合流場所は、橋のふもと
あれから、どれほどの時が経っただろう。
第三騎士団が必死に守ろうとした国は、ほどなくして落城した。
この地方にも帝国から新たな領主が送られたが、その男は村の暮らしにはさほど干渉せず、以前と変わらぬ日々が緩やかに続いていた。
俺も、故郷の風車の丘のそばにあるマリカの家へ身を寄せ、静かに生きていた。
ロシェに代わって彼女を守ること。
それが、相棒から託された俺の役目なのだと思っていたから。
マリカがロシェの名を口にすることも、月日の流れとともに少なくなっていき——。
それでも、色褪せたスカーフだけは丁寧に洗い、俺の首へ巻き直しては愛おしむように撫でてくれた。
牧草がたなびく丘の上で、羊が草をはむのを眺めながら、俺はゆっくりと老いていった。
背中に負った傷の痛みも薄れ、遠い戦場の土と煙の匂いも、もうほとんど思い出せないほどに。
ある晴れた日の午後。
いつものように日向でまどろんでいた時、意識が深く沈んでいくのを感じた。
そのとき——ふと、懐かしい声が耳の奥に触れた気がした。
「……ディン。待ってたよ」
目を開けると、橋のふもとに懐かしい面々が立っていた。
ロシェ、ジェイミー、ガードナー、ルーカス、そして団長。皆、あの日のままの姿で、穏やかな笑みを浮かべている。
その奥では、見知った団員たちが思い思いに談笑していた。
戦地へ赴く前の、あの楽しかった日々の顔だった。
「よく頑張ったな。約束、守ってくれてありがとうな」
ロシェが屈み込み、嬉しそうに両手を広げてくれる。
団長は周囲を見渡し、懐かしい豪快な笑い声を上げた。
「よし、これで全員揃ったな。……さあ、行こうか」
その呼びかけに、胸の底から喜びと安堵がふくれあがる。
俺は足に力を込めて、喉の奥が震えるのを感じながら——。
「ワンッ!」
力いっぱい吠えて、彼らの輪の中へと駆け出していった。




