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それまで

作者: 藤野

 母は自称「視える」人でした。私は幼い頃から幽霊の話を聞かされて、よく怯えたものです。もう亡くなったんですけどね。


「人間はね、死んでからしばらくはこの世に残るの。残した人が自分を追いかけても止められるように。だから、死んだ親や友達に助けられるお話が多いのよ」


 母よくこう言っていました。正直胡散臭いと思って聞いてたんですけど、最近はあながち間違いではないのかなって……。母が死んでから、母の日記を見つけてしまって……。

 嫁姑で色々あったらしいんです。最初は可愛がってもらっていたのに、あるきっかけで物凄く嫌われるようになったと。そのあるきっかけについては分かりませんでしたが、問題はそこじゃありませんでした。

 姑……私にとってのおばあちゃんが亡くなった頃から、お母さんの身に妙なことが起こり始めたんです。包丁が床に落ちていたり、消したはずの火が消えていなくて火事になりかけたり、高いところにいると背中を押されたり……。

 最初は地味なものばかりでも、記述が最近になるにつれてだんだんエスカレートしていきました。ミキサーに食材を入れようとしたら急に動き出して、しかも腕が引っ張られるんだそうです。ギリギリで逃れられたお母さんは恐怖しました。これはもうすぐ殺される……と。


 亡くなる前日あたりの記述はありませんでした。だから殺されたのかどうかは分かりません。

 母がよく言っていた話は、要約すると「残った人達が生きることを諦めないようになるまで、幽霊としてこの世に居続ける」という話です。これだけ聞くと美談ですが、当然逆もあるのでしょう。おばあちゃんとお母さんのように。

 おばあちゃんはお母さんが死ぬまで、幽霊としてこの世に居続けたのかもしれません。

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