第1章 第004小隊隊長 真白若葉 3
時刻は22時を回っている
東京のとある廃ビルの中で大柄な男と小柄な男が何やら話し合いをしている。
他にも3人の護衛の男がその場に立っていた。
大柄な男はソファーに座りながらアタッシュケースいっぱいに入った万札を数え、小柄な男は震えながら椅子に座り、護衛の男は大柄な男のそばに立ち機関銃を持っていた。
しばらくすると万札を数え終わった大柄な男がそばにいる護衛の男に耳打ちをして護衛の男は裏に姿を消した。
そう言って大柄な男は正面に向き直り震える小柄な男に告げた。
「交渉は成立だ。機関銃3丁と弾薬5000発お前にくれてやる。まあ、こちとら2000万頂ければあとはそちらさんが何をしようと知ったことじゃねえが。」
その言葉を聞くと小柄な男は震えを止めニヤリと笑った。
それを見て大柄な男も大きな声で笑った。
しばらくすると裏に姿を消した護衛の男が3丁の機関銃と5000発の弾薬を持って戻ってきた。
そして小柄な男はそれを受け取った。
次の瞬間一発の銃声がなるとともに男が一人倒れ伏せた。
その光景を見て男たちは近くにあった銃を手に取り一斉に音の鳴った方向に向かって銃を乱射した。
しばらくするとまた1発銃声が鳴り響いた。
それと同時にまた一人、男が倒れ伏せた。
大柄な男は引き金から指を離し、それと同時に男たちも一度銃を打つのをやめた。
大柄な男は今まで発砲していた方向に向かって銃を構えたまま話し始めた。
「一体どこのどいつだ、姿を見せずに奇襲などせこい真似やがって。出てこいや。」
すると影から黒い1丁のハンドガンを両手で構えた小さい少女が出てきた。
学校の制服に身を包み腰まで届く白銀の髪、双眸は鮮やかな黄緑色をしていた。
護衛の男は少女に驚きながらもゲラゲラと笑った。
「ボスただのガキですぜ、とっととやっちまいましょう。」
そう言って男は引き金を引こうとしたが大柄な男が
「まて」といったため引き金を引かなかった。
大柄な男が少女の右耳についたインカムとそのまま視線を下ろし緑色カラーが目に入ると驚き動揺しながら口を開いた。
「嬢ちゃんまさかGOSTか?」
「そうだけど、なに?」
「なるほど、GOSTに目をつけられちまったてわけか。」
大柄な男がため息混じりに言う
「GOSTてなんですか?」」
すると小柄な男が震えながらたずねてきた。
「 Government Office for Subversive Termination通称GOST、俺達のような裏の社会の人間をどんどん殺しに来る日本政府が運用する化物集団だ。こっちの世界では常識だ。覚えとけ。」
大柄な男は説明した。
すると少女は口を開いた。
「一様聞くけど大人しく捕まってくれる気ないよね?」
大柄な男が「そりゃ無理な話だ」と口にすると少女は
「じゃあ殺すね」
その一言を放った瞬間少女は姿勢を低くした状態で駆け出した。
男たちは少女に向かって乱射するが少女は弾道が見えているかのように華麗にかわしていった。
銃声が鳴り響きまた一人倒れ伏せた。
その男の返り血を浴びても少女はもろともせず駆け出す。
小柄な男は弾切れを起こした瞬間少女に懐に入りこまれて顎に銃口が突きつけられた。
その数瞬後、また銃声が鳴り響いた。
周りには血溜まりと4人の死体が転がっている。
その圧倒的敗北の状況を見て大柄な男は銃を捨て両手を上げた。
「降参だ。嬢ちゃん俺を殺せ」
大柄な男は少女に向けてそう言い放つと目をつむり覚悟を決めた。
するとカチッという金属音と同時に両手首に冷たい感触を覚えた。
目を開けて両手首を見るとそこには銀色の手錠がつけられていた。
大柄な男は呆気にとられた。
「殺さないのか?」
大柄な男は問いながら視線を正面にもどすとそこには、今まで本気で自分を殺しに来ていた少女が一転してまるで別人のよう笑顔のよく似合う少女になっていた。
「私は降伏した者は殺さず捕獲するようにしている。だから私はあなたを殺さない。ちゃんと本部でじっくり情報をはいてもらうから覚悟しといてね。」
人差し指を立てながら少女は大柄な男に教えた。
その言葉に大柄な男は驚きながらもやがて観念したらしくその場で胡座をかいた。
そして、大柄な男は少女の容姿を改めて見るとふと何かに気付いた。
「その白銀の髪、黄緑色の目、そして低い身長...」
「背が低くて悪かったな」
少女が突っ込むも大柄な男は気に留めず
「嬢ちゃんまさかあの白銀の捕食者]か!?」
すると少女はあーと言いながら少し恥ずかしそうに頬をかいた。
「そっちの世界ではそう呼ばれてるみたいだけど...恥ずかしいんだよね〜その二つ名。」
少女は銃をホルスターにおさめると、大柄な男に背を向け数歩歩きインカムのPTTボタンを押して言った。
「GOST第004小隊隊長ナンバー0401真白若葉、武器密売の阻止に成功。直ちに清掃班を手配してください。それと、容疑者一名を確保。輸送車の手配をお願いします。よろしくね詩織。」
そう言うと若葉は通信を切った。




