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11 縮地突き

 あれから1週間近く、俺は迷宮に潜っていた。

 来る日も宝石探しに精を出す俺をゴブリンどもが妨害してくる。

 迷宮のいたるところにゴブリンはいた。

 基本ほぼ裸で、剣や棍棒を持っている。


 そして俺などの人間を見かけると、即襲い掛かってくるのだ。

 俺は危なげなくそれを剣術と盾術で倒す。

 1週間も戦えば、ゴブリンに対する自信位は付く。


 そして1週間でわかったのは、俺が戦っている場所ではゴブリンは一体でしか行動していない。という事だ。

 何故かは知らないが、絶対単独行動をしていた。

 絶対一体で俺に襲い掛かってくる。


 偶に戦闘が長引くと、違うゴブリンを引っかけて二対一になったりはする。

 それが分かれば、さっさと倒すに限ることくらいは誰にだってわかる。


 多対一は分が悪い。

 スキルがあろうとそれは変わらない。


 しかし、ゴブリンは群れで動いた方が良いと思うが。

 一匹でいると狩られる対象になると思うのだが、違うのだろうか。

 複数でいた方が、人間を殺せるぞ? まぁ、殺されないようにはするけど。


 そうして、俺はダンジョンマスターとなり、稼ぎは最高潮。

 ウッハウハの大金持ち。宝石を回収しまくって、来る日も来る日も金におぼれている。

 来る日も来る日もギルドで換金三昧。受付嬢さんからは素敵な目で見られ、モテモテの日々だ。


「それだったらどれだけいいか……」


 嘘だ。

 さっきのは嘘。

 まったく良くない。


 1週間の稼ぎはゼロ。

 ゴブリンこそ殺しまくって、ステータスカードの俺のレベルが6になるまでは殺した。

 そんな無益な事ばかりしている。

 いや、違うよ。


「宝石なんてどこにもねーよ……!」


 そうなんだよ。どこにもねーんだよ。

 地図作りなんてものも始めたが、この階層はもう網羅したとも言っていい。

 しかし宝石のかけらも発見できない。


 指先ほども確認できていない。

 どこを探しても宝石はない。


 壁を見てもただ青白く光るばかりだ。

 宝石は壁にでも埋まっているのではないかと思う。しかし掘削道具を持っている同業者はいない。


 どうにも困った。


 このままでは金がなくなり、宿からいつかは追い出されてしまう。

 それはまずい。

 暮らす場所がなくなれば困るのは俺だ。


 もう一週間も何も稼ぎが無いのだ。

 これでは働いていないのと変わらない。

 結果主義だ。

 頑張っただけでは、評価はされない。


 結果が重要なんだな。

 嫌な世界だ。


 つーか、宝石どこだよ。

 案内板出しとけや。


 それからも迷宮内を散策してみるが、ゴブリンだけ。


 ゴブリン、ゴブリン、ゴブリン。

 斬って、殴って、燃やす。

 もう単純作業だ。


「暇だ……」


 なんてね。油断するとこうなるわけですよ。

 いやだな。

 あいつだ。


 するとザッザと規則正しい音を出しながら歩いてくるゴブリンが来た。

 あれは強いタイプだ。

 装備も良いし、金属製の鎧を着ている。

 だが、装備は売れない。人間のサイズに合っていないし、少しぼろい。


 しかし背中側は露出している。体をすべてカバーしきれないタイプの鎧だ。隙間が多い。

 こういう敵の場合は、あまり近づかないのが正解だ。


 火魔法がある。

 今は3つの技が使えわけだが、2番目に強い技を行使。


火弾(ファイヤ・バレット)……!」

 

 火球より小さいが、密度の高い炎がゴブリンに襲い掛かる。

 しかし剣で打ち払われてしまった。

 速さと威力で、というより全面的に火球より上の火弾を防がれた。


「うーん、やっぱりダメか……」


 装備がちゃんとしているゴブリンは油断ならない。

 それが俺の1週間の成果だ。


 剣だし。剣術を使ってくるな。これは。

 今まで2回装備の良いゴブリンに遭遇した。


 どれも戦うのは面倒で逃げてきたが、どうにも追いかけてくる。

 火魔法で近づけないようにして、逃げるのだが、倒せないのだ。

 普通のゴブリンなら一発で殺せるのだが、あいつらは違う。

 数こそ少ないが、絶大な力を持っている種だ。


 宿で聞いた話では、スキル持ち、と呼ばれているらしい。

 人間にもスキルはある。


 俺の剣術や盾術もその範囲だ。

 しかし適用範囲は、モンスターにも通用する。


 偶に強いモンスターが居るから気を付けろというのを言われた。

 昨日聞いた話だ。

 酒を奢ったら気前よく話してくれた。


 あれがスキル持ち。


限定奪取(リミテッド・スチール)はダメだな」


 まさに限定。

 人限定の技だよな、これ。

 それでもすごい力を秘めている技だ。

 無敵に近い。


 だが、舐めてくれるな。

 限定奪取(リミテッド・スチール)で奪ったのは、火魔法だけじゃない。

 レベルも上がっている。


 やれない事は無い。


 ゴブリンもやる気だ。

 俺もやる気だ。


 勝負。


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォオオ……!!」


 挑発(ウォークライ)だ。

 これで相手は逃げられない。


 ゴブリンは驚いた顔をした。だが、それだけだ。

 ま、いいけど。腰抜かして、失禁して、脱糞しろなんて言っていない。

 まずは俺の先手からだ。


「縮地突き……!」


 大層な名前だがダッシュ突きだ。

 距離を詰めて攻撃をする剣術の技。

 俺の中では最上位に君臨する技の一つだ。


 数mは離れていた距離を一気に詰めて、突き技を放つ。空気を切り裂き、最短距離を進む剣。

 ゴブリンは対応できなかったが、鎧が剣をはじいた。


 ガツンと固い手ごたえが、俺の手に伝わる。

 だめか。鎧のない場所を狙わなければ。

 でもゴブリンの体勢は崩した。


「ガッシャラァ……!」


 追撃をかけようとしたが、ゴブリンは流れに逆らわず、そのまま体を地面に倒した。

 ゴロゴロと転がり、俺から距離を取ると、次の瞬間には距離を詰めてくる。


 速い。

 しまった。

 来る。

 構えろ。


「ガッジャ!!」


 まず。一本突きだ――!

 ゴブリンは剣術の基本技、一本突きで攻撃を仕掛ける。

 腕の引いて、一気に突くだけだが、その破壊力は甚大だ。


 俺は盾を構えて、その場で踏みとどまる。

 盾受(ブロック)


「ぐっ……!」


 盾と剣が正面衝突して、金属音が迷宮内に響き渡った。

 だが、俺はよろめかない。

 どっしりと構える。


「ギィィ……!」


 ゴブリンは呻き声を出して、一歩二歩下がる。

 力は俺の方が上。

 舐めるな。


 だが、ゴブリンは攻撃を辞めない。

 離れた距離を再度詰めて、矢継ぎ早に剣を突き出す。


 もはや弾幕だ。

 一本突きを連続で放っている。

 乱れ突きに近い。


「ガッシャ! バラァ! グラララ!」


 盾受(ブロック)盾受(ブロック)盾受(ブロック)。すきを窺うが、中々ない。

 やはり強い。

 スキル持ちは格が違うというか。

 しまったな。


 挑発(ウォークライ)は使わない方がよかったかも。

 相手から逃げてくれたかもしれないのに。


 盾受(ブロック)したり剣ではじいたりして、ゴブリンの攻撃を無力化する。

 このままでは他のゴブリンが来てしまうかもしれない。

 早々に決着をつけたいが。


 ゴブリンは攻撃を辞めない。

 このまま押し切るつもりなのか。

 そうはさせない。


火球(ファイヤ・ボール)……!」


 火球を素早く一発だけ、ゴブリンの顔面めがけて打ち出した。

 だが、至近距離からの攻撃だったが、ゴブリンは対応する。

 体を傾け、火球を回避。


「ジャラァ……!?」


 だが、一瞬のスキが出来た。

 この貴重な一瞬を使わず、いつ使うというのか。


 俺は、


「バイバーイ……!!」


 逃走だ。


 だめ。無理だ。

 強い。強すぎだって。

 あの距離から魔法も回避しちゃうのかよ。


 ゴブリンは俺の逃走に怒り、追いかけてくるが、俺の方が早い。

 俺は皮鎧で、あいつは金属鎧だ。

 他の要因もあるだろうが、俺の方が早い。


 さっさとあいつから離れて宝石を探そう。

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