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清原里見(きよはらさとみ)

真人『和代さん…あの…』


私はドキドキしながら彼の言葉を待った。


真人『あの…和代さんは…僕のことどう思いますか?』


私はどう答えて良いかわからない。彼は彼の何について聞きたいのか。

彼に対しての好意か、それとも人としてか、はたまた見た目…わからない。

彼の求めてる答えが読めない…


私『どう…とは?』


真人『僕を…お…お…おとこ…』


一瞬間があって


真人『あっ!そう言えばまだ僕の仕事に関して何も言ってなかったですね』


突然話をはぐらかして焦れったい。


真人『僕は介護福祉の事業を営んでまして、代表取締役です。これを基盤に僕の夢の施設、みんな無償、無条件で保護し自立を目指せるように支援するのが目的。

みんなの悲しみの連鎖を絶ちきり幸せな世の中にしたいです。

スタッフとなる予定の人材も少しずつ選定してます。

そして和代さんは、スタッフとしてではなく…僕の側近として常に相談役としていつも僕の傍にいて下さい。

今度スタッフになる予定の方達と一度会食しながら顔合わせしましょうね。』


私がみんなと顔合わせ…出来るだろうか…


何の知性も知識もない私がみんなに上手く合わせられるだろうか?


恐い…みんなが私をどんな目で見てくるかが恐い…

ホームレスの汚い女だと思われるのが恐い…


心配する私を彼は優しく諭して(さとして)くれた。


結局そのあと彼は私の聞きたい言葉を言ってくれることは無かった。




数日後、彼の職場の人達と会食することが決まった。

大衆居酒屋で私と彼の他に彼の職場関係の人が男三人、女二人、私と彼を合わせて七人が集まった。


夜の7時半からスタートした。

彼は職場の人達に私を紹介した。


真人『彼女は我々の新規事業計画には欠かせない存在であり私の右腕として補佐してもらう方ですので、皆さん今後彼女に失礼の無いように接して上げてください。

主に彼女のポジションとして私の相談役として働いてもらいますので、直接皆さんとは関わらないものの、常に私の側に居ますのでお互い仲良くお願いします。

それでは和代さん、皆さんに挨拶お願いします』


和代『あの…和代です。松橋さんの足手まといにならないように、そして皆さんの中に早く溶け込めるように精一杯頑張りますので宜しくお願い致します』


一同温かい拍手で迎えてくれた。


一時はどうなるかと思ったがなんとか溶け込めそうな気がしてきた。


私は彼の隣に座り何を話して良いのかもわからずうつ向いて座っている。


彼は時々私を気遣って食べ物やお酒をオーダーしてくれた。


新規事業に関しての話だけではなく他愛のない仕事場での愚痴なども話していて私一人だけ浮いている。


そこへ一人の女性が話しかけてきた。


彼女の名は清原里見きよはらさとみといった。

年齢は20代前半くらいで少し幼さの残る可愛らしい顔立ちでお酒のせいか少し頬が赤くなっている。


里見『和代さんて、社長とどういう関係なんですかぁ?』


少し酔っている。甘ったるい声で上目遣いに顔を近づけて来る。


こういう女が男は好きなんだろう。


私は甘え上手な方では無いのでこういう女を演出することは苦手だ。


私『ど、どういうって…えーと…何ていうか…』


私が動揺してしどろもどろになっていたところを彼が助け船を出してくれた。


真人『和代さんは凄く苦労されてる方でね、親の介護をされていたんだが、僕の事業の話をすると色々と相談に乗ってくれたんだよ。それで経験豊富な和代さんを僕がスカウトしたんだ。』


里見『へぇ~、そうだんたんですね!それで社長の右腕として買われたんですね。すごぉ~い』


なんだか少し小バカにされてるような気がする…


ここで女の勘が働く。おそらくこの娘は真人さんに気があるのだろう…私が真人さんの側近として紹介されたことに対して妬みがあるに違いない。

過去の経験からこういう娘は後々厄介な関係になる気がする。

当たらずさわらず適当にやり過ごすのが無難だ。


そしてさっきからこちらをチラチラ見てくる男性…

名前はたしか鷲尾賢一わしおけんいちと言った。

年齢はだいたい30代後半くらいか、少し小太りで、やらしい目付きで私を見てくる。

私は目を反らしているが嫌でも視線を感じる。


宴会が始まり二時間ほど経ってみんな良い感じに出来上がってきたところで彼が



真人『さぁ皆さん今夜は楽しんで頂けましたでしょうか?これからも皆さんと共に世の中を少しでも変えて行けるように私自身も精進していきますので今後ともご協力宜しくお願い致します。それでは最後に乾杯でこの場をおひらきとさせて頂きますので皆さんグラスを持って頂いて、

乾杯~!』


そしてそれぞれ二次会に行くものと帰宅するものに分かれた。みんなが歩きだす中、清原里見が振り返り…


里見『あのぉ~…社長…もし良かったら家まで送ってもらえませんかぁ~?』


甘ったるい声で上目遣いに彼に言い寄る。


私は彼の反応を窺う(うかがう)。

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