04 鑑定
話の内容は第六章で孤児院の事情を聞きに、結婚式を挙げた教会の司教であるアーヴィングを訪ねるという、没にした内容です。
今回はそのシーンの一部である、鑑定の話を少し加筆修正して公開します。
本編の第六章ではシェリルに忠誠を誓っている人達の魔力が上がるシーンがありますが、ここではありません。
その上でこの話を読んで頂ければ幸いです。
終わりは中途半端ですが、それでも良ければお読みください。
「結婚式ぶりですね。司教のアーヴィングと申します。あんな素晴らしい奇跡をありがとうございます」
「い……いえ……」
奇跡?
……そういえば結婚式の時、精霊の祝福とやらを受けたんだった。
「そして女神の愛子様であらせられますね? 是非、鑑定させて頂きたいのですが」
「鑑定……ですか?」
「はい」
「いいと思うよ。俺もシェリルのステータスは知りたかったし。……ただ、金が必要ですよね?」
「私から言ったので無料ですよ。ここだけの話にお金をもらうわけには参りませんから」
そう言って彼は私を鑑定し始めた。
……と言ってもただ私の方を見て紙にメモを書くだけ。
何を書かれているのか不安になる。
「確かに。女神の愛子と記載されております」
神父は私にメモをした紙を差し出す。
見ると、私のステータスと思われるものが書いてあった。
名前:シェリル・ヘインズ(シェリル・アストリー)
レベル:1
HP(体力):50
MP(魔力):0
ATK(攻撃力):100
MAT(魔法攻撃力):0
DEF(防御力):80(+500)
MDF(魔法防御力):0(+500)
装備:守りのペンダント、会話のペアリング
従魔:ヒュー
称号:女神の愛子、森の巫女
……正直初めて見るので数値が高いのか低いのかも分からない。
「これは……低いの? 高いの?」
「あー……レベルはしょうがないとして、HPは低いね」
「成人女性でも100はありますからね」
「やっぱり」
私はその半分か。
「でもATK100は普通じゃないよ。新米冒険者並みにはある」
「それよりこの+500は何?」
「それは忠誠を誓った分と、ペンダントの分」
「なるほどね」
「しっかり称号に女神の愛子と載ってますね。森の巫女とありますが、これは……」
「女神の愛子の別称みたいですよ。魔獣が言ってました」
「なるほど。これも報告しないといけませんね」
「あの……称号は誰にでもつくものなのですか?」
「いいえ。誰しもがもらえるものではありません」
「ならフィランダーも鑑定できます?」
「あぁ。対比するのにちょうど良いですね」
そう言ってまたペンを走らせた。
するとアーヴィングは言いづらそうに紙を差し出す。
「……対比するには向かないかもしれませんね」
見ると唖然とするような数値が並んでいた。
名前:フィランダー・ヘインズ
レベル:53
HP:9835
MP:9742
ATK:913
MAT:898
DEF:901(+2000)
MDF:884(+2000)
精霊属性:水
程度:高
装備:会話のペアリング、伝達のネックレス
従魔:なし
称号:なし
「恐ろしいですね。このレベルでこの数値ですか。……まだ伸び代があると言うのは恐怖です」
「上限はどのくらいなのです?」
「レベルは99とされています。HP、MPは9999が最高と言われておりますが……例外として10000を超える人も稀にいるみたいですね。ATK以下は999が最大値とされてますが……。これを見ると、もしかしたらそれ以上があるのかもしれません。+2000ってついてますし」
「というか、フィランダーに忠誠捧げている人が多いって事なんじゃ……」
「そうですね。ですが忠誠はあくまでも防御系のみです。攻撃は基本、自身の力ですから。アイテムを所持していない限りは上がりませんよ」
「最近はサボり気味でそんなにレベル上がってないんだよね」
参ったなぁという表情のフィランダーに私は困惑した。
力の差は歴然だと思ってたけど……これはひどいんじゃない?
「明らかに普通の数値じゃありませんね。それこそS級冒険者に匹敵する数値ですよ」
「……いつ、鍛えたの?」
「え……。まず小さい時にちょっとだけ鍛えてから、人材を探す旅に出て、その時に盗賊ともやりあったから経験値が上がったんじゃない?」
嘘くさいなぁ。
※忠誠は一人につき+100とします
※シェリルの守りのペンダントが+100
これで終わりです。
数値はもっと極端にしても良かったのですが、訳分からなくなりそうなのでやめました。
それと作者はあまりゲームをした事がなくて、ステータスはこれが限界です。
フィランダーには忠誠を誓っている人が二十名ほどいるという設定に一応してますけど、本編でどうするのかはまだ考えておりません。
とりあえずフィランダーはシェリルを小指一本で倒せるというのが伝わればいいです。
一度は鑑定シーンを書きたかったのですが、今思うと入れないで良かったなと思います。(先の話にも影響しそうなので)