私の城
少しグロテスクな作品です。
苦手な方はお控えください。
人が好き。
でも嫌い。
光を通さない黒い空。草木が枯れる黒い大地。ここは光を奪われた世界。そこにあるのは黒を切り裂くように佇む真っ白い城だけ。欲深き人間は宝を追い求めてコノ地に迷い込む。そして今日も数名の冒険者たちがコノ城を訪れる。
カツン…
カツン…
カツン……
城の中は微かに肌寒く、美しい装飾で覆い尽くされている。その全てが白一色で統一され、清く神聖な神々しささえ感じさせた。暗黒の世界に佇む白い城。それはまるで光の無い暗闇の中に唯一の光が差したかのように冒険者を誘う。
カツン…
カツン…
カツン……
奥に進めば進むほど恐怖にも似た寒気が全身を襲う。しかし冒険者たちは何者かに糸を引かれるように奥へ奥へと歩を進める。
「あら」
辿り付いたのは玉座の間。そこには夥しい量の血肉が転がり、腐敗して呼吸するのも困難なほどの強烈な匂いに満ちていた。玉座に座っているのは目の前の禍々しい光景とはあまりにも似つかわしくない一人の可愛らしい少女。少女は愛らしい微笑みを冒険者へ向ける。
「私と遊んでくださる?」
ふわりと玉座から立ち上がった少女は冒険者のほうへと歩み寄る。
「コノ子達はもう壊れてしまったから」
その時、冒険者たちの目に映ったのは硝子のような冷たい瞳の少女と人間の肉と骨で美しく作り上げられた真っ白な城。
人が好き。
でも嫌い。
だって直ぐに壊れてしまうんだもの……。
――ココは【悪】を知らない少女が作り出した、夢の国。




