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チュウニでショウゴ  作者: いちの くう
1・ショウコ
2/43

1-1 正悟

 ショウゴはチュウニだ。

 そう書くと何が何だかなのでもう少し丁寧に説明する。

 湯谷正悟(ユタニ ショウゴ)は中学2年生だ。



 海原中学2年2組出席番号32番の湯谷正悟は実に特徴のある生徒で、それは見れば誰もが本当に中学生なのかと疑わずにはいられない程だった。

 背が低いのだ。

 一般に中学2年生の平均身長は162cmとされているが、正悟の身長は143cmしかない。この身長に該当するのは11歳の142cm。つまり小学5年生だ。

 これは中学2年生な正悟だけど身長は小学5年生の正悟が人知れず活躍するかもしれない物語。






 6月になって夏服へと衣替えが完全に移行したある平日。

 色々悩んでいるうちに部活へ入り損ねた帰宅部の正悟が帰路をとぼとぼ歩いていると道のど真ん中に立っている3人の人物が目に入った。

「あれ、お母さんだ。……それにおまわりさんも」

 3人のうち2人は正悟が知っている人物だった。

 1人はまぎれもない正悟の母親の朝子。専業主婦で買い物の途中なのか竹籠をぶら下げていた。

 もう1人は地元の駐在だ。横に自転車を止めて朝子ともう1人の女性とで話し合っていた。何かの事件だろうか。

「どうしたの、お母さん」

「あら、おかえり。あ、そうそうあんた誰だかわかる?」

 帰った報告をすると、朝子から聞かれた。横にいる女性が誰かと。

「え?」

 年は30代くらい。初めて見る顔だと思う。143cmの正悟にとってとても背が高い。隣の駐在と比べて身長は同じくらいだろうが、ヒールの高い靴のせいでわずかに勝っている。またこの街であまり見る事のない、上は大きく肩を出して下は膝上20cmほどのスカートという服装。

 果たしてこんな知り合いがいただろうか。しばらく考えたが答えが出なかった。

「あー、あんなに世話になったのにこの子ったら。あんたのオムツを替えてもらっていた時だってあるのよ。ほら、祥子ちゃんよ。安城(アジロ)さん家の娘さん」

 安城さんというのはこの街では有名な土地持ちの名家だ。

 そうなんだ、正悟が反応するより先に祥子が反応した。

「本当に正悟くんなの? 覚えてる覚えてる! 大きくなったねー。それに可愛いままで。もう小学せ……あれ? 12年アメリカにいたから、日本だと小学生じゃないよね。あれ?」

「中学2年生です」

 不思議がっていた祥子が真剣に悩みだしたので正悟が答えを言った。珍しいわけではない。今まで初対面で正悟を中学生だと認識した人物はゼロなのだから慣れっこだった。

「え、中学生なの!? うそー、かわいー! ちょっとかわいすぎじゃない? こんな中学生がいたら誘拐されちゃうわよ。やだ、持って帰りたいー」

 駐在の前で誘拐やお持ち帰りなんて言葉を妙なテンションでさらっと言いのけた祥子は正悟を抱きかかえた。30cm以上はある身長差のおかげで正悟の顔にやわからくてなおかつ張りのある胸が顔に当たった。スレンダーな身体に合わない豊かな乳。まだFカップの存在を知らない正悟にはちょっとだけ刺激が強かった。

 離れようと正悟が動くたびに楽しもうとするかのようになる。顔中で揺れる乳を受け止めて放つフェロモンを吸い込み、嗅覚刺激がダイレクトに脳へ働きかける。何だかクラクラしてきた。

「えへん。ちょっといいかな」

 そんないい所で全てを帳消しにしたのが駐在だった。

 そもそも、駐在・朝子・祥子、この3人が何故こんな道の真ん中にいるのか。話は少しだけさかのぼる。

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