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なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな(2019年)

⚫︎マハカメリア宮(?歳)

⚫︎蓮田ヒカリ(33歳)

⚫︎城戸ユウキ(59歳)

⚫︎アマーニ(30歳)

⚫︎岩本清順(47歳)

⚫︎リリジョン101

⚫︎ヒトラシキ

⚫︎星の落とし子、それ

 八月八日。夏の朝、リリジョン101の信者たちはマハカメリア宮を夢に見ていた。教祖は光を放つクリオネじみた姿で語りかけた。

「お待たせ。帰ってきました。私、マハカメリア宮は見事に『星の落とし子』となることができました」

 頭が裂けて翼に展開し、両翼の間から触手がうごめいた。まるでメドゥーサのようだった。

「おいで、ここにおいで、みんなでおいで、私が包んで、私が守ってあげる。私のこどもたち」


★★★★


 目を覚ました蓮田ヒカリは、かねてから準備していた計画を発動させた。信者たち全員で「星の落とし子」に会いに行く。既に兵器担当の城戸と「星の落とし子」研究担当のアマーニが教団を去っていた。

 アマーニは気がつけばリリジョン101からいなくなっていた。

 反対に、城戸とはきっちりと話をした。物事のけじめということで。

 けれどヒカリはその日を思い出すだに、彼が言っていた理由がよくわからない。


「カメちゃんが夢に出てこないからだ」

 城戸の諦め切った顔。どうしようもなく寂しいくせに、全てを自分の中で決めてしまっている顔。

「それは必要ないと見なされたのよ」

 ヒカリは見下げた目をした。

「そうかな? 自分の夢じゃ、カメちゃんは助けてって言ってた。マハカメリア宮なんかじゃなく、カメちゃんが」

 ヒカリにはよくわからなかった。それが決別の瞬間だった。


★★★★


 蓮田ヒカリは信者たちと共に渡船に乗る。全ての船を動員しても余ってしまった信者は――信者数は今やこの町の人口とほぼイコールであった――海辺またはへそ池の縁に立った。それから全員で身体に重りをつけ、合図で一斉に身投げした。

 深海に潜む「星の落とし子」に会い、ヒトラシキを経てやがて自身もマハカメリア宮の子になるために。

 海辺からは深海に辿りつけるはずもなかったが、いてもたってもいられず全員が身投げした。

 へそ池にいた信者たちだけは岩本たちに止められうまくいかなかった。

 青から黒へと変わっていく海に沈みながら、信者たちは見た。深淵から幾本もの触手が巻きつき巻きつかれ、花開くように彼らを迎えてくれるのを。

 蓮田ヒカリはアマーニがよく口ずさんでいた歌を頭の中でリフレインさせる。


Joy to the world, the Lord is come!

Joy to the deep blue sea.

Joy to…… 

Joy to……

読んで頂きありがとうございます。

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