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爆縮と体温の機知(8)

それを希望と呼んではいけない

不安が消えた人が居る

絶望を背負い過ぎたのだ

絶望が普通になれば

他人の絶望には冷笑が出る

そうなれば

絶望哲学の始まり始まり

その程度のことだろう

締めに繋がる言葉が出る

最後まで聞いて

反論する者があれば

個人に降りかかった絶望例を挙げ

反論した者は口を閉ざす

日常に希望が無い者の言葉は

希望を探す者にとっての絶望

底無し沼の辺りに踏み込んだ

子鹿と同じだ


暗闇は知っているが

暗闇の深さを知らない

現象という物は

限界点まで進むものだ

気が狂うのは生易しい

気が狂って行動し

止められるのも生易しい

気が狂って行動し

逮捕されるのも

まだマシだ

全てを一人で完結できることを

思い付いた狂った人間は

いつの間にか

髪が伸びている日本人形よりも

いつの間にか

布団の中に居る

得体の知れない者よりも

恐怖心を抱く対象になる

殺気に近いようで

殺気では無い

絶気と云うに相応しい物を

纏い歩くのだ


個々人で

見えている線がある

彼方に行けば

戻っては来れないという線である

もしくは

一度だけ越えてしまい

どうなるのか

分かっている線かもしれない

だが、他人の線まで

配慮できる人間は居ない

個人の管轄だからだ

口出しという物は

個人の権利を侵している

誰も言えない

目の前に居た人間が

明日、無残な姿になろうと

何も言わなくても良い

そもそも

分からないのだから良いのだ

気づいた雰囲気で

考慮しなくても良いのである

それをブロックし

ミュートしても構わない

知らない内に離れて良いのだ

見切りを付けて良いのだ

みんな、やっていることである

あなただけが

責められることは無い


絶望を背負っている人間には

その無視に近い形が

非常に居心地が良い

自分のことだけを考える時間があり

自分のやりたいことだけに

集中することが出来る

これ以上ない配慮なのである

優しい言葉をかける人間を

疎ましく思っているし

出来れば

関わり合いになりたく無い

面倒なことは

やりたくないのだ

つまりは

そこでニーズが合っている

希望と絶望はセットでは無い

交互にやって来るだけでも無い

反発し合うのである

孤立する為に

自分を守る為に

強力な反発をするのだ

悲惨な事件には

それに近い形が揃っているのだろう

あれは、たまたま

可視化されただけだ


知らない絶望が

語られることは無い遺体には

含まれている

あの心情は理解されない

知らない個体を

知っていると言える人は居ない

データとしては残るが

心情のデータ化は

まだ不可能だろう

文字が並んでいる

その文字を

目で追うことで

同じプロフィールの

全く違う人間が

脳内にでき上がる

勝手に作られて

勝手に忘れられる

明確な当人は

何処にも居ない

絶望は何も残さない

想いも残さない

痕跡がない

未練がある内は

まだ頑張れるからだ

背負われなくなった絶望は

何処かに消える

消えなかった絶望はない

それを

希望と呼んではいけない




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