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家族

カンタンな家族紹介

 

「ムリーヤ!ご飯できたわよー」

 姉様の声にベッドから起き上がり食卓に向かう。

 ポチとタマも俺の影に入る。猫たちは自由にさせる。

 いちおう食事中に食堂に来ないようにドアを閉める。

 パンにボルシチ・シチューに肉料理とサラダ。

 この世界はファンタジーらしく中世ヨーロッパ風が主だ。

 でも和食に似た食材の国もここからずっと遠くにあるので俺は行ったことがある。

 アイテムボックスに食材は入ってるからいつでも作って食べられる。

 まあ母の味はあらゆる意味で特別だが。

「母様の料理が一番好き!」

「ありがとう。でもエルフの里の料理も美味しいのでしょう?」

「でも薄い味だしお肉少ないし野菜ばかりだし」

 半分ヒューマンなので味覚はエルフと違うのかな?

「じゃあ自分で作れるように練習しましょう。今回は何日いられるの?」

「ずっといていい?」

「いいけど、本当にいいの?」

「もう帰りたくない。」

「そう。今夜は一緒に寝ましょうか」

「うん!」

 どうやら母さんが理由を聞きだすみたいだ。

 家出?反抗期?

 考えながら食べてると兄さんが機嫌良さそうだ。

 姉様と一緒にいられると思ってるな。

 そういえば兄さんがいつまでいるのか聞いてない。ずっといるのかな。

 今までは兄さんの母親の気まぐれでたまに来たりしてたけど自分の意志でいたいなら家族だし居たいだけいていい。

 姉様は兄さんを見て顔を赤くしてすぐ違う方向に顔を向ける。

 素直じゃない。ツンデレか?初めてだと自分の感情がわからないとかか?ますますラブコメに巻き込まれそうな予感がする。

 夕食を終えて後片付けをして疲れたからと自室に戻る。

 まあ、帰ってきたばかりだから言い訳が通じたが大して疲れていない。精神的には疲れた。

 久しぶりに兄と姉に会ったら色々思い出してきた。


 ポチとタマを従魔にしたことがきっかけで俺は前世を思い出して体がビックリしたのか高熱が出て寝込んだ。

 元聖女である母のヒーリングでもなかなか収まらないで心配させた。

 病気なら治るんだが精神的なショックだったから。

 9歳のムリーヤの中に大人の前世が流れ込んで大変だった。

 個人的な事は名前も家族も思い出せないけど多分大人、社会人、男、独身だと思う。仕事もわからないけど一般常識的な知識はあるみたい。ムリーヤの9年間と前世の知識が混ざって少し人格が変わったかもしれないが両親からは少し落ち着いて周りに用心するようになったと安心されたようだった。そんなに落ち着きなかったのかムリーヤ。まあ1人で魔獣が出る森に行ってたしよく考えると本当に危ないことしてる子供だな。

 ポチとタマは変わった俺でも主と認めてくれた。

 実はポチとタマには前世を覚えてることは告白してる。

 魔獣だからか『主は主。主好き~。異世界?地球?何それ美味しいの?だから変な事を言うのか~。』くらいにしか反応されなかった。ブラッシングをするのは喜ばれてる。

 そんなころ姉に出会った。


 異父姉の父であるエルフがいきなり訪問してきたのだ。母の元夫。美形の若い青年に見えるが耳がいわゆる長耳、エルフは初めて見た。ハーフエルフは王都で見たけど耳とがってるくらいだ。

 姉は抱っこされてた。耳は髪に隠れて見えない。

 姉はヒューマンだと3歳くらいに見えた。

 両親は驚いて家に迎え入れた。このころは父は明るい茶髪で母と俺は黒髪だった。

 母が姉を抱きしめて泣いていた。

「リュボ!リュボ!」

 名前を聞いて姉だと思った。

 幼いころから姉ともう一人の家族がいるのは聞いていた。

 父の子は産まれる前に里に行ってしまったので兄か姉かわからないとも聞いていた。

 子供のムリーヤはそのうち会いたいくらいの思いだったがそのときの俺は修羅場の予感があった。

 詳しくは知らなかったが父と母が前の相手が子供を連れて里に戻り10年連絡も無くてその間に同じ悩みでなぐさめあってのそれが愛情になり再婚したのはたまに来る両親の友人の会話から推測してわかっている。

「お話が終わるまで一緒に遊んでていい?」

 無邪気な子供を装って大人にお願いしてみる。

 聞かせたくない話になると思ったのか提案は受け入れられて俺は姉と積み木で遊び出した。

 姉のはずだがムリーヤ9歳より小さな推定3歳の体格の姉は中身はヒューマンの3歳と違うらしく大人しく積み木で遊び出した。

「僕はムリーヤ」

「リュボスラーヴァ」

「リュボ」

「姉様と呼びなさい」

「姉様?」

 姉がうなずき子供のムリーヤの心のまま

「嬉しい!姉様!あのね町の友達に兄弟がいてね、ムリーヤも兄弟が欲しくてそしたら姉様がいるって、今は会えないけどいるよって聞いてずっと待ってたよ!」

 ハグしたかった子供心は我慢して手に触れる。嫌がられたら困るから。そうしたら姉の方から抱き着いてきた。ハグハグしてたら大人の微笑ましい視線を感じたが無視。そっちはそっちで冷静に話し合ってくれ。

「姉様動物大丈夫?猫とか犬とかは嫌い?」

「嫌いじゃない。あんまり触ったことないけど」

 小鳥とか飛竜とかリスとかは見かけるらしい。

「じゃあちょっと試してみる?嫌ならすぐ戻すから」

 ポチとタマに子犬子猫で出てきてもらう。

「ちっちゃい~」

「可愛いでしょう」

 やっぱり大人の態度に不安を感じてたみたいだからアニマルセラピーしてもらおう。

 なでなでしたり抱っこしたりほっぺつけたりする姉は可愛い。

 ポチとタマも姉にすりよったり舐めたり前足で触ったりサービスしてくれてる。

 つい姉の頭も撫でてしまったが姉が立ち上がって俺の頭を撫でる。

 怒ったのではなく照れているみたいだった。

 我が姉はツンデレではないかとその時も思ったものだ。

 結局はエルフとヒューマンの時の流れが問題だった。

 結婚して子供が生まれる前に気が付けばよかったのに。

 魔王と戦っている10年の間に恋をしたようだが恋人と結婚とは違ったということか。

 離れている間に連絡が取れなかったのも悪かった。

 ヒューマンからエルフの里に連絡はできない。

 王都のハーフエルフたちとは別の里だったしエルフからは連絡の手紙を出したと思っていたらしい。

 里からヒューマンの領域に行くというエルフに頼んだらしい。

 魔王が倒されてこの世界の郵便は多少遅れることはあっても信用されている。

 そのエルフが本当に手紙を出したのか握りつぶしたのか今の俺は疑っている。エルフは閉鎖的なのが多いけどハーフとはいえ久しぶりの赤子にヒューマンの母など不要と考えたかもしれない。

 ハーフエルフと違い姉の父以外のエルフはろくな奴がいなかった。姉の父は悪いわけでは無いのだろうが長生きなせいかやはりおおまかすぎて1年と10年とあまり変わらないらしくヒューマンといるときはまだわかっていたのだろうがエルフの里に戻ってはわからなかったらしい。まるで浦島太郎だな。手紙も出したし姉の成長も遅かったのだろうし周りのエルフにも引き止められてか20年ほどたってようやく会いに来たら妻は再婚していたというわけだ。離婚した覚えが無いのだから哀れだが待っていた母はもっと哀れだ。俺が産まれたのは母が40歳でもう弟も妹も望めなかった。あやうく子供のいない人生になるところだった。ヒューマンは10年も待ったら長いくらいだろう令和日本では行方不明から死亡認定は7年だったかな。




お読みくださりありがとうございます。

またよろしくお願いします。

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