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思わせ振り…

彼は私の膝元で落ちてしまった…


彼は完全に寝てしまって私は動くことが出来ない。

だが彼の体勢が辛そうなのでそっと楽な体勢に戻して上げた。

私の膝枕で気持ち良さそうに熟睡している。

私は彼の寝顔をじーっと見つめる。


さっき彼が寝落ちする前に言いかけた言葉が気になっている。

何を言おうとしたんだろう…


和代さんは、僕のこと…


そのあとが気になって仕方がない。


もしかして…

彼は…


バカげてる…


私のことは女としては見ないだろう…


でも…彼は言った…綺麗だって…


いろいろ考えてる内に少し眠くなってきた。


いきなり生活リズムが変わりいろいろ買い物などもして気も遣いかなり疲れてしまった。


彼を膝枕しながら私も落ちてしまった。




ふと目が覚めると白い天井が見える…


たしか彼に膝枕していて、ソファーで寝落ちしたはずなのに…


いつの間にかベッドの上で布団に包まれている…


久しぶりの柔らかい布団で身体が温まったので爆睡してしまったようだ。


彼が私を寝ている間にベッドに運んでくれたのか…


壁掛け時計に目をやった。もう朝の7時半を回っていた。


私は飛び起き彼の姿を探した。


どこにも居ない…もう仕事に出てしまったのか…


ふとリビングのテーブルの上に目をやると、レンチンで温めると食べられる冷凍のチャーハンが皿に盛り付けてあって、すぐ側に置き手紙が差してある。



『おはようございます。ゆっくり眠れましたか?


朝ご飯にチャーハン温めて食べてくださいね。


昼は弁当がキッチンのダイニングテーブルの上に置いてあるのでレンチンして食べてください。


では、なるべく早めに戻りますので待っていて下さい。』


彼の優しい心遣いだ。


お言葉に甘え早速冷凍チャーハンを温めて食べた。


せっかく身なりも人並みになれたので周辺を散策しようかとも思ったが体力がまだそれほど戻っていないので家にこもることにした。


家の中は小綺麗に片付いているのでどこも触る必要もないので、彼が帰るまでのんびり待つことにした。


昼御飯を済ませソファーで少し横になっているとウトウトしてきて瞼が重くなりまた静かに寝てしまった。




目を開けると辺りは薄暗くなっていた。


時計に目をやると午後4時を回っている。


何もすることが無くボーッと考え事をしてあっという間に一時間が過ぎた。



ガチャ…


玄関の方で音がした。彼が帰ってきたのだろうか。

ソファーから立ち上がり玄関の方へ駆けていった。


リビングのドアを開けたとき彼は靴を脱いで廊下を歩いてくるところだった。


私『お帰りなさい、お疲れ様でした。』


真人『ただいま』


彼は優しく微笑んでいる。


二人はリビングのソファーに腰をおろした。


私『ごめんなさい、私…昨日あのまま寝てしまって…ベッドに運んでくれたんですね…重かったでしょう』


真人『僕の方こそ酔っ払って和代さんの膝に寝てしまってすみません。あの…僕…酔って何か失礼なことしませんでしたか?』


彼は照れくさそうに尋ねた。


私は少しイタズラっぽく上目遣いで


私『全然覚えていないんですか?ショックです…』


真人『………もしかして……何かやらかしてます?』


困惑した顔で聞いて来たので


私『覚えてないなら良いんです別に…』


更に彼を困らせてみようと思いそう言ってみた。


真人『ほんとすみません…全く覚えて無くて…あの…教えて下さい…僕ほんとお酒弱くて…』


私『冗談ですよ(笑)何もしてませんから…ただ…胸は触られましたけど(笑)』


彼は顔を真っ赤にして


真人『す、す、すみませんでした~


ほんと恥ずかしい…ほんとすみません』


女性に対して凄くシャイなんだ。赤面して目も合わせられないほど照れている。


真人『僕……夢…見ました。和代さんが他の男性と楽しそうに喋っていて…なんか…わからないけど…凄く嫉妬してしまって…』


彼は何を言いたいのだろうか?私に嫉妬心があるなんて…昨日の言葉…和代さんは僕のこと…


もしかして…あり得ないけどあり得るのかな…


なんか凄く思わせ振りなことばっかり言ってどんどん私を引きずり込んで…


そんな…変に期待しちゃうじゃないの!


真人『和代さん…あの…』


私はドキドキしながら彼の言葉を待った。

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