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01 トミー、プレゼントを贈る

第五章の番外編にする予定だったものです。

皆でお土産を買いに行ったシーンがあったのですが、その後どうなったのかを書いたものになります。


ただ、まともに書けたのはトミーだけだったので、それを加筆修正したものを公開します。

他のキャラが良かったという人にはごめんなさい。


簡易人物紹介


・トミー……フィランダーの侍従。童顔だけどフィランダーと同じ25歳

・トミーの妻・トミー……ヘインズ邸の侍女



トミー視点






 シェリル様の計らいで妻にお土産を買う事になった。


 こんな事、初めてだなぁ。プライベートはともかく、主人の付き添い旅行で買えるなんて……。

 そういえば、最近あまりプレゼントしてないな。

 いい機会だから彼女に似合うものを買おう。


 皆で買いに行った先が魔道具店だった。

 この店なら平民でもお手頃価格で買う事ができる。

 じっくり選ぼうと中に入り安い魔道具が並んでいるフロアを見たら、絶望感が襲って来た。

 数が多すぎて何を選べばいいのか分からなくなってしまったのだ。

 悩んでいると店員が話しかけて来た。


「お困りですか?」

「はい。……数がありすぎて……」

「ちなみに私用ですか? 贈答用ですか?」

「贈答用です。……妻に」

「奥様にですか。どのような奥様で?」

「妻は……小柄で可愛らしい見た目で……実年齢よりも下に見られがちで……」

「左様でございますか。……ここのフロアは大体が私用目的で買う方がほとんどなのです」


 聞けば今いるフロアは冒険者が利用する事が多いのだという。


「上のフロアの方が値が上がりますが、お手頃のものもありますし、もっとデザイン性が高くなりますのでオススメですよ」


 このやりとりを女性陣も聞いており、上のフロアに案内してくれと懇願し案内してもらった。






 上のフロアに行くと、下のフロアの様な雑多な感じではなく、高級感溢れるものだった。


「オススメはこちらでございます」


 店員が示したはリングだった。


「実年齢よりも幼く見えるのであれば、独身と勘違いされるかもしれません」

「確かに……」


 結婚した後、たまたま彼女が出入り業者の男に求婚されるところを見てしまった事もある。


「リングなら目につきやすいですから、恋人または旦那様がおられるという目印になります」

「なるほど」

「防御のリングなどいかがでしょう? もし、防御壁も出せないくらい魔力がない方であればおススメです」

「それなら彼女には……」


 彼女は中程度の魔力を持っているから、当然防御壁も出せる。


「あと、自分以外の誰にも触られたくないという意味も含みます」


 店員の言葉を聞いて即決したのは言うまでもない。






 帰った翌日は休暇をもらい、部屋で彼女の帰りを待っていた。


「ただいま」

「お帰り」


 小柄な侍女が部屋の中に入ってきた。

 彼女の明るい茶色の瞳がトミーを映す。

 大きな瞳の可愛らしい顔に、水色の髪がそれを際立たせている。

 なのに顔と相反する様に、身体は大人だ。

 そのギャップが男を引き寄せてしまうのかもしれない。


「今日はゆっくり休めた?」

「うん。お陰様で」

「旅行中、シェリル様狙われたんでしょう? 今日熱出ちゃったみたいなの」

「狙われたのは気づいてないと思うけど……熱出たのは旅の疲れだと思うよ。向こうでは熱出さなかったから」

「シェリル様の体質も大変よね」

「普通の人だって帰った後に一日くらいなら熱出すさ」

「それよりも長引きそうだって」

「……普通の新婚旅行なら良かったけど、不味い事態に巻き込まれたからなぁ……」

「でもシェリル様のお陰でどんどん領の雰囲気が良くなってるみたい。領都でもシランキオ人誘致の動きが活発だよ」

「うん。本当そうだね。彼女のお陰で最後の膿を出してくれた様なものだし」






 そこでやっと彼女にお土産を渡した。


「そのシェリル様のご厚意でお土産を買う事が出来てね。……これを、君に」


 小さな箱を差し出すと、彼女はどぎまぎする。


「え……お土産!? 私に?」

「うん。着けてもいいかな?」

「つ……着けるって?」


 俺は箱を開き、リングを見せると彼女は目を輝かせた。


「これ……」

「防御のリング。君の周りには危険な男が多いみたいだから」


 そう言ってトミーは彼女の指にリングを通す。


「綺麗……貴方の瞳と同じ色だ」

「似合ってるよ」

「そう?」


 嬉しそうにリングを見せる彼女は可愛らしい。


「もっと早く買ってあげれば良かったんだけど……」

「貴方忙しいでしょ? 旅行先から気にかけてくれただけでも嬉しいの」

「……シェリル様に感謝だな」

「だね。……次はお揃いのものを買いたいな」

「休み被った時に魔道具屋へ行こうか」

「うん。あ、リングのお礼まだだったね。そこに寝て。マッサージするから」

「いや、疲れてるでしょ?」

「凝ってそうな人見るとやりたくなっちゃうの」


 久々に楽しい日々を過ごせるのは彼女のお陰だ。


 お礼言っておかないと。


 しかしその後仕事の忙殺とシェリル様の体調不良で、なかなかお礼が言えなかった。





※トミーの妻の名前は考えておりません。


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