第4話:勝手にしやがれ (À bout de souffle)・監視者
「グスターボ・クァン……こちらはあなたに『カムイどもへの報復』を依頼しました。なのに、あなたがやった事と言えば、街の一区画を灰に変えただけではないですか。しばらくは状況を静観してもらいます。少なくとも、こちらが今から行う情報統制、検閲、捏造が済むまでは、ね?」
「あんたは顔も見せないで命令だけ出せばいいから楽なもんだな。そのくせ、あんたきっと上位職なんだろう?決戦教団も落ちぶれたな。こんなのしか人材がいないのか……」
「ふふふ。何を寝ぼけたことを……こちらは決戦教団だなんて一言も発していませんよ?あのような輩と一緒にされるなど、甘く見られたものです。まぁいいでしょう、最初に嘘ついたのはこちらですし」
「決戦教団ではない!?じゃあ、ファーストコンタクト時におれに見せた身分証も何もかもデッチ上げだったのか!!!」
「そういうことです。依頼は生きていますので、ご安心ください。とにかく、今は下手に動かないでくださいよ」
なにやら、決戦教団でもなければ、元老院の回し者でもないらしい。どこの馬の骨だか全くわからない奴だ。胡散臭いことこの上ないが、すでに着手金をたんまり貰っているので、今更降りることも出来ない。あろうことか、物事には限度があるのだと、キツく怒られてまでいる。追跡の依頼をしてきた時には『ターゲットへの確なる報復が至上目的だ』と念を押されたのに、今更何を言ってるんだか。
結局、おれは探偵事務所レーヴ周辺をふっ飛ばしたが、それからは奴の意向に従って現場から撤収し、事の成り行きを見守っているわけなのだ。当分、カムイどもには手出し無用という事だ。
「ほう、普段はドロシー&カペーナばかり着ていたが、こっちのイェーガー・サンローレライも悪くないな」
こんなすぐ手の届きそうな距離でカムイどもが服のブランドでどうのこうのくだらない事を並べて騒いでても、手出しは出来ない……あのスターケストとも拳を交えたかったのだが、今のおれに出来る事と言えば、コソコソと隠れて彼らの動向を探る事のみ。格闘家としてこれに勝る苦痛も中々なかろう。まぁ、悩んでいても仕方がない。奴らの言う『マガイモノ』なる秘書の事も気になるところだ。大人しくカムイどもを尾行し、情報収集しておこう。




