転校生は敵?
3話です
チュンチュン・・
今日も鳥の鳴き声で目が覚める
あまりにも普通の日常すぎて昨日のことが嘘のように思える
「でも嘘じゃないんだよなー」
そう呟き朝食を食べに一階へと降りた
「早く食べちゃいなさい」
下に降りるなり母さんから急かされる
適当に返事をして、朝食に手をつけた
朝食を食べ終わり歯を磨き制服に着替えて家を出る
そういえば今日から武器探しするんだよなー
ってかエリアル何処にいるんだろうか?
そんな事を考えながら歩いていると
「聖ー、おはよーさん!」
「聖くん・・おはよう・・」
翔と咲だ
「あー2人ともおはよう」
「なんかこの3人が揃うのって珍しいな!」
翔の言葉に
「た、確かにそうですね・・いつも私は先に学校に行ってるので・・」
ちなみに咲は俺以外の男子には基本的に敬語だ
なんでも本人によると
「聖くん以外の男の人は獣にしか見えないの」
だそうだ。全くもって意味がわからん。
でもやっぱり平穏っていいなといつもの日常を噛みしめながら学校に向かった
学校につき、靴を履きかえてクラスに向かおうとしていると翔が、
「おい、なんか向こうの方騒がしくないか?なんかあったのかねー」
翔の言う方を見てみると確かに人だかりができている。
すると気になったのか翔が
「なあなあ!ちょっと見に行かねえか?」
と言ってきた。俺はああいう人だかりが苦手なんだよなー。
確か咲もこういうのは苦手だった筈
そう思って咲の方をみると案の定嫌そうな顔をしていた
だから俺は
「悪い。俺と咲はパス」
「すいません・・私もちょっとああいうのは苦手なので・・」
俺達2人に断られたのが余程ショックだったのか
「くそおぉっーー!!この裏切り者ー!」
と泣きながら人だかりに消えていった。
「何か悪い事した気分・・」
隣を見ると何故か落ち込んでいる咲
「いや、全くお前が気にすることないんだぞ」
そういって落ち込んでいる咲に声を掛ける
「そうなの・・?」
涙目でこっちを見てくる咲
どんだけ気にしてたんだよ・・
「あいつはリアクションが大袈裟すぎるんだよ。ほら、もういいから教室行くぞ」
「え?う、うんっ。待って聖くん!」
そういいながら後ろからついてくる咲と一緒にクラスに向かった
++++++++++++++
教室にくと咲と別れいつものように机に突っ伏していると
廊下の方から俺の名前が聞こえてきたが多分幻聴だろう。うん、幻聴だ
そう決め付けて俺はまた机に突っ伏すことにする
「おおぉーい!!ひっじっりぃーー!!!ビッグニュースだぞーー!!!」
さっきよりも幻聴が鮮明に聞こえてくる。そうか・・・
「俺ももう終わりなのか・・・」
人生の終わりを覚悟した俺に声が聞こえる
「おい聖!何寝てんだよ!ビッグニュースなんだって!!」
ん?この声どっかで聞き覚えがあるような・・・
「もしかして翔か?」
「いや、もしかしなくても翔だぞ。お前どうしたんだよ」
「んーすまん、ボーっとしてた」
何せ唯一の友人の声を幻聴と勘違いするくらいだからな
相当だったんだろうと、自分自身に訳の分からないフォローをして翔の方に向き直る
「で、何の用だ?」
「そうだ!そのことでお前に用があったんだよ!」
いやどの事だよ・・
そんな俺の心のツッコミを華麗にスルーして話を続ける翔
「今日な!俺らのクラスに転校生が来るんだってさ!!
しかも女子でハーフっぽい可愛い娘らしいぜ!
なあなあその子小さいかな?幼いかな?ロリだろうな~」
おい、最後勝手に決め付けてるぞ。そんなことより、少し気になるな・・
いや気になるというより嫌な予感がすると言ったほうがいいか
マンガとかでもよくある前の日出会った子が次の日転校してきましたー
ってパターンな気がしてならない
エリアルならやりかねない。根拠は無いけどそんな気がする
むしろ根拠が無いのが根拠と言ってもかまわないぐらいだ
と、頭をフル回転させながら考えていると
「おいどうしたんだ?まさか遂にお前も女子に興味持ったのか?」
なんてからかってくる翔、しかし今はエリアルのことで忙しい俺は
「んん?まあそんな感じだ。」
と適当にあしらってまた考え始める
その時に後ろで咲が
「ウソ・・女の子に興味を持つなんて・・・そんな・・」
こんな感じのセリフを残して教室から出て行ってしまった
どうしたんだろうか?だがそんなことを気にしている暇は無い
もしも転校生がエリアルだった場合どうしようか。そのことについてしばらく考えていると
「もうチャイム鳴ってるぞ。ほら早く席につけ」
先生が来た。隣を見てみると咲が帰ってきていた
いつの間に帰ってきたんだろうか?
しかも何か目の周り赤く腫れてるし・・・大丈夫なのかあいつ?
そんな俺に気づいたのか、咲はこっちに口パクで大丈夫だよ。と言ってきた
そっか大丈夫ならよかった、と安心した俺を再び心配させるかのように
「皆もう知っているかもしれないが、今日は転校生が来ている
今からその転校生を紹介したいと思う」
先生からの恐怖の報せがやってきた
「それじゃあ入ってきてくれ」
ガラガラッ・・
エリアルでないことを必死に祈る俺、盛り上がるクラスメートと先生
先生あんたもかよ
そこに現れたのは・・・
「初めまして、柊火憐と申します」
あれ?エリアルじゃ・・ない・・?でもおかしいぞ?
確か翔は転校生は日本人離れの可愛さと言っていたが
この柊火憐とかいう子はどっからどう見ても日本人だ
ということは翔が間違えたかその情報そのものが間違っていたということになるのか
まあ何はともあれエリアルじゃなかったなら安心だ
その後俺はスッキリした気持ちで一時間目の授業を受けた
そして授業も終わり休み時間・・・
次の授業の準備をしていると聞き覚えのある声が聞こえてくる
あれ?この声はまさか・・・そんなわけ無いよな・・
うんうんあいつがここにいる訳・・
「聖ーっ」
聞き覚えのあったこえの主はやはりエリアルだった
「1つ聞いていいか?」
頭を抱えながらエリアルに話しかける
「うんいいよー!」
「何でお前ここにいるんだよ!」
俺は今世紀最大の謎とばかりに、大声をだす
しかしそんな俺の態度などスルーしてエリアルはあっさりと俺の疑問に答えた
「何でって転校してきたからだよ?私言ってなかったけ?」
いえ・・全く存じていませんでした
「まあいいやちょっとこっち来て」
エリアルが俺の手を掴んで教室から出ようとする
するとそれを見ていた家のクラスの男子どもが
一斉にこっちに憎しみ満載の視線を向けてくる
まあだからといって気にするわけではないが
こうしてあっさりと教室から抜けてきた俺とエリアル
人気の少ない所まできたところで俺は手を離す
「聞きたいことが山積みなんだが」
「私も正直どこから話したらいいか分かんないんだよね~
まあ話せる所から話していくね」
「わかった」
「えと・・。まず私が転校してきたワケは
まあ単純にキミのサポートをしやすくするためだね」
っていうかこいつ高校生だったのかよ・・
どうみても中学生にしか見えないんだが・・
「キミ今ものすごい失礼なこと考えなかった?」
「え?い、いや。何も考えてないけど」
「ふーん。ホントかな・・?」
「ほらほらそんなことよりもっと大事なことがあるだろ」
「まあ今回は許しといてあげる」
ふう危ない危ないそういえばエリアルは人の心が読めることをすっかり忘れていた
「で、話先に進めてもいい?」
「ああ構わないぞ」
「それとキミのクラス転校生来たでしょ?」
「ああ、柊火憐だったか。あの子がどうかしたのか?」
「あの子敵かもしれない」
「でもあの子は至って普通の人っぽかったぞ。名前だって日本人の名前だし」
「名前は偽名使えばいいし、容姿は力を使って成りすましてるかもしれないよ
現に名前なら私だって偽名使ってるし」
「あ、そうなのか?ちなみになんて名前なんだ?」
「水野絵里だけど?」
水野・・絵里・・?こいつが?
「・・・ないな」
「もう面倒くさいからスルーさせてもらうね・・・」
なんかエリアルの奴スルースキル高くないか?
「で、話は戻るけどあの転校生には気をつけてね」
「ああ了解」
「で、次に武器のことについてだけど
どうやらこの町のどこかにあるみたいだね早速今日探してみようよ」
「でもどこ探すんだ?」
「とりあえず街中グルグルすればいいんじゃない?私の街中見学も兼ねて」
「じゃあとりあえず今日はそうしてみるか」
「うん!」
「じゃあそろそろ教室戻るか。授業サボってるし、エリアルに至っては転校初日だろ」
「確かにちょっとやばいかもね・・」
「まあとりあえず急いで戻るぞ」
「うん」
そういって教室に戻ろうとした俺達の前に人影が現れた
「あのー。聖さん?」
「!?柊火憐!?何でここに?」
「くるかもしれないよ気をつけて!」
と警戒はしたものの一向に襲ってくる気配はない。それどころか
「えっと?何のことでしょうか?」
などと言い出す始末。
「え?違うの?じゃあ何でこんな所に・・」
「柊さ~ん!何処ですか~?」
ん?この声はもしかして・・・
「おおーい!咲ー!」
「あ!聖くん何でこんな所にいるんですか!というより柊さん知りませんか?
聖くん達を探すついでに学校案内してたら急に居なくなっちゃって!」
なるほど・・そういうことか
「安心しろ。柊ならここにいるぞー」
「本当ですか!よかったー」
「ほら柊、咲が呼んでるぞ」
「そうですね、森宮さんには心配をかけたみたいですね
早く戻らなくては、聖さん達も早く戻ってきてくださいね」
そういって柊は戻っていった。
「ほら早く俺たちも戻ろう」
「うん、そうだね」
そういって俺たちも教室へと戻っていった
エリアルには言ってないけど、最後柊とすれ違ったときあいつ笑ってた気がするんだよな
気のせいであってほしいけど・・・
教室に戻ると案の定先生に絞られた。
いまごろエリアルも同じ目に遭っているだろう
出ていった理由を聞かれたのでエリアルへの校舎案内と答えて
取りあえずその場はなんとか逃れられた
自分の席に戻る途中翔が「早くも転校生とラブラブかあ~?」なんてことを言ってきたが
「黙れ犯罪者予備群」と返すと
「俺は違う!俺はちがうんだあぁー!!」と後ろから絶叫が聞こえてきたが
そのままにしておくことにする
そして面倒くさい授業も終わり昼休み・・
現在俺は俺、翔、咲、エリアル、柊という構図で昼飯を食べている
で、なぜこの中に柊とエリアルがいるかと言うと
時は戻って昼休み開始時
昼休みに入るなり廊下の方から俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる
俺の名前は廊下で呼ぶのが主流なのか?
まあ当然その声の主はエリアルなんだが、教室に入ってくるなり
「お昼一緒に食べよ♪」
なんて言ってくる。特に予定の無かった俺はとりあえず了承した
すると隣にいた咲が
「わ、私も一緒に食べていいかな?聖くん・・・」
と訊ねてくる。咲だったら断る理由がないので了承した
で厄介なのがコイツだ・・
「聖ぃー、もちろん俺もいいよな?」
「駄目にきまってるだろ」
「なあー頼むって!」
「どうせお前の事だからエリア・・水野の事が気になるんだろ」
危なかった・・もう少しでエリアルのことバラすとこだった・・・
「わかってるならなおさら頼むよ!」
あーもう面倒だなー
「わかったよ、ただしお前は水野から離れて食べろよ」
「ホントか!?サンキュー聖!」
こいつはなんでこんなに喜んでるんだよ・・・
「話は終わったー?」
エリアルが後ろからひょっこりと顔を出す
「ああ。終わった。それじゃあ行くか」
そういって席から立ち上がろうとすると、
「あの・・よかったら柊さんも誘いませんか?」
と咲が言う
やはり転校生だからだろうか放ってはおけなかったようだ
翔とエリアルは快く了承したらしい
だから俺も
「そうだな。いいんじゃないか。」
そう言った
そして今に至るというわけだが
女子ってのは凄いな、もう打ち解けてるよ
相変わらずエリアルは柊に対して警戒してるけどな。
そんな光景を眺めていると隣で翔が
「俺もあの中に入りたいな・・」
と興奮気味に呟いていた
そんな翔を軽蔑しながら俺は一人昼飯のパンを頬張った