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初めましての時

初めて姉に会ったとき兄にあった時

 

 そうやって大人の話し合いの結果、姉はまだしばらくはエルフの里で育った方が良いとなった。

 母は感情では離れたくなかったがまだ子供の姿で何年も過ごす姉に友人もできないここは辛いだろうと考えたようだ。

 能力もヒューマンとのハーフといえどエルフは違いすぎるから制御を覚えてからじゃないと交流できない。

 母は年に一度くらい会いたかったらしいが何故か10年に1度になってしまった。能力制御の関係でしかたなかったようだ。

 ポチタマと遊び疲れて眠ってしまった姉は姉の父に抱っこされて転移魔法でエルフの里へ帰ることになった。姉と同じピンクの髪で目の色もピンクだった。中性的な美形は確かに若く見えた。20代くらいに見える。20年たってもかわってないらしい。

「ムリーヤです」

 とりあえず別れの前に名乗った。

「リュボスラーヴァの父のスヴャトスラーヴだ。リュボと遊んでくれてありがとう。ムィロによく似てるね。」

『聖なる名誉をもつ男』か、良い名前だし悪い人ではないのだろうけど結果はこうなったわけだ。この時のおれは母と同じ髪と目の色だったから母との子が生まれていたらとと思ったかもしれない。愛しいが辛いというまなざしに見えた。

 姉が起きていると帰るのを嫌がり制御できない魔法を感情的に使用してしまうかもしれないから眠ったまま戻るとのことだが姉の父が居たたまれないからじゃないかと疑った。多分起きてたら別れたくないと母娘が泣くだろう。




 それから一ヶ月くらい経過したころ。

 グリーンのドラゴンが飛んできたのが家の前でポチタマと遊んでいたら見えた。

 飛竜と呼ばれ乗り物として移動や連絡や物流に使用されるワイバーンとは大きさが違う。巻き上がった風が家を揺らす。巨大なドラゴン。着陸したドラゴンの頭部から少年が降りた。

 薄緑色の髪に金色の瞳の美少年。

 そしてドラゴンが消えて代わりに美女がいた。

 美少年と同じ髪の色と瞳の色。

 冒険者のような動きやすい服だが豊かな胸と引き締まった細腰と大きな臀部。

 前世日本でのボン、キュッ、ボン!を思い出した。身長も女性としては高い。大型美女。

 家から父と母が飛び出してきた。

「ムリーヤ!無事、だな。」

 俺の無事を確認して扉まで歩いてきた客に目を向ける。

「・・・お帰り。ドブロスラーヴァ」

『善き名誉をもつ女』かヒューマンの姿の時の名前なんだろうけど。

「ただいまヤロスラーヴ」

 ちなみに父の名前の意味は『大いなる名誉をもつ男』

「久しぶりねドブロ」

「久しぶりかな?ムィロスラーヴァ。少し変わったみたいだね」

 母は元聖女だからヒューマンにしては魔力が多いから普通の50歳より若く見えるが流石に20年前とは違うだろう。母の名の意味は『和の命を持つ女』

「あの子があの卵だった子なのね」

 まだ扉の前にきてない美少年を見ながら言う。

「ああ。ボルィムィール!こっちにおいで」

『世を守る男』とは元勇者の息子にふさわしい名前だね。20年たってるのに10歳の俺とそう変わらない体格。

「やっとヒューマンの姿に成れたからここにこれたんだ。」

「初めましてボルィムィールです。父上」

 父が兄さんを抱き上げた。そして抱きしめる。

「父だ。父だよ。息子よ!父の名はヤロスラーヴ。仲間と共に魔王を倒した勇者。会いたかったボルィムィール!」

「うん僕も会いたかった」

 感動の場面なんだろうけどこれからの修羅場をどうするんだろう?

「この子はムィロスラーヴァの子だろ?そっくりだな美女になるぞ」

 男です。両親から言うのは辛いだろうからおれが爆弾発言投下するか。

「ヤロスラーヴとムィロスラーヴァの息子のムリーヤです。」

 全員沈黙。どうなるか知らん。

「・・・息子?!こんなに可愛いのに?ああ間違えてすまない」

 そこ?予想外の反応。

「私もヤロスラーヴも10年待ったの。できる限り連絡を取る努力もしたわ。それでも手がかりが無くてお互い支えあって結婚したの。人間に10年は長かったの」

「待てなくて悪かった。不安で辛くてなぐさめあっていたのかもしれないがいつのまにか愛し合っていた。」

 母が父をかばってか先に話しだしたが父も母の肩を抱き本心を語る。

「わかった。いや、わかっていなかったんだな。ヒューマンの10年は長いという事を。さらに10年も何も知らせなかったのだ。こちらが悪い。」

 冷静だ。とにかく家の中に入る。

 全員とりあえず水を飲んで大人が話し合いをするだろうから兄と子供の交流をしておこう。

「お兄ちゃん。一緒に遊ぼう」

「おにいちゃん・・・うん!遊ぼう!」

 積み木再び。

 しばらくして聞いてみる。

「猫とか犬とか嫌い?」

「いや、見たことが無い。たいていの生き物はドラゴンを怖がるから。」

「じゃあ見て嫌なら戻すから見てみる?」

「うん」

 子犬子猫状態のポチタマでアニマルセラピー再び。

 確かにいつもと違ってポチタマが緊張している。俺の家族だと理解してるからこれくらいですんでいるんだろう。

「可愛い」

 俺が抱っこしてるのに少しずつ近寄ってくる。俺が前足を兄に触れさせる。

「触っていいよ~」

「いいの?」

「優しくなら大丈夫」

 ゆっくりそろそろとポチタマに触って満面の笑顔。

 俺も笑っていたらポチとタマと撫でた後におれの頭もなでなでされた。初めての兄弟の触れあい。

「町の友達に兄弟がいてね。うらやましかったんだけどもう羨ましくない」

「どうして?」

「ムリーヤにも姉様とお兄ちゃんがいるから。姉様はハーフエルフなんだよ。そのうち会えるかもね」

「そうか、楽しみだな。僕にも兄上がいるんだ。金色のドラゴンだよ」

「ふいぇ~黄金龍。綺麗なんだろうね」

 前世の怪獣映画の金色の怪獣を思い出したのは秘密。

 兄とはそのうち家の前でポチタマと追いかけっこになってさすがに兄は素早かった。

「やっぱりお兄ちゃんは速いね」

「兄上はもっと速い」

「へぇ~」

 純血のドラゴンは最強というのは本当かも。

「弟よ」

「む~『弟よ』なんて呼ばないで!ムリーヤはムリーヤなんだから」

 なんか変な呼ばれ方だったから訂正しておこう。

『夢』という意味の名前は子供をあきらめていた夫婦の夢だったんだと思う。産まれた娘はエルフの里に連れていかれて産まれた卵は男か女かわからないでドラゴンの里に持っていかれそのほうが良いと言われ何も知らせが無く10年過ぎてなぐさめあっていた2人が愛し合っても周りは安心して祝福したらしい。それでもまさか子供が生まれるとは誰も思わなかった。

 だって普通なら孫がいてもおかしくない年齢だったから。つまりおばあちゃん扱いされる年齢。まあ魔力が多いから外見は若いけど年齢を知ってる人ほど驚いた「奇跡」だと。

「すまない。兄上がそう呼ぶので弟にはそうするのかと。ムリーヤ、でいいか?」

「うん!お兄ちゃん。お兄ちゃんの事は兄上がいいの?」

「いや、そうすると兄上がいるときに困るだろうから『お兄ちゃん』でいい」

「お兄ちゃん!」

 お互い笑顔。

 まあ兄の兄と会う事はないだろうけど。

 血がつながってる訳でも無いし。本当は遠くから飛んでいるところが見られたら良いと思ったけど。むこうは俺に何か興味ないだろうからね。






読んでくださりありがとうございます。

またよろしくお願いします。

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