第1話
神検体
「起きろ!」
そんな物言いで雅人は起こされた。その物言いに少し怒りがわいたが、眠気もあり黙って雅人は布団からはいでた。眠たい目を擦りながら前をみると白いひげを生やした老人が立っていた。
その男は先が渦巻いた杖をもち、瞼で目が隠れていていかにも、子供のアニメに出てきそうな神様の格好をしていた。男は雅人が起きたのを確認すると、
「今の人生に満足しておるか?お前は63億人の中から検体としての10人に選ばれた。詳しいことは機会があれば話すが、お前はこの人生を含め3度人生を送ることができる。しかし、そんなことが世間に知れれば、お前に検体としての価値はなくなる。よってこのことは一切の口外を禁止する。もしこのことが他人に知られた場合、お前と秘密を知った者は10分以内にこの世から存在を消さしてもらう。もちろん自然なかたちで」
雅人は男が不敵な笑みを浮かべるのを不快に思い、また男の話すペースの遅さにいらだちを感じ、話を遮った。
「あなたは誰や?ここは俺の家でこんな時間に俺を訪ねてくる人間なんておらん。しかも、あなたの話は全く意味わからん。」
すると、男が再び不敵な笑みを浮かべながら
「詳しく話してもお前には理解などできん。お前が守ることは口外しないこと、それだけだ。わしはお前を監視するという仕事をうけた。しっかり3度の人生を全うすることだ。」
男はその言葉が終ると同時に、雅人の前から消えていた。男が消えると強烈なん眠気に襲われ、気がつくと5時にセットしていた目覚ましのアラームの音で起こされていた。




