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青森支社へ異動になった人たち

作者: 木っち

「山久保ー!!営業先の人と何故、趣味合わせなかったのか?ダメだな、来週から青森に行け。くびにしないだけ感謝しろ。」

こうして、僕は、社長の蓋田の命令により青森に行くことになった。ちなみに逆らうと即刻くびを言い渡されるようで実際に2年前に蓋田社長に逆らった大間さんと大塚さんが業務方針で揉めて転勤は無理だと拒否し解雇にされた。その二人は今ライバル企業で働いていると聞いている。

解雇になった二人は会社の去り際に社長に対し、「こんなくそ社長の下で働けるか!解雇は上等だ。いずれ潰す。」と激昂おり、蓋田に対して、宣戦布告もしていた。

他の社員も、解雇になった大塚・大間の二人に対しては擁護する人が大半であり、社長の早期辞任も要求されている。



・・・青森支社(前・東北支社)・・・

「やっと青森に着いた。新幹線と、在来線乗り継いで結構な時間掛かった…。はやくも疲労が…。」

ようやく、青森支社(北東北担当)がある青森県に到着した。

ちなみに2年前までは東北支社という名称だったが福島にも新たな支社(福島支社で通称:南東北担当)ができた関係で名称が青森支社に変わった。

「山久保?…山久保じゃん!!青森まで来てどうした?出張か、旅行か?」半年前まで一緒に東京本社で働いていた信楽だ。東京時代と変わらず、ハイテンションだ。

「ちげーよ、ここに異動してきたんだよ。社長から半ば強制で青森に行け!って。」

「そうか…あのクソ社長、まだ辞めてなかったんだ。理不尽な理由で地方に飛ばすからな、あのクソ。」

同感しつつ、早く中に入らせてくれ、寒いんだから入らせて…

「早く入らせて、寒いんだから…。」

話が長いのも相変わらず変わってなかったので少々嬉しかった。

「横瀬ブッチョ、山久保こと山ちゃんが来たよー。」

あだ名で横瀬部長に言うのは恥ずかしいからやめてくれ!と心の中で思った。

「山久保くん、遠い所ありがとう。私がここの責任者の横瀬だ。信楽とは東京時代から仲がよかったときいておる。これからどうぞよろしく。あ、これここまで掛かったであろう交通費ね。ちょっとしかないけどごめんね。クソ社長、渡してないでしょ。」

どうやら、部長もあの社長のことは嫌っているようだ。

「山久保さんですか?和歌山支社から来ました、若山です。ややこしくてすみません。先週から異動になったばかりです。よろしくおねがいします。」

彼は先週、和歌山県にある和歌山支社から来た若山くんである。若山くん自身は和歌山時代、上司と缶コーヒの件で揉め、青森に異動となった。(和歌山支社と蓋田が関係しているかは不明)

「さーて、今日は多くの発注作業をしないといけないから、いきなりだけど発注お願いできるかな?分からなかったら、ラッキーこと信楽に聞いてね。」

久々の発注作業だ。東京時代は発注作業は滅多にやらせてもらえず、ほとんど仕事は関係の無い雑用や窓の掃除ばかりだった。

「入社したての時以来かな?発注やるのなんて…。信楽、ちょっと教えてくれないか?」

信楽を呼ぶとなぜか嬉しそうな顔をして、「山ちゃん、入力はこうするんだよ。…でしょ、これはこうするんだ。あと桁間違えないでね。大変なことになっちゃうから!確認してから注文してね。」

信楽って、東京に居たときより活き活きとしてるな…。楽しそうだ。

「横瀬さーん!饅頭食べる?美味しいよ。なんか、青木原さんが明日、町の会議あるから来てねって言ってたよ。忙しくなかったら青木原さんの食堂に来てね。」

おばあちゃんが会社の戸を開け、部長に延々と町の話をする。

「沖さん、せめてノックはしてくださいよー。でも、饅頭ありがとうございます。昼に食べますね。町の会議は…まあ、いけると思いますよ。みんなで行きますから!」

「あのおばあちゃんはお知り合いか何か?」

即座に返答が部長から来た。「あのおばあちゃんは、いつも差し入れくれる優しい人なの。聞いてもいないのに町のこと色々教えてくれるから、ありがたいんだよね。おばあちゃんからもらった饅頭は休憩時間に食べましょうかね。平和な町だよ、ここは。」

部長がおばあちゃんについて力説していた。確かにこの町は東京と違い、静かである。

「昼は、青木原さんの食堂で食べようか?山久保君の歓迎パーティーも兼ねて。町の人も祝ってくれると思うよ。」

部長が、歓迎パーティーも兼ねて昼飯食べようと提案してきた。

「歓迎パーティーなんて恥ずかしいですよ…。みんな居るかもしれない訳でしょ、恥ずかしいですって!!」

恥ずかしいという理由で遠慮したが、部長や後輩の若山が「恥ずかしかったら町の人たちに覚えてもらえない。一緒にやろう。」となり結局折れ、昼飯のついでに歓迎パーティーも行うことになった。


「いらっしゃーい。青木原食堂へようこそー。」威勢のいい青木原さんの声が響く。

「青木原さん、山久保の歓迎パーティーもしたいんだけどいいかな?」

青木原さんはにっこり笑顔で「おお、歓迎パーティーか!やろうじゃないか、じゃあ色々装飾したいから

買出しに行ってくるわ!横瀬ちゃん、店番頼むよ。」と言い放ち食堂を飛び出してしまった。

部長曰く、嬉しいんだよ、青木原さん。楽しいことやりたいんじゃないかな?

数十分後、青木原さんが装飾品とケーキを買ってきてくれた。

「おごりだ!今日は楽しんでいけよ。大丈夫だよー。」

部長も僕も驚き、「本当にこんなに大丈夫なんですか?ちゃんと払いますよ。」

青木原さんは顔を横に振り、「歓迎パーティーでしょ?ケーキとか装飾は好きでやってるから心配しないで!装飾品は今後も使えるし、ちょうどいい。」

そう言って、支払わないでいいと言った。

「さーて、はじめようか。」と言い放ったのは、社員でもなく青木原さんでもなくこの場に居た客でほぼカラオケに来るだけの畝岡さんだった。

青木原さんが制止し「関係ないだろ。謝りなさい!」叱ると「全く無関係なのに取り仕切ってしまいごめんなさい。楽しそうなので参加してしまいました。」と謝ってきた。

僕ら社員が、「みんなで楽しみましょうよ。そうすればもっと楽しいし。参加してください。」

と一緒に楽しめばもっと楽しくなるだろうという理由でパーティーへの参加を許した。


「えーお前さん、東京から今日ここに来たの?遠い所大変だったでしょ?在来線の本数少ないからねえ…。」

ここから、畝岡さんとの長い雑談が始まった。

「やっぱ、人の多さは違うよね。俺な、若いころな、憧れの東京行こうと思ったけど、お金なくてやめたわー笑親にも行きたい言うとまあ、反対されたわけよ、理由は犯罪が多そうだからって。偏見だよな。」

畝岡さんの若いころのエピソードを聞かされ、東京に行こうとしたということを聞いた。





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