特訓、そして……
4話です
学校も終わり時は放課後
朝に話した通り今はエリアルに町を紹介しつつ武器探しのために散策中だ。
「なあ、その武器ってなんか特徴とか無いのか?」
そう、今の状態じゃ例え武器を見つけたとしても気づけないかもしれない
もしかしたらそこら辺にありふれた物が武器の可能性だってある
「あるよっ!」
あったのかよ。ならもっと早く言おうぜ・・
「どんな特徴なんだ?」
「えとね・・確か球体だったはず・・」
え?球体?
「そんな物が武器なのか?」
さすがに俺も球体で戦うのは無理があるぞ・・・
「最初の状態ではそうなの。聖が力に目覚めた時にキミが望んだ形状になるんだよ。」
へー。そりゃ凄いな
「じゃあ例えば俺が剣を望めば剣になるのか?」
「うん、そういうこと。後ね、言い忘れてたんだけど・・」
「うん?どうしたんだ?」
「実は武器は2つあるんだ。水の武器と風の武器の2つ」
・・・なんだって?
「で、この町で反応があったのは水の武器の方ね」
「じゃあ今回探してる武器が見つかったとしても・・」
エリアルから聞きたくない言葉が放たれる
「うん、もう1つ探さなきゃいけないね。」
なんかもう嫌になってきたぞ・・・
「お前武器の気配感じたりできないのか?」
気になっていたことを聞いてみる。
「うーん。私も今は力を完全に使えるわけじゃないからね」
「あれ、そうだったのか?」
てっきり常に力を使えるものだと思っていたんだが
「使おうと思えば使えないこともないんだけど、
街中で武器を呼び出さなきゃいけないからね」
確かに街中で武器なんて出せるわけないな、うん
ってか
「武器って呼び出せるもんなのか?」
「うん。普段は別の空間にあるんだけどね、望めば現れるよ」
「そういえばエリアルの武器って何なんだ?」
これでハンマーとか斧とかだったら引くぞ・・・
「私?私はただの杖だよー」
「なんか普通だな」
「別に普通でいいもん!私は気に入ってるんだから!」
そういいながら怒るエリアルはどうみても子どもだった
ってかなんか話が別の方向に逸れてるな。
「でだ。武器のありそうな場所の見当が全くつかないんだが」
「私もだよ。どうする?今日はもうやめにする?」
自分で探すって言い出してこの結果かよ・・
でも確かに今の状態じゃいくら探しても見つかりそうにないしな
また日を改めるか・・
その時・・・
「あら、聖さん、水野さん何か探し物ですか?」
柊だった…
「っ!柊火憐!」
相変わらずエリアルは警戒心むき出しだ
そんなエリアルを見て柊が、
「あらあらそんなに怒っていると見つかるはずの物も見つからなくなりますよ。ふふっ」
どういう事だ?まさかこいつ?
「あー思い出した・・なんで気づけなかったのかな」
えっ?ちょっと急展開すぎてついていけないんだが・・
「えーとエリアル?これはつまりどういうことなんだ?」
とりあえずこの状況を聞いてみる。
「間違いなく言えることが1つあるよ。あの女は敵」
そう言ってエリアルは柊の方を指さした
「そんな勝手に決めつけられると私、傷ついちゃうわっエリアルちゃん♪」
と笑いながらそんなことを言ってくる柊
エリアルの名前知ってるってことはマジで敵っぽいな・・
エリアルも向こうのこと知ってるみたいだったし
「でもね、今日はあなた達と戦うために来たわけじゃないの」
「じゃあ何の目的!?」
なんかエリアル相当気が立ってるな
「今日はただの宣戦布告にきただけよ♪」
「明日の夜、そうね夜中ぐらいがいいかしら。学校にいらっしゃい。
私と勝負して勝つことが出来たらいいこと教えてあげるわ。それじゃあね♪」
そういって柊は帰っていった
柊が帰った後俺達はしばらく声が出なかった
「ねえ聖・・・」
エリアルが話しかけてくる
「なんだ・・・」
「今日これから時間ある・・・?」
同じ事を聞こうと思っていた俺は、もちろん
「ああ」
そう答えた
「じゃあビシビシいくから覚悟してね!」
こうして柊戦に向け特訓が始まった
最初に俺達は人気の無いところに移動した
その方がいろいろと都合がいいからな
「それじゃまずはアイツの事に教えておかないとね」
そういうとエリアルは柊のことについて教えてくれた
あいつの本名はフレムっていって
元はエリアルと同じ世界の人間だったがある事が原因で追放されたらしい
で、昔からエリアルとフレムは仲が悪かったっぽい
まあ犬猿の仲ってやつだ
だからエリアルはフレムの前ではあんなに怒ってたようだ
んで、次はフレムの力と戦闘スタイルなんだがこれがまた厄介そうだ•••
フレムの力は獄炎っていって炎の力の1つらしい
だったら水の力を持つエリアルならって思ったんだが
「私の力は水流っていう力で水の力の中ではそんなに強い力じゃないの・・・」
とのことだ
それに対してフレムの獄炎は炎の力の中でも結構上位の力で
エリアルの水流じゃ勝負にならないとかなんとか
じゃあどうするんだよって話なんだが
どうやらフレムは上手く獄炎を扱えないからすぐに体力が無くなる
だから今回の戦いはその隙を狙って戦うらしい
以上大まかな説明終わり
で、問題の俺はどうするかというとエリアルが
「後ろで私の援護してて。前に出るのは無謀だから」
無謀ときたか・・・そこまでの相手なのかよフレムって・・・
特訓はまず今の俺にどれだけの力があるか確かめることから始まった
「じゃあまず手のひらに丸い球をイメージして」
丸い球•••丸い球•••こうか?
ボワンッという音と共に青い水球が現れた
「うん、基本はできるみたいだね。じゃあ次はもう片方の手にも水球を作ってみて」
俺は言われるままに水球をイメージした
水球が姿を現し始める・・・だが
パァンッ!と水球ははじけ飛んでしまった
おかげで俺はびしょ濡れだ
エリアルは最初からこうなることが分かっていたかのように1人避難していた
しかもこっちを見て笑っている、なんてタチの悪いやつだ
「くくっ・・大丈夫・・?ぷふっ!」
まだ笑っていやがる・・
「ごめんごめん、あまりにも面白かったからつい・・
両手に水球を作るには相当な集中力が必要だよ
1つの水球を作ることは簡単だよねでも、2つになると
出来なくなるどうしてか分かる?」
俺はすぐに頭に思いついた答えを言ってみた。
「2つのときは片方のイメージを保ったままもう1つを作らないといけないからか?」
「正解。よく出来ました!だから今から2つの水球を作れるようになるために
集中力を高める特訓をするよ」
「それはわかったがどんな特訓なんだ?」
「やっぱり集中力を高めるといったら瞑想でしょ!」
瞑想かよ・・もっとハードな特訓だと思っていたんだがな・・・
「はい!瞑想開始!」
「いきなりかよっ!」
「私語は慎む!」
いきなり始まった瞑想に驚きながらも、俺は意識を集中させた
そして集中力が高まってきたころに
意識を手のひらに集中させながら1つ目の水球を作り出す
ここまでは簡単だ、問題はここから・・
俺は空いているほうの手に意識を集中させながらも、
もう1つの手に意識を集中させる。そして水球が現れ始めたとき、
意識を最大限に集中させた
「今だっ!」
俺は目を静かに開く。俺の手には2つの水球がちゃんと現れていた
「やったね聖!出来たよ!」
エリアルがまるで自分の事のように喜んでいるが、
正直俺はまだ実感が湧かない
「それじゃ次の特訓いってみよう~」
結局喜ぶ暇も無いまま次の特訓にとりかかる
「次の特訓はこれ!コントロール上昇練習
やっぱり当たんないと意味がないからね」
そういってエリアルはどこからともなく杖を呼び出す
そして杖を一振りするとそこら中に水のカーテンが現れた
そして最後に
「今から10分以内にあの水のカーテン全部消してきてね。
ちなみに水球じゃないと消えない上に動くよあれ」
いや普通に考えて無理なんだが・・・
しかしそんなことを考えている間にも
「いぃ~ち~、にぃ~、さぁ~ん・・」
って数えてるし!
「ほらほら急がないと、時間無くなっちゃうよー。」
こっちだって必死でやってるんだがいかんせん
殆ど当たらない
がむしゃらに投げてみるがやっぱり当たらない
時間が経つにつれ焦りが強くなってくる
投げても当たらないんじゃないか?
そんなことだけが頭の中を支配する
「残り1分だよー」
その通告を聞いた途端、頭の中で何かがはじけるような音がした
もうなるようになれだ!そう思った俺は
両手の水球を合わせる。すると大きな1つの水球になった
「いっけぇーー!!」
もう何も考えずにその大水球をカーテンに向かって投げる
そして命中した瞬間弾け飛んだかと思ったら
小さな水球が四方八方に飛び回る
さすがにこの状況はエリアルも予想していなかったみたいだ
叫びながら水球から必死で逃げ回っている
そして水球が無くなるころには水のカーテンも無くなっていた
おそらくさっきの飛び回る水球で全て消えてしまったんだろう
エリアルの方を見てみると水球の1つが命中したのか
びしょ濡れの姿でむっすりした顔のエリアルが立っていた
「これは合格ってことでいいのか?」
と聞いてみると
「別にいいんじゃないの。手段はどうであれ一応カーテンは全て消したんだし
さあ、もう今日はこれくらいにして帰ろっか」
と返ってきた。もう終わりなのか?案外早かったな
「じゃあ私帰るから」
そういって帰ろうとするエリアル
夜道に女の子1人は危ないだろうと思い
声をかける
「送っていこうか?」
「べっ・・別にいい!1人で大丈夫だもん!」
何故か頑なに拒否されてしまった。
そうこうしているうちにエリアルの姿が見えなくなる
「・・・俺も帰るか」
明日の決戦に向けて俺は家路についた