表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/84

04 王太子訪問の裏側2

シンシア視点→ハドリー視点






 こうして迎えた当日。

 嫌な予感が当たってしまった。

 シェリルにポーションを飲んでもらった時。


「あ、頭痛が治った」

「え!? 頭痛ですか?」

「うん。少しだけど殿下と話している間にね」


 これを聞いてシンシアは確信した。

 王太子は魅了を使った。


 頭が痛くなる話を聞いて本当にそうなる事はよくあると思う。

 しかしそれはポーションを飲んでも治らない事が多い。

 なぜならその痛みは精神的なものだからだ。

 魅了は抵抗しようとすると頭痛が起こる事が多い。

 それが治ったという事は魅了にかかっていた証拠だろう。






 シェリルが部屋に戻ってしばらくしたあと。

 予定よりも早く、若が帰って来た。


「シェリル!?」

「若。その様子だと……」

「トミー。王太子が来たんだろう。シェリルは!?」

「今……部屋で横になっております」

「くそっ! 一体何を……」

「影の報告によると、若を王太子の側近になる様協力して欲しいという事でした」

「なる訳ねーだろ」

「若。言葉遣いが悪いですよ」


 とりあえず残っているポーションをフィランダーに差し出した。


「一応お飲みください。シンシアによるともしかしたら魅了をかけた可能性があると。若もどこかでかけられた可能性もありますから」

「シェリルは?」

「お飲みになりました。王太子と話している最中に頭痛がしたそうで、それが治ったと」


 するとフィランダーはポーションをすぐに飲み干し、シェリル様の部屋へ向かった。


「シェリルはどうしている」

「まだ眠っております」

「起こさないから通してくれないか?」

「はい」


 部屋を開け、フィランダーは一人シェリル様の部屋へと入って行った。






 その一連の様子をシンシアは見ていた。

 するとジェレミーが寄って来る。


「何も言わなくていいの? シンシア」

「……今は言うべきではないと思う。若も混乱している様子だったし」

「シェリル様は、魅了にかかっていたんだな」

「うん。他にも影に頭痛があった人がいた。とにかく今は皆にポーションを飲んでもらう」

「まさか本当にこんな愚かな事をやるなんてね。陛下に報告したら王太子から下ろしてくれないかな?」

「難しいんじゃない? 王太子はのらりくらりと言い逃れると思う。スタートレット公爵家がその典型だし。はっきりとした証拠を提示されてもしらばっくれると思う」

「はっきりとした証拠ね。できるの?」

「例えば魅了にかかっている人に教会で鑑定を受けてもらうの。それで魅了状態がはっきりすると思う。でも誰が魅了をかけたかまでは分からない。その状態で証拠を提出したとしても私がやったと押し付けてくると思う」

「なるほどね。逃げ道はあると」

「権力があるからね。あっちは」

「平民のシンシアには太刀打ちできないって事か」

「私がヘインズ領の領民に魅了をかけたのは事実だもの。世間の目は私の方が悪者でしょ?」

「……ムカつくなぁ。そこまで考えていたのか」

「私は元々切られる予定だったんだもん。私がいなくなっても痛くも痒くもな……」


 するとジェレミーはシンシアの口をキスして塞いだ。


「ん……ちょっと。何するの。こんなところで」

「自分を卑下するなよ。今は頼りになるヘインズ家の使用人だ。それを誇れ。きっと向こうもシンシアの言う事なんか聞かない前提で仕掛けてきている可能性もある。いいきみだと思わないか?」

「……それは……思う」

「シンシアのお陰で未然に防げた。ありがと」


 ジェレミーはシンシアの頭を撫でる。

 すると彼女の顔が真っ赤になって固まってしまった。


「あ、可愛い」

「あ……あんまりされた事ないから〜」

「ならもっとやらなきゃね」

「やだ。髪が崩れる」

「ならもうベッドに行って楽しも……」

「ジェレミー」


 二人は固まり後ろを見るとジェレミーの父であるハドリーが立っていた。


「まだ全員の確認が取れていない。シンシアは返してもらおう」

「ダメ。俺もセットでついてきます」

「全く。シンシア。迷惑をかける」

「はい。……じゃない。いいえ」

「素直に言って良い。ジェレミーは昔から周りを巻き込む癖がある。助けて欲しい時は全力で助けるからな」

「こっ……心強いです」

「え。シンシア。父上じゃなくて僕見てよ」

「ジェレミー。お前はもっと大人になれ」

「十分大人ですよぉ」











 結局、シェリルと天井から守っていた影達のみに頭痛が現れた事が発覚。

 それもポーションで治したので実質影響は出なかった。

 一応報告はするも表向きは何もなかった事にされた。

 ちなみにヘインズ領の方は何もなく終わってひとまず災難は去ったと言えた。

 ハドリーは主人に内緒で独断で動いていたが、事が事だったため不問となった。


「改めて報告感謝する。ユーイン」

「いえ。私は何も」

「迅速な連絡だった。今後も注意して過ごして欲しい」

「はい」

「そろそろ一部の使用人の移動も始まる。何か起こる可能性もあるので警戒を怠るな」

「かしこまりました」


 ハドリーはユーインの言葉を聞いた後、鏡の装飾にはめ込まれている魔石に手を当て魔道具の通信を切った。




この話はあくまでも本編の番外編にするか、それとも先の話に入れるか決めていませんが、とりあえずここに載せておきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ