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戦場から帰らぬあなたへ  作者: Mel
バルシア第三騎士団

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7/7

合流場所は、橋のふもと

 あれから、どれほどの時が経っただろう。


 第三騎士団が必死に守ろうとした国は、ほどなくして落城した。

 この地方にも帝国から新たな領主が送られたが、その男は村の暮らしにはさほど干渉せず、以前と変わらぬ日々が緩やかに続いていた。

 俺も、故郷の風車の丘のそばにあるマリカの家へ身を寄せ、静かに生きていた。

 

 ロシェに代わって彼女を守ること。

 それが、相棒から託された俺の役目なのだと思っていたから。


 マリカがロシェの名を口にすることも、月日の流れとともに少なくなっていき——。

 それでも、色褪せたスカーフだけは丁寧に洗い、俺の首へ巻き直しては愛おしむように撫でてくれた。

 

 牧草がたなびく丘の上で、羊が草をはむのを眺めながら、俺はゆっくりと老いていった。

 背中に負った傷の痛みも薄れ、遠い戦場の土と煙の匂いも、もうほとんど思い出せないほどに。


 

 ある晴れた日の午後。

 いつものように日向でまどろんでいた時、意識が深く沈んでいくのを感じた。

 

 そのとき——ふと、懐かしい声が耳の奥に触れた気がした。


「……ディン。待ってたよ」


 目を開けると、橋のふもとに懐かしい面々が立っていた。

 ロシェ、ジェイミー、ガードナー、ルーカス、そして団長。皆、あの日のままの姿で、穏やかな笑みを浮かべている。

 その奥では、見知った団員たちが思い思いに談笑していた。

 戦地へ赴く前の、あの楽しかった日々の顔だった。


「よく頑張ったな。約束、守ってくれてありがとうな」


 ロシェが屈み込み、嬉しそうに両手を広げてくれる。

 

 団長は周囲を見渡し、懐かしい豪快な笑い声を上げた。


「よし、これで全員揃ったな。……さあ、行こうか」


 その呼びかけに、胸の底から喜びと安堵がふくれあがる。

 俺は足に力を込めて、喉の奥が震えるのを感じながら——。


「ワンッ!」


 力いっぱい吠えて、彼らの輪の中へと駆け出していった。


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― 新着の感想 ―
 一度は戦場の泥と血にまみれて黒々になったロシェさんとディンのスカーフ、マリカさんが色あせる程になるまで洗って大切にしてくれたんですね。  そして、天寿を全うしたのかロシェさん達からのお迎えが……涙腺…
ディンーっ!!(滂沱) 皆んな待っててくれたんだね(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`) 来世では、平和な時代に生まれ変わって皆んなで幸せになってくれるといいな。。。
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