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なろうラジオ大賞6 応募短編集

愛に溺れる者たち 魔法学園プール溺愛事故5連鎖 吟遊詩人→聖女→勇者→魔王妃→魔王

作者: 黄帯


 魔法学園高校では一年生の夏から水泳の授業がある。


()だな。泳げないのに」


 アシュリンは廊下を歩きながら呟いた。


 通りかかった音楽室を覗くと、ハープを引いている男子生徒がいた。


 密かに憧れている二年生のフィン先輩。


 目を閉じてハープをはじく姿は実に優雅だ。

 不意にフィン先輩が目を開けて手招きした。

 私はドキドキしながら近づいた。


「やあ。泳げなくて困っているって?」


「え、聞こえたんですか?」


「耳はいいんだ。僕で良ければ泳ぎ方を教えてあげようか? 君になら――」


 フィン先輩が少し照れ気味に言った。

 もしかして先輩も私のことを?

 きゃー。



 夕暮れ。

 私とフィン先輩は学園のプールに忍び込んだ。

 二人とも水着姿。

 見られるのも見るのも恥ずかしい。


 先輩も少し顔が赤い。


「それっ」


 先輩が照れ隠しのように、一気にプールに飛び込んだ。


「あ、あれ? 水が冷たい。体が動かない。ま、まずい!」


 先輩が溺れちゃった!


 助けなきゃ。

 だけど私は泳げない。

 それに誰もいないし。


 こうなったら唯一得意な魔法で。

 私は魔力で地面に召喚の魔法陣を描いた。

 危機の波動を感じた人が助けに来てくれるはず。


 さっそく聖女が現れた。


「あの、フィン先輩のお知合いですか?」


「ええ。彼は私たち勇者のパーティーの吟遊詩人なの」


 そうだったの? 凄い。

 溺れてはいるけど。


「それより早く助けなきゃ。彼を失うなんて耐えられない」


 もしかして聖女もフィン先輩のことを?


「今行くわ!」


 聖女がプールに飛び込んだ。


「しまった! 私、泳げないの!」


 おい。


「愛する聖女! 大丈夫か!?」


 魔法陣から鎧姿の勇者が現れた。


「とうっ! うぐっ! 鎧が重くて溺れる!」


 おいおい。


魔王妃(まおうひ)、見参」


 ええ!? 魔王の(きさき)の!?


「倒した私を見逃してくれた勇者よ。密かに慕っておった。魔王を封印する宝玉も持参した。死ぬでないぞ!」


 魔王妃は水の上を歩くように移動したけれど。


「せ、聖女の加護で魔力が封じられて、ブクブク」


 水没。


「我は魔王なり。最愛の妃よ。いずこに」


 ま、魔王来ちゃった。

 魔王妃のように水の上を歩いて行くけれど。


「封印の宝玉のせいで魔力が封じられて、ブクブク」


 仲のお宜しい夫婦ですこと。


 結局、私がフィン先輩を助け出した。


 なぜ泳げない私に助けられたかというと、プールは足のつく深さだったから。


 そしてフィン先輩が魔力ハープを奏でてみんなの混乱を治してくれたので全員無事。


 ついでに私、フィン先輩に教えてもらって泳げるようになりました♪

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