自分がいたのは山あり谷ありの広大な森…のはずだが、軽く視線を動かして見てみても、周りはなぜか黒く煤けた樹木の残骸があるだけの焦土だった。
なぜそんなところに自分がいるのか、そしてなぜそんなところで自分は素っ裸で倒れているのか頭に?マークを浮かべ、さっきからずっと視界に入る足の持ち主に尋ねた。
「ここは…?あなたはだれ?」
「第一声がそれか。…今までの記憶がないのか。…オイ。成功してると思うが体はちゃんと動くか確認しろ。とりあえず起きて服を着ろ。」
よくある茶色の髪色をした男の子がしゃがみこんで、着ていた裾が長いロープを私の体の上に掛けながら言った。
ゆっくりとだが両手で体を起こし、身長的にそんなに差がなかったため裾があまり余ることが無かったロープを羽織りながら、裸だった自分に驚きつつやはり現状が分かってない状態だったので目の前の少年に再度聞いた。
「もう一度聞くけど、ここはどこ。で、あなたは?そして…私は?」
「…ここはウッドバーク国の東の魔の森。俺はこの国の筆頭魔法使いエドヴァルド。そしてお前は、この森に長くいた呪いだ。」
そう、溜息をつかれながら少年に答えられた。