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112話 秘密の爪

 

 みるみるそのサイズを増していく“親衛隊長”。その勢いは、7m強はあるはずの天井を突き破らんとするほどであった。


「ちょ、ちょちょちょ!フレン?フラン?何とかなりませんの?!」


 フランとフレンが必死に押さえつけようとするが、そんな行動もお構い無しに“親衛隊長”は大きくなっていく。


「ど、どどどどうしましょう…こんなのロコ達に見つかったら…!アナタ?!なんか、なんかアイデアはないのかしら?!」

「聞いた話だと体内の“AC因子”を減らす薬があったら、何とかなるみたいですけど…」

「は…?えーしー…?と言いますと?」

「うあ…すげぇアホ面」

「へ…?」


 ルピンは何も知らない様子。

 ユユの話によると、シティ内の学校では亜人の身体についての授業をやっているとのことだったが…?

 何にせよ、この場を解決できる人物は今いない。キバが戻ってくる気配もない。


「薬…クルネが持ってそうだけど、今から取りに行くわけにもいかないよね…」

「ああああどうしましょう…!どうしましょう…!このままでは大事に…シークレットな組織で通ってる“DMK”の存在が、公に知られてしまいます…!アナタも私様の国民なら、何かないんですの?!」

「…!そうだ!」

「へ?何かありますの?!」


 閃き、端末を取り出した。

 恐らくクルネの知り合いで、すぐこの場にこれそうな人物(?)と、僕は連絡が取れるはずだ。


 と、液晶に映ったアプリ一覧を一瞥すると、すぐに見慣れないアイコンのアプリに目が止まった。


「…!流石、タイミングばっちりじゃん…!」


 “SS”

 シークレットサービスに関するアプリがいつの間にか追加されていた。ユユ辺りの仕業だろう。僕は迷うことなく、そのアプリをタップした。


 そして画面上に現れる、赤いボタン。

 一瞬戸惑ったが、とりあえずそのボタンをタップした。


 ピロン


 と、小さな音が鳴った。


「……と。ここから…?」

「何を1人でブツブツと…って危ない!!!」


 気づくと、白い帯がかなりの速度で僕に突進してきていた。反応は遅れ、避けようにもままならない。今度こそ死を覚悟したその瞬間──────


 駆ける、黒い影。


 ザ シ ュ ッ !!


 と、切り裂くような音と共に誰かが僕の前に立っていた。見えたスカートの後ろには金の“SS”バッジ。


「はっや…!もう来たんだ」


 あの時と同じ格好のシークレットサービスがそこには立っていた。やはり鉄仮面で顔を覆っている。


「だ、誰ですの?ウチの国民…?」

「多分、違うっぽいです」


 シークレットサービスは何よりも先に、持っていた包帯で僕の腕をぐるぐる巻きにした。折れていた腕の痛みは幾分かマシになった。


「……。」


 そうして、何も話していないにも関わらずウエストポーチから小さな注射器を取り出した。


「あれ?君、あの時の人とは別人?」

「…。」


 僕の問いには答えず、SSは膨れ上がる巨体に向かって跳んでいった。


 襲い来る白い帯を余裕ですり抜け、標的へと急接近していく。


 明らかに、キバの時に駆けつけたSSよりも身長が低い。それに多分だが能力が違う。あの時纏っていた紫電はどこにもなく、代わりに指の爪が鋭く尖っている。

 攻撃を避ける動作も、どこか獣のような印象を受ける。


「な、なんか分かんないけど、やっておしまい!鉄仮面ー!」


 ちょうどルピンが叫んだくらいのタイミング。

 SSは駆け上がり、持っていた注射器を“親衛隊長”の首元へと突き刺した。


「あ、あ゛あ゛…あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

「「おお〜」」


 瞬間、膨れ上がっていた巨体はみるみるしぼんでいった。やがてそこに残ったのは、呻き声を上げながら横たわる、一糸まとわぬ姿となった“親衛隊長”。


「すごい…一瞬だったな…」

「ちょっと、そこの方!大丈夫ですの?!」


 元に戻るや否や、“親衛隊長”の元へと駆け寄るルピン。事を収めた当のSSは軽やかな身ごなしで、僕の目の前に着地した。


「あ、ありがとう…ございます」

「…。」


 すると、僕の前で跪き、頭を差し出した。

 ユユ曰く、SSとは“西天”における最高戦力であり、“天使”である僕の護衛でもあるという。

 毎度こうも助けてもらっては恐縮だが、彼女らにとっては僕は雇い主のような扱いなのだろうか。


「…?」


 数秒経った。

 が、SSは僕に頭を差し出したまま動こうとしない。何か待っているのだろうか。喋ってもくれないので、どうしたらいいのか。


「ええと…こう、かな?」


 何となく、差し出された頭に手を置いた。


「すいません、いきなり呼んじゃって──────うわっ!」


 と、突然SSは僕の手に擦り付けるようにして頭を振った。

 僕は咄嗟のことで、すぐに手を離してしまったが、どうも本人は納得いったようで、一礼してから颯爽とその場を去って行ってしまった。


「…なんだったんだ」


 取り残される僕。

 とりあえず一件落着と思うと、どっと体を疲れが襲った。早く帰りたいところだが、向こうからルピン達がこちらに走ってきているのが見える。

 キバの方は上手くやっているだろうか…。


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