第2話 勇者と魔王がうちに来た2
「あのー、ちょっといいですか?」
浩一が少し手を上げながら2人に話掛ける。
「2人は別の世界から来たってことですか?」
「今の状況から見てそのようだな。コーイチと大きさが違うだろう。私達の世界では、私達の大きさが普通だ」
「でも、なんでここに?」
「何故かはわからない。私とユイがお互いに放った魔法がぶつかった時に恐らく、この世界に飛ばされたんだろう」
サンドラが答えている中、ユイが話に割ってくる。
「なら、また魔法をぶつけ合えばいいんじゃない?元の世界に帰れない?」
「いや、同じようにいくとは思えない。それにここでは魔素が少なくて<喰らい尽くす業火の炎>を出すには魔力が足りない。お前もそうだろ?」
そう言われてユイは、掌を上に向けて何かを感じ取ろうとしていたが、しばらくして辞めた。
「確かに...あたしも<全てを照らす聖なる光>を出すには魔素が足りないわね」
「あの、魔素ってなんですか?」
「あたし達が魔法を使う時は、周りの魔素を体内に取り込んで魔法に変換して使うの。この世界では魔素が少ないみたい」
ユイの説明を聞き、魔法を見たことない浩一は、
「何か、今魔法使えますか?」
と尋ねる。
「今ならこれくらいなら出来るぞ」
サンドラは指先にビー玉くらいの大きさの火の玉を出した。
「スゲー!!火の玉だ!」
「これくらい、魔族なら子供でも出来るわ」
「この世界は、魔法なんか、おとぎ話やマンガの中だけの話だから、凄いですよ!」
初めて魔法を見た浩一は、感動していた。
「ところで、2人はこれからどうします?別の世界から来たなら、行く当てなんかないですよね?何かの縁だから良かったら、元の世界に帰れるまでこのままうちにいますか?」
そう浩一は2人に提案した。
「こちらとしては、願ってもない提案だ。それで問題は無いだろう?ユイ」
「そうだね。あたし達、大きさが違うから外に出ても問題だらけだろうし。帰れる方法が分かるまでは、お世話になります」
2人は顔を見合せてから浩一にお辞儀をした。
「それじゃあ、宜しくお願いします」
「宜しくね!コーイチくん!そういえば、あたし達に敬語なんか要らないよ」
「そうだな。これから共に暮らすのだから気づかいは不要だぞ」
「わかった...なら、改めて宜しくな、ユイ、サンドラ」
こうして、浩一は小さな勇者、魔王と暮らすことになった。